「英語」2019年度京都大学個別試験分析

分析速報

■分量と難度の変化
・分量:昨年並み / 難易度:やや難化
大問数は2018年度の4題から3題に変更。2018年度は大問3・4で自由英作文(条件英作文)が出題されていたが,2019年度は大問2で長文読解に組み込まれる形で自由英作文が出題された。また,大問3では昨年度出題されていなかった和文英訳の出題に戻った。

■今年度入試の特記事項
・大問1では内容説明問題が1題増えた。また,空所補充問題が記号選択式ではなく,与えられた動詞を適切な形に変えて解答する出題となった。
・大問2では長文読解に加えて,本文中の内容に関して意見を述べる100語程度の自由英作文が出題された。
・大問3は2017年度以前の形式と同様,和文和訳が必要となる高度な和文英訳が出題された。

■合否の分かれ目
・大問1・2ともに内容説明問題に,昨年度あった「解答欄におさまる長さにすること」という問題文の指定がなくなったが,昨年度同様どこまで含むべきか迷ったかもしれない。
・大問2の自由英作文は新傾向であったが,「camera phone を使うなら」という条件のもと100語程度の語数を満たすだけの具体例と,3つの中から該当の物を選択した根拠を,短い時間で考えることができたかがポイントだった。
・大問3は特に「全体のなかの少数者」「数だけの問題に還元する」「数としては少なくない集団」といった表現をうまく読み換えて既知の表現で表せたかで,実力の差が明らかになっただろう。

 

■大問別ポイント
 I 【長文読解】
・論説「仮想現実」についての約580語の英文。小問は4題から成り,昨年より1題増えた。(1)と(2)は下線部の内容を説明する問題,(3)は下線部和訳,(4)は本文の4つの空所に与えられた選択肢から語句を補充する設問であった。文章は,仮想現実の仕組みや特徴,脳との関係などについて述べている。下線部和訳では,構造が取りにくい箇所が一部あったが,難語は見られなかった。
・(1)指示語Thatが指す内容を,直前の段落の最終文から読み取る。
・(2)この段落の後半から,a secret visual motion languageの具体的な内容をまとめる。
・(3)1文目の constantly testing out…は分詞構文。2文目のconvince ~ to … は「~を説得させて…せさる」の意味。3文目のthe world on which to base expectationsは,<名詞+前置詞+関係代名詞+ to不定詞>という複雑な構造で意味が取りづらいので,文章の流れに適した訳語を選ぶ力が要求される。
・(4)昨年と同様の,本文の空所に合うように選択肢にある動詞を入れる問題だが,空所数が1つ少なくなった。選択肢は動詞でそろっていたが,イとエはそれぞれ形を変化させなければならなかった。

 II 【長文読解+自由英作文】 
・論説「写真のデジタル化により生じた変化」についての約580語の英文。小問4問から成り,(1)(3)は 下線部和訳,(2)は下線部の内容を説明する問題,(4)は下線の内容に関して意見を述べる自由英作文という新傾向の問題であった。
・昨年度に比べて,受験生にとって馴染みがあり読みやすいテーマのエッセイだっただろう。
・(1)は文の冒頭にあることで指示語の内容に迷うことはなく,また文脈を踏まえた訳出もあまり求められなかった。難しい単語や文構造もなかったため,差がつきにくい問題であった。
・(2)はthis が下線部を含む文の前文を指しており,下線部の具体的な内容は直後の2文で述べられていた。そのため,下線部の前後をまとめればよかった。
・(3)の和訳問題は,下線部内に難解な単語は含まれていなかったが,指示語の内容や文構造を正しく把握できたかがポイントであった。
・(4)の自由英作文の問題は,京大では新傾向の問題だったが,設問としては目立った特徴はなく,意見を書きやすく具体例も思いつきやすい内容だった。短い時間の中で100語程度の分量の英文で理由の根拠と具体例を論理的に書けるよう,他大学の過去問含め自由英作文の演習を積めていれば解けた問題だっただろう。ただし,「camera phoneを使うなら」という問題文の指示に添った内容で書く必要があった。

 III 【和文英訳】
・「マイノリティ」に関する和文英訳問題。
・2018年度はエッセイ調の和文の中に空所が設けられ,前後の文脈からその空所にふさわしい内容を補う空所補充型の自由英作文の要素のある条件英作文が出題されたが,今年度は2017年度までの定番の和文英訳問題が復活した。
・今年度は例年どおりの和文英訳なので,京大型の和文英訳の日頃の演習量の差が出ただろう。
・2018年度は比較的平易な言い回しで基本的な構文や表現を用いて表せる内容だったが,2017年度の和文英訳に登場した「油断は禁物」のように,今年度も「マイノリティという概念を数だけの問題に還元する」など日本語独特の言い回しが出て,和文和訳の工夫が求められた。また,minority でそのまま表せる「少数者」を文脈に合わせて,異なる表現にどう読み換えるかなど,文全体の大意を把握した上での細かな訳出の工夫も求められた。

