2025年度「京大英語」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2025年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会英語担当者からのメッセージ

京大英語では、文法・語法の正確な運用力はもちろんのこと、限られた時間の中で正確に文脈をおさえる読解力と、相手に正しく伝わるように自分の知っている言葉で論理的に表現する力が求められています。
Z会の京大講座は毎月様々な設問形式を含んでおり、長文読解と英作文双方の演習ができるように設計されています。質の高い問題で実戦的な演習を積み、自分の解答に添った添削指導を受けることで、第三者に伝わる確かな表現力を身につけることができます。Z会での学習を通して表現力が求められる京大入試でも確実に得点できるようにし、京大合格を勝ち取りましょう!



今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 分量:減少/ 難易度:やや易化

2025年度入試の特記事項

  • 長文読解問題、和文英訳、自由英作文の4題構成という2023年度までの構成に戻った。読解問題の語数が約80語減少し、全体としてやや易化した。
  • Ⅰの長文読解は和訳問題3題という京大定番の出題であった。
  • Ⅱの長文読解では、和訳問題に加え、字数制限のある内容説明問題が出題された。
  • Ⅲの和文英訳は例年通りで、分量・難易度とも変化はなかった。
  • 自由英作文は、2024年度は長文読解の中に組み込まれる形だったが、独立した大問として出題された。与えられたテーマに関する2つの主張のうち一方を選び、その主張を論証する英文を書くという形式で、英文の展開の仕方に関する指示が付された。

合否の分かれ目はここだ!

  • Ⅰの長文読解は、京大としてはやや易しめと言える難易度であったため、取りこぼしのないよう正確に訳すことと、できるだけ速く解答しⅡ以降にかける時間を捻出することが鍵となった。
  • Ⅱの長文読解はビッグバンに関する文章だが、理解が難しい専門的な内容は含まれておらず読み進めやすかったと思われる。3年ぶりに内容説明問題が出題されたが、該当箇所の特定に迷うことはなかっただろう。(2)(3)の下線部和訳では、文構造が取りにくい箇所は少なく、一部の訳しにくい表現を文脈に沿った自然な日本語で表現できたかどうかがポイントであった。
  • Ⅲの和文英訳では、日本文の言い回しを既知の構文に適切に当てはめられたかどうかがポイントになった。
  • Ⅳの自由英作文では、与えられた条件に沿って80〜100語の英文を論理的に組み立てる高度な表現力が求められた。

さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 大問Ⅰ:長文読解(言語の多様性が直面する危機)[やや易] 

  • 約550語の英文。和訳問題3題の構成となり、空所補充問題は出題されなかった。
  • (1)は、前文の Languages differ … convey(言語は本質的に、表現しうる内容ではなく、必ず表現しなければならない内容において異なる)の言い換えの部分で、それぞれの言語の独自性について説明している文。語彙・文法的に難しいところはないが、文意がやや把握しづらいため、文脈をふまえた上で訳したい。not others および however unconsciously については、省略されている部分を補って解釈する必要がある。
  • (2)は、多数の言語が直面する危機について説明した文。易しい構文からなり、文意はつかみやすかったはず。vulnerable が「言語」に用いられている例はあまり見かけないため、多くの受験生が戸惑ったかもしれない。ただ、ここでは一般的に用いられる「脆弱な」という訳語をあてても問題ないだろう。hunter-gatherer groups が small language communities の具体例として挙げられていることは確実に押さえる必要があった。
  • (3)は、まずは with which it is clearly linked の it が前出の biodiversity ではなく、後の linguistic diversity を指している点を間違いなく押さえたい。〜 regions traditionally beyond the reach of … のところは、〜 regions that have been traditionally beyond the reach of … と補って考えると訳しやすかっただろう。ruggedは難語だが、文脈から類推して判断したい。

 大問Ⅱ:長文読解(ビッグバン理論の意味) [標準]  

  • 約590語の英文。内容説明問題1題、和訳問題2題という構成。
  • (1)2023年度、2024年度は出題のなかった内容説明問題が出題された。下線部が指しているのが直前の内容であるということはつかみやすく、指定字数内にまとめるのもそれほど難しくはなかっただろう。
  • (2)の第1文は、which が導く2つの節が a complete theory を修飾している形で、2つ目の which 節内の or が何と何を並列しているかに注意して訳出する必要があった。otherwise は big ではないということが伝わればよい。第2文の go some way to …ing の形は馴染みがなかったかもしれないが、前後の流れからおおよその意味は推測できただろう。admittedly、well-motivated は訳しにくい語だが、admit、motivate という元となる語の意味合いから訳を工夫したいところ。
  • (3) の第1文は、(to) make 以下が補語のSVCの構造と、コンマ以下の the first pages of its story が前の部分の同格表現であることをつかめれば問題ない。第2文は not so much 〜 but …(〜というより…)の訳し方と、the general and testable idea に続く同格の that 節が文末まで続いていることをつかめたかどうかがポイント。whatever started the thing rolling の譲歩節は文脈に合った自然な日本語を考えたい。

