「京大英語」個別試験分析(2022年度)

Z会の大学受験担当者が、2022年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 分量:やや減少/ 難易度:標準

2021年度は長文読解で和訳問題のみの大問が出題され、英作文でも数年前の問題形式が再び出題されるなど数年前の出題形式への揺り戻しがあったが、2022年度は長文読解の両大問で内容説明問題が出題され、英作文でも100語程度の自由英作文が出題されるなど2020年度まで続いていた傾向に戻ったと言える。

2022年度入試の特記事項

・Ⅰでは内容説明問題が復活し、内容説明問題1題と和訳問題2題が出題された。
・Ⅱでは2021年度同様、内容説明問題が1題と和訳問題が2題であった。
・Ⅲでは京大らしい和文英訳が引き続き出題された。
・Ⅳでは2019年度以来となる意見陳述型の自由英作文(100語程度)が出題された。

合否の分かれ目はここだ!

・Ⅰ・Ⅱの長文読解は2021年度の和訳問題中心の出題から一転、どちらの大問も内容説明問題1題と和訳問題2題という構成であった。和訳問題は京大の特徴である1文が長く語彙や文構造の把握が難解なものも含まれていたが、限られた時間の中で丁寧に文構造をおさえて訳出する必要があった。

・Ⅲの和文英訳では、「目の保養」といった日本語特有の表現や、「(…もまた)捨てがたい」「どこか遠くに感じられ」「心がふっと軽くなる」といった表現をうまく別の日本語に読み換えて表現できたかがポイントであった。

・Ⅳはオーソドックスな自由英作文であったものの、テーマの抽象度が高かった。そのため、100語という語数を満たすような2つの理由を短い時間で考えつき、まとめられたかで点差が開いただろう。

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大問別のポイント

 I【長文読解】 

  • 論説「人新世〜人類が地球環境に多大な影響を及ぼす時代〜」についての約450語の英文。2021年度は和訳のみだったが、内容説明問題1題、和訳2題という構成になった。
  • (1)内容説明問題。第1パラグラフの内容理解に関する問題で、the Anthropocene の説明の中心は直後の In the age of man … で始まる1文だが、「具体的な特徴」は第1パラグラフ中に6つ列挙されたものから4つ選んで書くことになり、全体を解答としてまとめるのには苦労したものと思われる。
  • (2)(3)は和訳問題。(2)の such 〜 that … の構文、the most recent being … の独立分詞構文は京大受験生であれば比較的容易に見抜けたのではないだろうか。(3)では、第1文の If there is to be … の be + to 不定詞の構文、第2文の not と第3文の Instead の相関関係、第3文の begins と spirals の並列関係と not so much 〜 as … を押さえる必要があった。繰り返し出てくる control という語に注目しつつ全体として筆者が何を言わんとしているのかを考えながら訳していかないと、伝わりにくい訳になってしまうので注意が必要。

 II【長文読解】  

  • 論説「インターネット時代における情報と知識」についての約600語の英文。和訳問題2題と、和訳をした上で内容理解が問われる内容説明問題1題が出題された。
  • (1)(3)は和訳問題。(1)は長い1文で難解な語彙は含まれていないものの、especially 以降の those や for whom … の先行詞がそれぞれ何を指しているかを見抜いて訳出できたかがポイントであった。(3)は1文目の同格の that 節の範囲や2文目の動名詞句の主語など、文構造の把握がやや難しかっただろう。2文目の detriment は難しい単語だったが、文脈から否定的な意味であることは推測できただろう。
  • (2)は下線部を和訳した上で、その内容を説明するという問題。2020・2021年度のようなパラグラフの指定はなかったが、解答に含めるべき内容が下線部に近い箇所にあることは推測できるだろう。下線部に含まれる information や knowledge といった単語に注目し、第4パラグラフの後半で具体的に説明されている部分をうまくまとめることができたかどうかがポイントであった。

 III【和文英訳】 

  • 「旅の楽しみとしての車窓からの眺め」に関する文章の和文英訳問題。
  • 京大の定番の出題形式で、「目の保養になる」という日本語独特の言い回しは、和文和訳した上で訳出する必要があった。
  • 「(…もまた)捨てがたい」「どこか遠くに感じられ」「心がふっと軽くなる」といった表現も、一見それほど難しく感じられないかもしれないが、日本語の意味合いが伝わるように訳し方を工夫することが求められた。