 

 

 

攻略のためのアドバイス

京大英語を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 単語力,文法・構文力
京大入試においては,まず相応の単語力が大前提となる。純粋な語彙の量だけでなく,複数の語義やイディオムなど,1つ1つの語彙に対する深い理解が求められ,日々の英語学習の中で意識的に身に付けていく必要がある。そのためには必ず単語集による学習を行い,日本語と英語のどちらからでも適訳を思い浮かべられるようにしよう。 「文法・構文力」も同様に必須である。これも自分に合った問題集・参考書を見つけ,早めに苦手分野をなくしておくこと。また,知識の定着だけでなく,実際の英文の読解に取り組む中で実戦的に構文を見抜く練習や英作文に組み込む練習も並行して行いたい。

●要求2● 精読力
京大の場合,まずは1文ずつ,英文の文構造を把握しながら正確に読む「精読力」の養成から始めよう。難関大の入試を見据えた長文読解の参考書に取り組むことが望ましい。しばらくは,時間がかかっても構わないので,英文を読む際には,辞書を引きつつも単語の意味を文脈から推測して読む練習をしよう。

●要求3● 表現力
近年の京大入試は変化が見られる。長文読解では,内容説明問題の比重が増加している。和訳できるだけでなく,解答の該当箇所を見つけ,適切な長さで解答をまとめる力が必要だ。英作文では,日本語の難しい表現を英語に変換できるだけでなく,与えられた条件・状況を的確に把握し自分の意見を支える理由が相手に確実に伝わるように書く訓練をしておく必要がある。

まずは,●要求1●の基礎的な部分を満たすことを目指そう。単語にしろ,文法・構文にしろ,覚えては忘れ,忘れては覚えていく地道な努力は確実に実を結ぶ。また辞書を引きながら長文読解問題や英作文問題に取り組み,精読力と実戦的な文法・構文力を同時に高めていこう。
次に,辞書の利用を徐々に少なくしていきながら,制限時間内の解答を意識しつつ京大レベルの問題に取り組もう。長文読解問題では,英文全体の論理展開を意識して取り組むとよい。また,日本語独特の表現をうまく英語で表せるような表現力を身につけ,さらには100語程度の分量で意見を論理的に書けるように英作文の演習も積んでおきたい。
最後に,京大レベルの演習に精力的に取り組み,第三者の添削を受けるようにしよう。英訳・和訳の比重は依然大きいが,近年の出題形式は流動的な部分があるので,自由英作文を含め,一般的な国公立大の記述型問題には対応できるように対策をしておこう。Z会では,さまざまな問題形式を総合的に扱っていく。

 

▼「京大コース」英語担当者からのメッセージ
京大英語は,英文和訳と和文英訳の大きな2本柱で構成されたシンプルな出題で長年固定されていましたが,ここ数年で変化が現れています。長文読解では,内容説明問題や空所補充問題などの出題が含まれ,下線部和訳だけの出題ではなくなりました。英作文も,和文英訳に加えて自由英作文が出題されるようになりました。長文読解,英作文ともに共通するのは,難度の高い英文や英作文で解くのに時間がかかることです。単に空所や下線部の前後だけの確認にとどまらず,英文全体を俯瞰する必要があります。
さらに今年度の変化として,長文の内容に関して100語程度で自分の意見を述べるタイプの自由英作文が出題されました。近年の京大英語では自由英作文の要素が増えてきており,昨年は和文英訳の中に空所補充を含む形式や会話の中に設けられた空所を埋める形式などで出題されていました。今年度はさらに自由度が増し,与えられた条件に対して自分の意見を論理的かつ具体的に述べる力が問われました。文法・語法の正確な運用力はもちろんですが,限られた時間の中で正確に文脈をおさえる読解力と,答えるべき内容が相手に正しく伝わるように自分の知っている単語・構文で論理的に表現する力が求められていると言えます。Z会の京大コースでは毎月長文読解と英作文双方の演習ができるように設計されています。質の高い問題で実戦的な演習を積み,自分の解答に添った添削指導を受けることで,第三者に伝わる確かな記述力を身につけることができます。Z会を通して記述量の多い京大入試でも確実に得点できるようにし,京大合格を勝ち取りましょう!

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