 大問Ⅲ:和文英訳 [標準] 

  • 「心と顔の表情の関係」に関する和文英訳問題で、京大の定番の出題形式であった。
  • 日本語特有の訳しにくい表現は例年ほど多くなかったが、「〜という言葉もあるように」は「〜という言葉が示唆するように」などと解釈し直して訳す必要があった。「いつもそうであるとは限らない」については、That’s not always the case. や That’s not always true. などの決まり文句を思い出せるとよい。
  • 複数回登場する「心」は mind としてもよいが、how you feel や the way you feel など、節で表してバリエーションを持たせてもよいだろう。

 大問Ⅳ:自由英作文[標準] 

  • 「人間の想像力は人工知能の普及によって豊かになる」あるいは「人間の想像力は人工知能の普及によって乏しくなる」のどちらかの主張を選択し、その主張を論証する英文を書くという英作文。
  • 英文の書き方の条件として「選択した主張を提示する文、理由や例などを述べて主張の妥当性を論証する文、それまでの主張と論証を総括する文を必ず含めること」という指示が与えられているが、自由英作文の一般的な書き方に沿ったものであり、混乱することはなかっただろう。
  • 「人工知能」というテーマに関しては、近年メディアでも様々に論じられているので、書く内容については思いつきやすかったのではないだろうか。筋の通った内容を組み立てられるか、自分の手持ちの語彙で表現できるか、という観点でどちらの主張にするかを決め、読み手に伝わりやすい英文を仕上げることが大切。

 攻略のためのアドバイス

京大英語を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 単語力、文法・構文力

京大入試においては、まず相応の「単語力」が前提となる。純粋な語彙の量だけでなく、複数の語義やイディオムなど、1つ1つの語彙に対する深い理解が求められ、日々の英語学習の中で意識的に身に付けていく必要がある。そのためには必ず単語集による学習を行い、日本語と英語のどちらからでも適訳を思い浮かべられるようにしよう。「文法・構文力」も同様に必須である。これも自分に合った問題集・参考書を見つけ、早めに苦手分野をなくしておくこと。また、知識の定着だけでなく、実際に読解問題に取り組む中で構文を見抜く練習や英作文に組み込む練習も並行して行いたい。

●要求2● 精読力

まずは、1文ずつ英文の文構造を把握しながら正確に読む「精読力」の養成から始めよう。難関大の入試を見据えた長文読解の問題集・参考書に取り組むことが望ましい。しばらくは時間がかかっても構わないので、問題に取り組んだ後に解答を確認するだけではなく、英文中でよく理解できなかった語句・表現は辞書を引いて意味や用法をきちんと確認するようにしよう。

●要求3● 表現力

近年の京大入試は出題傾向の変化が大きいが、日本語・英語両方における的確な表現力が求められることは一貫している。京大の長文読解に対応するには、文脈をふまえて正確に和訳する力と、設問の解答となる該当箇所を見つけ、適切な長さでまとめる力の両方が必要だ。和文英訳では定番の出題が続いており、日本語の難しい表現を英訳しやすい形に読み換えた上で英語に変換する練習を重ねることが大切である。自由英作文は、どのような形式が出題されても、与えられた条件・状況を把握し、自分の意見や考え、その裏にある理由や意図が相手に確実に伝わるように的確に書く訓練をしておく必要がある。

対策の進め方

まずは、要求①の基礎的な部分を満たすことを目指そう。単語にしろ、文法・構文にしろ、覚えては忘れ、忘れては覚えていく地道な努力が不可欠である。また辞書を引きながら長文読解問題や英作文問題に取り組み、精読力と文法・構文を実戦で活用する力を同時に高めていこう。
次に、制限時間内での解答を意識しつつ京大レベルの問題に取り組もう。読解問題では、わからない単語が出てきてもすぐに辞書で確認することはせずに、英文全体の論理展開から意味を推測する練習にも取り組むとよい。和文英訳については、日本語独特の表現を含む問題に取り組み、意味内容を大きく変えることなく英訳しやすい日本語に読み換える練習を重ねよう。自由英作文は出題変化があっても対応できるよう、さまざまな形式・語数の問題演習を積んでおきたい。
最後に、京大レベルの演習に精力的に取り組み、第三者の添削を受けるようにしよう。自分が意図したことが相手に伝わらないと得点にはつながらないので、常に第三者の視点を意識することが大切である。


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