2023年度「京大世界史」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2023年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:90分)

  • 例年通り大問Ⅰ・Ⅲは300字論述(各20点)、大問Ⅱ・Ⅳは長文下線部・空欄補充(各30点)の大問4題構成。
  • 全体的な難易度は例年よりやや易化した。

2023年度入試の特記事項

  • 例年同様、大問Ⅰ・Ⅱがアジア史中心、大問Ⅲ・Ⅳが欧米史中心の出題であった。
  • 2023年度の大問Ⅱ・Ⅳは、2022年度に引き続き語句記述問題と小論述のみで構成され、2021年度で見られたような4文正誤問題は出題されなかった。
  • 2023年度は、大問Ⅱ・Ⅳで小論述問題が計6問出題された。2022年度の1問から大きく増加し、例年並の問題数となった。
  • 古代から戦後までの幅広い時代から出題されたが、大問Ⅱ・Ⅳでは近・現代史の出題が目立った。大問Ⅳ-Bはほとんどが戦後史からの出題であった。

合否の分かれ目はここだ!

90分という制限時間に比してかなり問題量が多いのが特徴である。大問Ⅱ・Ⅳでそれぞれ30問程度の小問が課される上に、大問Ⅰ・Ⅲで300字の論述問題が課されるため、時間配分が重要となる。

  • 大問Ⅱ・Ⅳは、2022年度に比べ小論述問題の数が増加したものの、取り組みやすい問題が多かったため、失点は最小限に留めたい。大問Ⅱ・Ⅳを手早く処理し、大問Ⅰ・Ⅲに十分に時間をかけることが高得点を取るポイントである。
  • 大問Ⅰ・Ⅲの論述問題は、必要となる知識は概ね教科書レベルであったが、問題の条件に沿って書くべき内容をしっかりと見極め、まとまりのある解答に仕上げる工夫が必要であった。
  • 一部の問題でやや細かい知識が必要となったものの、苦手な分野や学習が手薄な範囲を残さず、教科書の全範囲を丁寧に対策していれば、高得点を確保することが可能であった。
京大世界史で必須の
「幅広い知識の習得と論述力の養成」
ができる!



さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 大問 I 

5世紀から12世紀におけるモンゴリアの歴史について、遊牧国家の興亡を中心に説明する論述問題であった。

  • 必要となる知識は概ね教科書レベルであったものの、学習が手薄になりがちな地域からの出題であったため、字数を埋めるのに苦労した受験生もいたであろう。
  • 問題の要求はシンプルで、解答の筋道は立てやすい。論述の始点および終点となる時代を意識しつつ、諸国家の興亡について漏れなく説明できたかどうかで差がついたと思われる。

 

 大問 II  

A:17世紀以降の「マレー世界」をテーマに、近・現代の東南アジア史を中心に出題された。
B:19世紀以降の米中関係をテーマに、近・現代の中国史を中心に出題された。

  • (9)は大問Ⅱで唯一の小論述問題であった。問題の要求に従って、簡潔に解答をまとめよう。
  • (5)と(10)-(イ)ではやや細かい知識が必要とされたものの、ほとんどが基本的な出題であったため、手堅く得点したい

 

     大問 III  

    イベリア半島におけるイスラーム勢力の支配領域を示す「アンダルス」の成立から消滅に至るまでの、イベリア半島における諸国家の興亡と、それに伴う宗教的状況の変化および文化の移転について説明する論述問題であった。

    • 論述問題で頻出の地域からの出題であり、必要となる知識は概ね教科書レベルの基本的なものであったため、史実誤認や不正確な表現はなくしたい。
    • アンダルスの「成立」および「消滅」が示す出来事を推察し、論述すべき時代を正しく判断する必要があった。
    • 想起できる事項の多いテーマであったため、問題の要求に従って解答に盛り込むべき事項を取捨選択し、各要求に応える要素をバランスよく盛り込むことに気を配りたい

     

