Z会の京大コース担当者が、2021年度入試の京大理系国語を徹底分析。受験生の再現答案や得点開示データをもとに、合否を分けた「差がつく一問」を選定し、京大理系国語の攻略法を詳しく解説します。
まずは、2021年度の「京大理系国語」を俯瞰しよう
はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、「自分が受ける入試問題」を正確に把握しましょう。
多様な文章ジャンルの読解経験が合否を分ける!
理系受験生にも読解難度の高い多様な文章ジャンルから出題される京大国語。今年度も文章の趣旨を正確に押さえ、問題文独自の表現に注意して読解していく必要のある問題が出題されました。問題演習を積み、どんな出題にも動じない対応力を身につけることができたかどうかが合否の差を分けます。
合否の分かれ目は?
高度な読解力・記述力が求められる出題
21年度の出題は、京大出身の哲学者による随筆・現代短歌の表現について論じる評論という現代文二題と、中世の歌論のセットでした。現代文・古文ともに、問題文独自の表現が何を意味しているか丁寧に解釈し、自分なりに噛み砕いて解答を作成することが求められます。
合格者・不合格者それぞれの傾向は?
再現答案からは、何とか解答欄を埋めようという姿勢が見てとれました。しかし、丁寧な読解に基づいて作成できている解答と、文中の表現を寄せ集めただけの解答が見られ、解答の精度には如実に差が表れました。合格者の多くは、効率的に時間配分を行って各大問に取り組むことができていましたが、不合格者の中には一つの大問に時間を割きすぎてしまうなど、全体を見通して解答することができなかった人もいたようです。
合否を分けた一問
古文は、近世の文章からの出題でした。論理展開の大筋をとらえること自体はさほど難しくありませんが、それだけに〈設問条件を見落とさず、解答に的確にまとめる力〉〈傍線部の一字一句に至るまで注意を払い、精密に訳語を選択する力〉といった記述解答の実力の有無で明確に差がつく出題です。歌論は京大頻出の文章ジャンルであり、合格者のアンケートからは、京大を意識して積んできた演習経験が実際に役立っていることが見てとれました。問題演習量の差が、合否を分けるポイントとなったといえるでしょう。
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差がつく一問は
≪大問三≫
受験生の再現答案&添削を見ながら、差がつくポイントを確認しよう
Z会では、受験生が作成したこの大問の再現答案を、独自の採点基準に基づいて添削しました!
一見、解答欄をしっかり埋めることができていて、点数がしっかりとれそうな答案に見えます。しかし、Z会が採点した結果は、30点中14点。Z会が設定した目標点である19点には届きませんでした。

それでは、この答案には、「どんな要素が足りなかったのか」「どういう対策をしていれば目標点に届いたのか」を詳しく見ていきましょう。
目標点とのギャップをどう埋める?
解答欄をしっかり埋めることはできており、問題文の大意も押さえることができている答案です。しかしながら個々の解答内容を見ると、言葉を補うべきところに補えておらず説明不足となった結果、減点されてしまっています。問一の現代語訳は、「適宜ことばを補いつつ」という設問条件に注意し、「ここの詞」「かくは」といった指示語の指示内容を説明してほしかったところです。問二・問三の説明問題も、大筋は押さえることができていますが、解答欄に見合った説明となるよう、傍線部をまず丁寧に逐語訳し、さらに問題文全体の内容を踏まえて説明を補うことができれば、さらに得点を伸ばすことができたはずです。
受験生全体の解答傾向は?
Z会で作成した採点基準をもとに再現答案を採点してみると、合格者平均と不合格者平均で概ね3点程度の差がつく結果となりました。
〈和歌が上達するためには人と意見を交わさなければならない〉という大筋は把握できていても、言葉を補って説明するという姿勢が身についているかどうかで差が分かれました。特に問一の現代語訳で指示語の指示内容を正確に押さえられている答案は、不合格者ではあまり多くありませんでした。
全体として、
- 傍線部の細部も漏らさずに丁寧に訳出・解釈する。
- 問題文全体の趣旨を踏まえ、文中の表現を意識して言葉を補う。
- 解答が設問要求を満たした自然な文になるように、まとめ方を工夫する。
といったポイントを意識できたかどうかが、実際の答案にも得点差として表れていました。
Z会が独自作成。この大問の採点基準はこちら!
大学から採点基準が公表されていない中、Z会では、実際の受験生の答案や得点開示データを毎年収集し、綿密に分析。長年の分析に基づいて作成した独自の「採点基準」で、本番に限りなく近い採点を可能にしています。
Z会の『過去問添削』で、京大対策を進めよう!
Z会では、特別講座『過去問添削』を開講中です。長年の分析に基づく正確な採点で現在の実力を正確に把握。そのうえで、あなたの答案に寄り添った適切なアドバイスにより、次の打ち手が明確になります。実戦力を効果的に高められる講座です。
Z会京大コース担当者からのメッセージ
京大国語は、受験生が普段読み慣れないような文章ジャンルからも出題され、自分なりに言葉を補って解答を作成しなければなりません。合格点を確保するには、問題文中の表現を自分なりに噛み砕き、わかりやすくまとめなおす工夫が求められます。理系であっても文系の出題とそこまで大きなレベル差はなく、付け焼き刃の対策では太刀打ちできないため、早い時期から過去問演習に取り組む必要があります。その際には、第三者による添削指導を受けて自分の解答がポイントを押さえたものになっているかを把握し、入試本番に向けて解答の質を高めていくことが重要です。Z会の「過去問添削」なら、京大国語を熟知したプロの添削指導を受けることができ、より効果的に得点力を伸ばすことができます。