「日本史」2019年度京都大学個別試験分析

分析速報

■分量と難度の変化(時間:90分) 
・出題構成は,例年通り,大問4題構成で,Iが史料問題,IIが幅広い時代の空欄補充型の雑題,IIIがリード文形式の空欄補充・単答問題,IVが論述問題(200字×2問)であった。
・細かい用語の難問は減り,単答問題・論述問題ともに昨年度より易化したが,全体的な難易度は標準である。

■今年度入試の特記事項
・2016年度・2018年度で見られた図版資料を提示した問題は見られなかった。
・2018年度で見られなかった短文記述問題が復活し,4問見られた。
・2016年度~2018年度で1~2問出題されていた選択問題が見られなかった。
・2018年度に1問であった原始からの出題が,2019年度は6問となった。

■合否の分かれ目
・I~IIIは概ね基本事項なので,ここで取りこぼしをしないようにしたい。すべて記述なので誤字で失点しないよう,正確な漢字で歴史用語を書けるようにしておきたい。
・最も差がつくのはIVの論述問題だと考えられる。2019年度は「~に留意して」などの指示がなく,例年以上にシンプルな問いかけであったが故に,題意を的確につかみ,それに即したまとめ方ができるかどうかがポイントとなった。

 

■大問別ポイント
 大問I  
・例年通り,文献史料からの出題で,空欄補充・単答形式で問われた。
・史料は,A:道鏡(『続日本紀』宝亀3年4月丁巳条),B:モリソン号事件(渡辺崋山『慎機論』),C:山県有朋の井上毅あて書簡 (1890年9月23日)。
・設問文から解答できる問題がほとんどである。但し,問(3)のように文脈から判断する問題,問(10)のように史料中の語(ゴローウニン)から判断する問題も見られる。
史料中の語や文脈から判断する問題も見られる。
・問(5)は,「神器」から,皇位を想起できたかどうかがポイントであった。
・問(12)(15)(17)は,設問や史料出典で示された年代に注目して導きたい。

 大問II  
・例年通り,複数の短文の空欄補充形式の出題であった。
・原始・古代,近世と昭和戦前期までの近・現代から,政治・社会・外交・文化と幅広く問われた。
・2018年度に出題が減少し1問となっていた,原始からの出題が6問見られた。アは旧石器時代を地質年代でいうとどの時代かが問われた。
・岡田山1号墳の所在地を問うキ(島根)は細かい知識でやや難。それ以外は基本知識で解ける問題が中心で,満点をねらえる問題であった。

 大問III  
・例年通り,リード文型の空欄補充・単答形式の出題であった。
・3つのリード文のテーマは,A:平城京と平安京の寺院,B:中世の守護,C:昭和戦後期における外交課題。
・ウ(顕戒論),サ(日華平和条約)は細かい知識でやや難。
・問(2)「11世紀前半」がヒントとはなるが,特定が難しい問い方をしており,やや難。但し,京大で頻出の,地理的な把握を問う問題である。京大志望者であれば,平安京の地理的なイメージまで押さえておきたい。
・問(13)は,改元を意識した問題。(い)は,戊辰戦争を想起すれば導ける。
・問(14)は,2000年代からの出題である。全時代・全範囲抜かりなく学習をしておく必要がある。

 大問IV  
・例年通り,200字の論述問題が2問出題された。
(1):執権政治の確立過程における,北条時政・義時が果たした役割
・端的な設問文であるため,題意に沿って解答に必要な要素の取捨選択をするのが難しい。
・執権政治の確立期という短い期間が問われているが,時政・義時に関わる事項を羅列するだけではなく,それぞれの事項の意義に留意しながら,設問要求の「執権政治確立に果たした役割」に引き付けてまとめられるかどうかがポイントであった。その際,「北条氏の権力の拡大」と「北条氏を中心とする御家人による合議制」という両側面をバランスよく盛り込みたい。