     大問 IV  

    A:7世紀までのキプロス島をテーマに、古代から中世までの欧米史・西アジア史を中心に出題された。
    B:東西冷戦の展開をテーマに、ほとんどが戦後史から出題された。

    • 小論述問題が5問出題され、そのうち3問は戦後史からの出題であった。どれも基本的な問題なので、落ち着いて取り組みたい
    • (1)と(21)ではやや細かい用語が問われたが、概ね基本的な出題であった。
    • (3)の小論述問題では、「ペルシア帝国」が示す国家を正しく判断する必要があった。

     攻略のためのアドバイス

    京大世界史を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

    ●要求1● 教科書全範囲の基礎的知識を網羅する「知識力」

    まずは、「知識力」の養成を。遅くとも受験生の夏休み終了までには、全時代の概略と、教科書の太字語句の意味を押さえることを目標にしよう。並行して論述問題にも取り組み、「知識を文章でまとめる」ことにも慣れていきたい。

    ●要求2● 問題の要求を的確に捉える「読解力」

    京大世界史攻略のためには、知識力の養成と並行して論述問題にも取り組み、本番まで定期的に問題演習を行う習慣をつけてほしい。

    問題の要求を的確に捉える「読解力」を身につけるためには、問題文を丁寧に読むことが重要である。何となく知っていることを羅列するのではなく、問題文中の時代・地域の指定、「意義」「背景」「経緯」「変化」「特徴」「影響」などといった問いかけに対して、最も適した解答を意識しながら解答を作成しよう

    復習時に自分の解答作成の過程を確認するために、草稿メモをノートに記録しておくことも有効である。

    要求3● 短い時間の中で最大限の結果を出す「処理力」

    時間に比して分量の多い京大世界史で確実に得点するためには、時間の使い方も重要である。模試を受験する際に、問題に取り組む順番を工夫するなど、限られた時間内で最大限の成果に結びつける訓練を積むとよい。

    共通テスト終了後は、京大入試と同じ分量・構成の問題セットを時間を計って解き、「知識力」・「読解力」を土台とした表現力に磨きをかけつつ、本番での時間配分を想定して、「処理力」を鍛えていこう。

    Z会で京大対策をしよう

    Z会京大世界史担当者からのメッセージ

    京都大学の世界史入試は、教科書の流れに沿って用語の内容、因果関係、世界史上の意味・意義などを丁寧に学習していれば、ほぼ対応可能な問題です。出題傾向の変化が少ないので、大問Ⅱ・Ⅳでは取りこぼしを最小限にするように、大問Ⅰ・Ⅲでは問題の要求に的確に応えた解答を書き上げられるように、着実に対策を行っていきましょう。

    Z会の通信教育 本科「京大講座 世界史」の3~8月では、世界史上の重要ポイントを整理した導入テキストを用意しています。豊富な地図や図・表、年表などを用いて、知識だけでなく入試で問われる視点も学ぶことができますので、京大世界史で必要な各時代・地域の“理解の核”を習得することができます。また、秋以降は、入試問題と同じ300字の論述問題など実戦的な問題演習に毎回取り組み、添削指導を受けることで、論述力のアップをはかります。答案作成力を磨いて、京大合格をめざしましょう!

    Z会は京大合格に向けて全力でサポート!

    「Z会の通信教育」京大対策講座

    Z会の大学受験生向け講座では、入試本番から逆算して合格に必要な力を段階的に身につけられる学習プログラムをご用意しています。毎年、京大合格者を輩出し続けてきたZ会だからこその教材&指導で、京大合格へと導きます。

    「Z会の通信教育」LINE公式アカウント

    京大をはじめとする大学受験に役立つ情報を配信中。学習アドバイス記事やお得なキャンペーンのご案内、おすすめ講座情報などを随時お届けしています。ぜひご登録ください。

    CVエリア

    「Z会の通信教育」では、京大受験生向けの講座を多数開講中!

    無料の資料請求も受付中!