「化学」2019年度京都大学個別試験分析

分析速報

■分量と難度の変化(理科…時間:2科目180分) 
・2018年度との比較では,全体の難易度は変化なし
・2018年度に比べてリード文や各設問の誘導が非常に丁寧になった分,文章量が増加し,分量は増加した。
・分量・負担感は増加したが,設問数自体は21→23と2題の増加で,大差ない。
・大問数は4で例年通りだが,いずれの大問も中問に分割されている。2017年度以降は,各大問が複数の中問に分割されていて,中問ごとに内容が独立していることが多い。

■今年度入試の特記事項
例年以上に読解力を要する構成であった。
・無機分野の知識を必要とする問題がほぼなかった。
論述問題が出題されなかった
・導出過程を書かせる計算問題の数は1題で,例年水準であった(近年では2017年度のみ多く,7題であった)。
・時間の限られる本番では余裕のないセットだが,丁寧な説明で理解が深まる問題が多いので,制限時間なくじっくりと取り組む学習に適している。

■合否の分かれ目
・まずは,化学問題I(a),(b)のような平易な中問や,他の中問の平易な小問を確実に得点する。
・その上で,読解力・思考力が必要な問題でどれだけ正解できたかが合否の分かれ目になったであろう。
・具体的には,化学問題II(a)の問2,化学問題III(a)の問2,問3,化学問題IV(a)の問2,(b)の問6の出来が,合否に影響したと考えられる。
・どの中問にも平易な小問はあるので,それらを取りこぼさないことが重要である。

 

■大問別ポイント
 化学問題I  
(a) <理論> モール法
・リード文の誘導に従いながら必要な値を代入していけば,容易に解けるであろう。読むべきポイントを絞って,問題文から必要な情報を探し出したい。

(b) <理論> 溶解度積と濃淡電池
・見慣れない題材で,(a)よりも丁寧に読むことにはなるが,誘導のとおりに考えて解き進めれば難しくない
・中問(a)(b)で内容が関連しているのは,近年では珍しい。

 化学問題II  
(a) <理論> 電子式と分子の形
問1はセンター化学基礎レベルなので即答したい。
問2のニトロニウムイオンは見慣れない物質で,電子式を記したことはないかもしれないが,あまり深く考えすぎず,リード文の規則に忠実に従って記してほしい。

(b) <理論> 気体の平衡
問3,問4は京大受験生であれば確実に解答したい。ただし,「モル分率平衡定数」は見慣れず,つまずいた受験生もいたと思われる。
問5で急激に難度が高くなる。平衡時の分圧を文字式で表し,さらに二次方程式を解くため,手間がかかる。解くのに時間を要するため,本番では後回しにしたくなる問題である。

 化学問題III  
(a) <有機> 環境の異なる炭素
問1の,「化合物名または構造式を記せ」という問い方は珍しい。
・リード文を理解し,問2を解けるかが勝負になる。芳香族化合物は8つというヒントも参考に,構造を書き出してほしい。
問3は,問2が解ければ容易に解ける。
・芳香族化合物が決定できれば,問4はセンターレベルの計算問題で,数値もきれいなので,確実に得点したい。
この題材に一度触れたことがあるかどうかで,出来がはっきりと分かれるであろう。なお,過去に類題が出たことがある。

(b) <有機> イミドの反応
・見慣れない反応ではあるが,与えられた図のとおりに各化合物を考えられれば,それほど難しくはない。
・ただし,条件の整理に時間がかかり,意外と負担感は大きかったと思われる。
問5ができれば,問6もできる。問5の答はいずれも日頃の学習でよく見る物質なので,ある程度類推できた受験生もいたであろう。
問6は,化合物Qはかなり多く候補があると思うかもしれないが,リード文最後の「そのいずれのオルト位にも水素原子が結合していた」という条件のところで,絞ることができる。

 化学問題IV  
(a) <有機> アルドースの反応
・各反応による変化を丁寧に追えるかと,問2で「線対称を考えればよい」と理解できたかどうかが,ポイントとなる問題であった。
・メソ体の考え方を知っている受験生は有利だったと思われる。