(2):近世石高制の成立過程,石高制に基づく大名統制と百姓支配
・近世石高制の成立が太閤検地にある,ということはすぐに想起できただろう。
・近世石高制の成立,つまり全国の生産力を米の量で換算できるようになったという点に関わる太閤検地の要素を過不足なくまとめていけばよい。
・大名統制と百姓支配に関しては,江戸幕府が石高に基づき,大名と百姓それぞれをどう支配し,どのような負担を課したかを述べればよい。

 

 

 

攻略のためのアドバイス

京大日本史を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 全時代・全分野にわたる知識
京大日本史では多くの単答記述問題が出題される。毎年幅広い時代・分野が満遍なく出題されるため,全時代・全分野にわたる知識と,それを正確に書ける力が必須である。とくに学習が疎かになりがちな昭和戦後史や文化史の出題も多く見られるので,漏れのないように学習してほしい。

●要求2● 史料の正確な読解
京大日本史では様々な時代の史料が出題されている。未見史料も必出なので,史料中のキーワードや出典・設問文をヒントに史料文を読解する力を身につける必要がある。

●要求3● 設問の要求に沿った論述
例年200字の論述問題が2問出題されている。リード文などヒントのない端的な設問で出題されるので,設問の意図を的確につかむ力と,知識を取捨選択して論理的に解答を組み立てる力が必要である。また,各時代・分野の重要テーマが出題されることもあるため,論述問題で出題されやすいテーマについては,一通り解いておくようにしたい。

基礎力の完成
まずは要求1を満たすことをめざそう。京大で出題される細かな知識問題に対応するためにも,教科書の基本事項は早めに身につけておきたい。また,既習分野については論述問題の対策も始めよう。Z会の通信教育で,知識の拡充と論述のトレーニングの両方が可能である。

入試形式に合わせた対策
要求2・3を強化するためには,史料問題・論述問題の演習を繰り返そう。但し単答問題の多い京大日本史では,知識量の底上げも必要なので,バランスのよい演習をしていきたい。Z会の通信教育では,答案を作成する力の養成を念頭に京大対応の問題を出題する。

実戦演習
京大日本史は時間に比して出題数が多いので,実際の入試での時間配分を考えながら演習を行う必要がある。時間を計って解くなどして,より本番に近い答案作成を行おう。

 

▼「京大コース」日本史担当者からのメッセージ
・2019年度の出題は,全体的に取り組みやすい印象でした。しかし試験時間90分に対して,単答70問+200字論述2問というハードさは今年度も健在でした。I~IIIの単答は,迷っている時間はありません。解答用語は基本的なものが中心ではありますが,問い方に一癖二癖あるものや,よく読まずに反射的に答えると間違えそうな問題なども散見されるため,“焦らず設問をよく読み,かつ手早く解答する”ことが求められます。
・2019年度は原始から2000年代までと,幅広い時代が出題されました。京大の特徴である“全時代・全分野”に対応するため,知識に抜け・漏れがないようにしておく必要があります。
・Iの史料問題を解く際には,史料本文の内容や注はもちろん,出典にも気を配り,史料の時期を特定する必要があります。史料問題の演習を積み,慣れておきましょう。
・2019年度 IVの論述は, (1)(2)ともに留意事項がなく,端的な設問文の題意に即して必要な要素を取捨選択し,解答をまとめなければならない問題でした。シンプルな問いかけであるからこそ難しい京大型の論述問題に,どれだけ取り組んでいたかが差につながっています。
・京大で求められる幅広い知識,史料問題への対応力,題意に即した解答をまとめる論述力を伸ばすためには,十分な問題演習が必要です。Z会の「京大コース」は,バランスよく知識,史料,論述の対策を行えるようになっています。また,論述力を伸ばすためには,添削指導を受けることが効果的です。自分の解答が設問意図に沿ったものになっているか,解答すべき要素で不足している点はないか…など,Z会ならではの丁寧な添削指導を通して確認し,論述力を伸ばしていきましょう。

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