Z会の大学受験担当者が、2026年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。
Z会世界史担当者からのメッセージ
2026年度の入試問題は、試験時間90分で大問4題、うち大問2題が300字論述という大きな枠組みは例年通りであったものの、思考力や記述力を要する設問の割合が2025年度以上に高くなりました。教科書の流れに沿って用語の内容、因果関係、世界史上の意味・意義などを丁寧に学習した上で、京大だけでなく他の国立大学の入試過去問も解いてみるなど、様々なタイプの論述問題に取り組んで、実力アップをはかるとよいでしょう。
京大世界史で出題される300字論述で高得点を獲得するためには、盤石な知識に加え、問題の要求を正確に読み取る読解力、要求に沿った解答を組み立てる論理的思考力・文章表現力が必須です。こうした力は一朝一夕には身につきません。Z会の通信教育「東大京大プレミアプラン」では、基礎的な事項を問う100字程度の論述問題から始まり、入試問題と同じ300字の論述問題まで多様な論述問題を出題。さらに、一人一人の答案に応じた添削指導を行い、論述問題への対応力を徹底的に鍛え上げます。早期からの論述対策で、京大合格をめざしましょう!
今年度の入試を概観しよう
分量・難易度
(昨年度比)
- 分量:変化なし
- 難易度:やや難化
出題・解答の形式
- 大問〔Ⅰ〕・〔Ⅲ〕は300字論述(各20点)、大問〔Ⅱ〕・〔Ⅳ〕は長文下線部(小論述を含む)および空欄補充(各30点)の大問4題構成で、すべて記述式である。
2026年度入試の特記事項
- 大問〔Ⅰ〕・〔Ⅱ〕はアジア史中心、大問〔Ⅲ〕・〔Ⅳ〕は欧米史(およびアフリカ史)中心という出題構成に変化はなかったが、大問〔Ⅰ〕の難度が例年より高かったため、全体としてやや難化した。
- 大問〔Ⅰ〕では統計資料が提示された。
- 大問〔Ⅱ〕・〔Ⅳ〕では小論述が出題されることが多い。2024年度は大問〔Ⅳ〕で1問出題されたのみであり、2023年度の6問から大きく減少したが、2025年度は8問、2026年度は7問出題された。
合否の分かれ目はここだ!
- 大問〔Ⅰ〕の300字論述は、必要となる知識は教科書レベルであったが、統計資料からキーワードを見抜き、設問要求に合わせて知識を再構成する力が必要であった。
- 大問〔Ⅱ〕・〔Ⅳ〕の語句記述問題では、空欄や下線部の前後、設問文からヒントを的確に見つけ出してスピード感を持って解答し、小論述および300字論述に割ける時間をしっかり確保することがポイントである。
- また、語句の丸暗記にとどまらず、語句の定義や用法を常に意識するとともに、歴史的事象の因果関係などを考えながら学習を進め、時代や地域を俯瞰的にとらえる視点を養っていくことが不可欠であろう。
さらに詳しく見てみよう
大問別のポイント
まずは図からグラフの各項目のうち、変化の大きい項目と小さい項目を読み取るとともに、表から生産量・輸入量の増減を確認しよう。その上で、中華民国の成立前後および第一次世界大戦中の社会・経済の状況に考えをめぐらせてみる。辛亥革命を後押しした勢力、戦間期に見られた文化・思想面での動きなどを想起し、政治面での重要な出来事と関連付けて説明していけば、及第点を得られるだろう。
Aではオスマン帝国・サファヴィー朝・ムガル帝国という3つの大国が並立するに至る勢力図の変化、Bでは中国の大運河について論じた文章をもとに、単答・小論述が出題された。やや細かい知識も求められるので、教科書以外に用語集や図説などを活用しつつ、知識を補強しておく必要がある。
「国民経済の運営」「公権力」といった文言に戸惑った受験生が多かったと思われるが、論述すべき内容自体は教科書レベルである。ソ連については「1928年以降」、アメリカ・ドイツについては「1933年以降」と時期が示されていることも大きなヒントとなる。「三者の相違が明らかになるように」という設問要求を意識しながら、思い浮かんだキーワードを取捨選択し、説得力のある答案にまとめられたかどうかで、答案の完成度に差がついたと思われる。
