「京大理系数学」個別試験分析(2022年度)

Z会の大学受験担当者が、2022年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

 

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 難易度は昨年並み。
  • 分量は昨年並み。

2022年度入試の特記事項

  • 昨年度は第1問、第6問が小問に分かれていたが、今年度は小問に分かれている大問はなくなった。
  • 昨年度に多く出題された「数学III」からの出題は1題だけであった。
  • 周期絡みの問題が全体の1/3を占めた。

合否の分かれ目はここだ!

今年度は得点がしやすいセットなので、全体で6割以上(大問数であれば4問程度)は確保しないと少し遅れをとることになるかもしれない

  • まずは、第2問と第4問は確実に得点しておきたい
  • その上で、他の4つ問題から部分点を含めて2問分程度はさらに積み増していきたい。
  • 得意不得意にもよるが、4題の中では比較的得点しやすい第5問をしっかりとり、第1問、第3問、第6問から1つ完答、または部分点を合わせて1問分をそれぞれ獲得するのが一つの例であろう。
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 第1問  

年度絡みの問題で、2022の評価を行うもの。2の常用対数の範囲が与えられているので、これ以外の常用対数の近似値は使えないと考えてよいだろう。

  • 2000<2022<2048(あるいは1000<1011<1024)に着目できるかどうかがポイント
  • 上記の評価に気づけるかどうかで、本問の出来が大きく分かれたであろう。

 第2問 

差が2以上になるようなカードの取り出し方を考えるもので、入試では典型タイプの1つ。

  • Yを起点にしてシグマ計算してもよいし、取り出すカードを●、取り出さないカードを◯などとして、カードの並べ方を考えてもよい(気づけば後者が早い)。
  • 本問は、確実に得点しておきたい問題である。

 第3問 

自然数の最大公約数に関する問題。

  • 手がかりが少ないので,n=1,2,…と実験する方針をとる人が多いと思うが、結果的に周期が6になり、そこまでの計算と検証に手間がかかる。
  • 予測が立った上でそれを証明することになるが、これも簡単ではなく、今年度のセットの中では最も難しい大問だろう。

 第4問 

四面体に関して、垂直条件、図形量の最大・最小を問う入試典型問題。

  • ベクトル表記があるので、素直にベクトルを用いるとよいだろう(計算も時間も大したことはなく、余計なことを考えない分早い)。
  • 「図形と計量」と「幾何」の知識だけで解くこともできる。
  • 本問も、第2問と同様、落とせない問題であろう。

 第5問 

数学IIIの微分、積分の問題。面積計算と評価に関する問題であり、丁寧な誘導が与えられている。

  • (1)、(2)は考えるところが少ない。正確な計算力が試される内容といえる。
  • (3)の不等式の証明において、αの値の範囲を絞るという発想にたどり着くこと、あるいはそれを具体的に実行するところがやや難しいかもしれない。
  • (1)、(2)は確実に得点しておきたい。(3)は第1問と同様に、気づけばすぐに解決できるが、気づけないと泥沼にはまる可能性もあり、出来が分かれたであろう。

 第6問 

やや複雑な漸化式で定義された数列の一般項を求める問題。

  • 与えられた条件から「周期3」が大きく絡むことはすぐに見抜けると思う。いくつかの小さなnの値に対する項の値を求めて、一般項などを推測していくとよいだろう。
  • このあとの答案のまとめ方もポイントになり、ここがやや難しい
  • 決して難しいわけではないが、苦戦した人も多かったと思われる。

攻略のためのアドバイス

京大理系数学を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 手早く正確に計算をする力

京大では煩雑な計算を行う出題は多くないが、着想、論理展開に時間を奪われる出題が多い。それだけに、方針が立ったあとの計算は手早く正確に行うことが重要で、計算時間を短縮できれば、ほかの問題を解く時間に使うことができる。

計算力は日々の計算練習で身につく。日々の問題演習において、最後まで計算し、確認する習慣をつけることが大切である。

●要求2● 問題の構造を捉える力

京大理系数学において頻出の分野として、図形問題がある。図形問題には、初等幾何、ベクトル、座標幾何などいろいろな解法があり、 どの解法を取ればよいのかをまず考えてから解く必要があるものが多い。どの解法を使うのか、見方を変えてほかの問題に帰着させることができないかなどを発想できる力をつけることが必要である。

発想力は、京大の過去問など発想力を鍛えられる問題を解き、考える訓練をすることで身につけられる。

●要求3● 採点者に自分の考えを伝える力

証明問題において論証力が要求されることは言うまでもないが、求値問題においても、答えに至る過程を丁寧に説明する力が要求されるものが目立つ。記述式の試験においては、自分の頭の中では分かっていてもそれを採点者に伝えることができなければ、点数に結びつかない。論理的に無理なく、より簡潔に答案を書くための論証力をつけることが必要である。

論証力は自分一人で勉強を進めても身につきにくい。この力は、Z会の通信教育で別の人に採点・添削をしてもらい、その結果を復習することで身につけられる。

対策の進め方

まずは、各分野の完成からである。京大入試では様々な考え方が必要とされるので、苦手分野があれば、遅くとも高3の夏休みまでには克服したい。Z会の通信教育では、入試に必要な考え方を幅広い分野の演習を通して身につけることができるようになっている。

高3の秋以降は、それまでに身につけた考え方を、実戦的な問題演習を通して使いこなせるようにしていこう。受験生用のZ会の講座では、微積分、図形、整数、確率といった京大頻出分野の問題を中心に、論証力も養成されるように学習を進めていく。

共通テストが終わったあとは、これまでの学習の総まとめである。京大入試に即応したZ会の問題で、入試に使える計算力・発想力・論証力を完成させよう。

Z会で京大対策をしよう

Z会京大理系数学担当者からのメッセージ

京大数学では数式処理力、発想力、観察力、論述力がバランスよく問われる出題構成が多いです。今年度のように、全体的に易化した場合は高得点が要求されるので、予定していた戦略を、当日臨機応変に変えるという柔軟性も重要になります。また、受験生が苦手とする見方を敢えてつく出題も多く、これは「数学をきちんと勉強してきたか?」を見るのが狙いです。解法の暗記や、身についてないテクニックを用いるなどのうわべだけの学習に対する警鐘ともいえます。

Z会の京大コースでは、京大数学で問われる頻出テーマや分野を網羅するだけでなく、添削指導や豊富な解説で真の理解と応用力を育むことができます。1問1問を味わい尽くすように1年間取り組むことで、1年後には想像以上の学力が身につきます。

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