 Ⅳ【自由英作文】  

  • 2019年度以来となる、100語程度の意見陳述型自由英作文であった。2019年度は長文読解の中で本文と関連する内容が問われたが、今回は独立した大問で出題された。
  • 大学研究で最も重視することを1つ挙げ、その理由を2つ書くことが求められた。大学進学後の自分の研究(専攻)内容を具体的にイメージするのではなく、「研究において重要視すること」という抽象的な内容について書かなければならず、高校生にとっては思いのほかハードルが高いテーマだっただろう。

 攻略のためのアドバイス

京大英語を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 単語力、文法・構文力

京大入試においては、まず相応の単語力が大前提となる。純粋な語彙の量だけでなく、複数の語義やイディオムなど、1つ1つの語彙に対する深い理解が求められ、日々の英語学習の中で意識的に身に付けていく必要がある。そのためには必ず単語集による学習を行い、日本語と英語のどちらからでも適訳を思い浮かべられるようにしよう。

「文法・構文力」も同様に必須である。これも自分に合った問題集・参考書を見つけ、早めに苦手分野をなくしておくこと。また、知識の定着だけでなく、英文の読解に取り組む中で実戦的に構文を見抜く練習や英作文に組み込む練習も並行して行いたい

●要求2● 精読力

まずは、1文ずつ英文の文構造を把握しながら正確に読む「精読力」の養成から始めよう。難関大の入試を見据えた長文読解の問題集・参考書に取り組むことが望ましい。

しばらくは時間がかかっても構わないので、問題に取り組んだ後に解答を確認するだけではなく、英文中でよく理解できなかった語句・表現は辞書を引いて意味や用法をきちんと確認するようにしよう。

●要求3● 表現力

近年の京大入試は出題傾向の変化が大きい。長文読解では、ここ数年の傾向として内容説明問題の出題が定着してきているが、2021年度には和訳のみの大問が出題されたこともあった。このような流動的な変化に柔軟に対応するには、正確に和訳する力と、設問の解答となる該当箇所を見つけ、適切な長さでまとめる力の両方が必要だ。

英作文では、日本語の難しい表現を英訳しやすい形に読み換えた上で英語に変換する練習を重ねるだけでなく、与えられた条件・状況を把握し自分の意見や考え、その裏にある理由や意図が相手に確実に伝わるように的確に書く訓練をしておく必要がある。

対策の進め方

まずは、●要求1●の基礎的な部分を満たすことを目指そう。単語にしろ、文法・構文にしろ、覚えては忘れ、忘れては覚えていく地道な努力が不可欠である。また辞書を引きながら長文読解問題や英作文問題に取り組み、精読力と文法・構文を実戦的に活用する力を同時に高めていこう。

次に、制限時間内での解答を意識しつつ京大レベルの問題に取り組もう。長文読解問題では、わからない単語が出てきても逐一辞書で確認せずに、英文全体の論理展開を意識して意味を推測する練習にも取り組むとよい。また、日本語独特の表現を含む問題に取り組み、意味内容を大きく変えることなく英訳しやすい日本語に読み換える練習を重ねよう。自由英作文は出題変化があっても対応できるよう、さまざまな形式・語数の問題演習を積んでおきたい。

最後に、京大レベルの演習に精力的に取り組み、第三者の添削を受けるようにしよう。自分が意図したことが相手に伝わらないと得点にはつながらないので、常に第三者の視点を意識することが大切である。

Z会で京大対策をしよう

Z会京大英語担当者からのメッセージ

京大英語は毎年のように出題傾向の変化が見られますが、長文読解・英作文ともに難度が高く、解くのに時間がかかることに変わりはありません。文法・語法の正確な運用力が求められるのはもちろんですが、限られた時間の中で正確に文脈をおさえる読解力と、伝えるべき内容が相手に正しく伝わるように自分の知っている単語・構文で論理的に表現する力が求められています。

Z会の京大コースは毎月様々な設問形式を含む長文読解と英作文双方の演習ができるように設計されています。質の高い問題で実戦的な演習を積み、自分の解答に添った添削指導を受けることで、第三者に伝わる確かな表現力を身につけることができます。Z会での学習を通して表現力が求められる京大入試でも確実に得点できるようにし、京大合格を勝ち取りましょう!

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