(b) <有機> 合成高分子化合物,界面活性剤
・中問がさらに枝問(i),(ii)に分かれていた。それぞれ完全に独立している。
問4は,難度は高くないが文章量が多いため,費用対効果の薄い問題に感じられたであろう。必要な情報を選び出して手際よく解答したい。
問5は,β-グルコースの構造式が問題文で与えられていなくても解答できてほしい。
問6の考察は,落ち着いて考えたい。化学問題IV(b)は,問6の出来で差がつくと思われる

 

 

 

攻略のためのアドバイス

2019年度の京大化学は,問題文に丁寧な誘導があり,取り組みやすい問題が多かった。しかしその分,文章量は多いため,手際よく処理していかないと時間切れとなってしまう点には注意。今年度のように,目新しい題材や長いリード文からその場で状況を理解させることで,思考力・読解力といった力を試す内容であるという根本的な特徴は,今後も変わらないと考えられる。
京大化学を攻略するために,高校化学の内容を完全に理解したうえで,それを応用する問題に意欲的に取り組んでほしい。また,出題範囲の約半分を占める有機化学は重点的に学習し,幅広い知識とその活用力を養成してほしい。

京大化学を攻略するには、次の3つの要素を満たすことをめざそう。

●要求1● 思考力
高校で学習する内容をそのまま当てはめるだけの問題も出題はされるが,合否の決め手となるのは,高校範囲の知識を応用させて自分で考えなければならない問題である。このような問題を考える力,またそれに立ち向かおうとする姿勢がない限り,合格を手にすることはできない。

●要求2● 読解力
京大化学の大きな一角を占めるのが,空欄補充形式の問題である。また,受験生が目にすることの少ない題材を取り上げ,それを理解した上で解答する問題も出題される。初見の題材であっても,限られた時間の中で問題文を読みこなし,正確に内容を理解する力が要求される。

●要求3● 有機化学分野の幅広い知識と活用力
京大化学では,出題の約半分を有機化学が占める。高校範囲の内容理解はもちろん必須であるが,読解や思考の前提となる幅広い知識と深い理解が必要となる。構造決定問題はとにかく演習をたくさん積んでおきたい。また,天然有機化合物の分野は,基本知識に穴がないよう,早めに対策をしておくこと

まずは,高校化学の内容を完全に理解することから始めよう。高校化学の内容で曖昧な部分があると,●要求1●を満たすことはできない。Z会の通信教育,Z会の教室,Z会の映像などで,基本的な各単元の理解を確認しながら学習を進めていこう。
高校化学の内容を理解したら,次に●要求1●を満たすために,Z会の通信教育,Z会の本などで,高校範囲の内容を応用させて考える問題に取り組んでみよう。このタイプの問題は問題文が長いことが多いため,並行して●要求2●を満たしていくこともできる。また,●要求3●を満たすため,有機化学の補強も重点的に行っておきたい。
空欄補充形式の中には数値計算を要するものもあるので,計算力も必要である。そのため,普段の問題演習では,実際に手を動かして計算し,計算自体にしっかり慣れておこう。また,論述対策として,日頃の学習から,現象や操作,それらの理由を理解し,短い字数でまとめる訓練を積み重ねておこう

 

▼「京大コース」化学担当者からのメッセージ
今年度の京大化学は,極端に高度な思考力を要したり,教科書外の知識を要したりするような問題はなく,丁寧な誘導に従えば解ける問題がほとんどでした。未知の題材も,問題文を正しく読み解けば,理解できたことでしょう。ただし,その誘導が丁寧な分「文章量が多い!」と感じた受験生は多かったと思います。高度な思考力はもちろん求められますが,例年以上に,高度な読解力が求められる試験でした。
また,今年度のように分量が多くても,平易な小問はあります。今年度はとくに,ポイントを絞りながら長い問題文を読み,平易な小問をミスなく手際よく解き進める得点力を備えている必要がありました。

読解力・思考力・有機化学の幅広い知識などといった,京大化学攻略に必要な力は,今後も必要になることに変わりはありません。Z会の[本科]京大コースは,対策が遅れがちな高分子化合物の範囲を扱いますし,長い問題文をとおして読解力を養う問題も扱うので,京大化学攻略に必要な力を養うのに最適です。また,京大は結果重視の採点のため,自己採点ではついつい単なる答え合わせになりがちですが,このコースでは添削指導によって結論に至る課程のミスも分析し,得点力も高めます。このコースで学習を積み重ね,京大合格を勝ち取りましょう!

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