Aではヘロドトスを初めとする古代の歴史家について、歴史叙述の姿勢や近代ヨーロッパへの影響を論じた文章、Bではアフリカの植民地化から独立に至る経緯を概観した文章が提示され、空欄補充・下線部単答・小論述が出題された。小論述は、定番といえる基礎的なものから、史料の読解力や思考力を要するものまで多彩である。(8)は「ローマのいわば帝国主義的な側面」について、初見の史料(20世紀初頭の公演の抜粋)に示された見解を、リード文中に示されたタキトゥスの見解と比較して論じる問題であり、文章読解力がしっかり身についていれば、さほど苦労なく対応できただろう。
攻略のためのアドバイス
京大世界史の要求
要求① 教科書全範囲の基礎的知識を網羅する「知識力」
京大世界史では、教科書レベルの基本的な知識を問う問題が多くを占めている。但し、現代史や文化史、中国周辺地域史など、学習が手薄になりやすい分野に関しても満遍なく出題されるので、教科書の全範囲について手を抜かずしっかり学習する必要がある。
要求② 問題の要求を的確に捉える「読解力」
とくに論述問題で必要となる力である。京大世界史の論述問題ではさほど細かい知識は必要とされないことが多いが、問題文の複数の要求を漏れなく把握した上で、解答に盛り込むべき史実の取捨選択を的確に行い、まとまりのある解答を作成する必要がある。300字という制限字数の中で、すべての要求にバランスよく対応することができているか、文章の構成や字数配分への工夫も重要である。
要求③ 短い時間の中で最大限の結果を出す「処理力」
京大世界史の試験時間は90分。300字論述の大問に各25分、長文下線部・空欄補充の大問に各15~20分程度が解答時間の目安になる。小論述もあることを考えると、語句記述問題は1分に2〜3問のペースで解いてゆく必要がある。わからない設問は潔く諦めるなど、得点を上げるための時間配分も戦略的に行っていく必要がある。小論述1問にかけられる時間も限られているので、論じるべき内容を素早く把握し、的確な表現でまとめ上げる練習を積んでおきたい。
京大世界史 攻略のために
基礎力の完成
まずは、「知識力」の養成を。遅くとも受験生の夏休み終了までには、全時代の概略と、教科書の太字語句の意味を押さえることを目標にしよう。語句はただ覚えただけでは力にならない。既習範囲は問題演習を行い、自分が理解したはずの知識が、本当に得点につながる力になり得ているかを確認しながら、学習を進めよう。並行して論述問題にも取り組み、「知識を文章でまとめる」ことにも慣れていきたい。
読解力の養成→表現力へつなげる
京大世界史攻略のためには、上で述べたように、知識力の養成と並行して既習範囲については論述問題にも取り組み、本番まで定期的に問題演習を行う習慣をつけてほしい。問題の要求を的確に捉える「読解力」を身につけるためには、問題文を丁寧に読むことが重要である。何となく知っていることを羅列するのではなく、問題文中の時代・地域の指定、「意義」「背景」「経緯」「変化」「特徴」「影響」などといった問いかけに対して、最も適した解答が提示できているか、常に意識しながら解答を作成しよう。復習時に自分の解答作成の過程を確認するために、草稿メモをノートに記録しておくことも有効である。
上手な時間の使い方を身につける
京大世界史は試験時間に対して分量が多いため、時間配分も重要である。模試を受験する際に、問題に取り組む順番を工夫したり、試験時間の最後の5分間は見直しのために確保したりするなど、限られた時間内で最大限の成果に結びつける訓練を積むとよい。時間を計って演習問題に取り組み、「知識力」「読解力」を土台とした「表現力」に磨きをかけつつ、本番での時間配分を想定して「処理力」を鍛えていこう。
Z会でできる京大対策・ご案内
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