「京大物理」2020年度個別試験分析

このページでは2020年度入試分析を掲載しています。最新年度(2021年度)入試分析はこちらからご覧ください。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 分量は増加。
  • 難易度はやや難化。2017年度,2018年度の2年間は易しい出題が続いたが、2019年度は2016年度以前のような難度の高い出題に戻り、2020年度もその傾向が続いた。

2020年度入試の特記事項

  • 2020年度は、力学、電磁気、熱力学の分野からの出題で、2019年度同様に難度の高い問題が出題された。
  • 2017、2018年度の2年間は易しい出題が続いていたが、2019年度から2016年度以前のように難度が高く、かつ複雑な計算処理が要求される問題が出題されるようになり、本年度はその傾向がより強まった。
  • 2019年度に比べて空欄の数が増加し、例年並みの38題に戻った。また、論述問題は2019年度から増加傾向にあるが、本年度もその傾向が続き、2019年度と同じ6題出題された。

合否の分かれ目はここだ!

  • 京大物理においては、問題文の情報量の多さ、問うている状況の目新しさやイメージのしにくさ,近似をはじめとする計算量の多さや煩雑さが、難易度を高くしている要因である。いかに問題文をすばやく読み、必要な情報を抽出して整理し、正確かつ迅速に計算ができるかが合否の分かれ目と言えるだろう。
  • 限られた時間で高得点を取る戦略としては、まず全ての問題を概観し、解きやすそうな大問を見つけ,前半部分の基本的な問題を確実に解答することを意識したい。考えが煮詰まったり時間がかかりそうであったりすれば、ひとまず飛ばして別の大問に移るとよい。また、すべての問題を通して、論述問題である「問」形式の問題は難度が高いが、最初の立式やグラフの概形だけでもよいので、自分のわかる限りのことを書き、少しでも得点に結びつけようとする姿勢を持つことが大切である。普段の学習においては、すばやく正確に計算する練習をすることや、答の次元や符号の正負を確認しながら解き進めミスをなくす工夫をすることなどを通して、物理の土台となる力をしっかりと涵養してほしい。
  • 物理問題Ⅰでは、「」、「」を正しく解答し、その後の問題をスムーズに解き進められるかが重要だった。
  • 物理問題Ⅱでは、(3)と問2、問3を解答できるかが重要だった。
  • 物理問題Ⅲは計算量が多かったが、計算量が比較的少なく基本的な問題である「あ」〜「き」までをいかにすばやく正確に解答できるかが重要だった。
  • 2020年度は、全体で5割5分は得点したい試験であった。
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 物理問題 I  力学[難]
糸とばねでつながれた2つの小球の運動

  • (1)は単振動の基本的な問題であるので、難易度が高い最後の「」以外は確実に得点したい。
  • (2)は(1)に比べ問題の状況がイメージしにくく、特に「ケ」、「コ」に戸惑った人が多かったかもしれない。しかし、状況が整理できさえすれば、その後の問題はエネルギー保存則等を使って比較的単純に求めることができる。
  • 問1のグラフ問題は問題の状況をイメージできないと解答することが難しい。
  • 計算量は多くないものの、状況を正確に理解することが求められる難易度の高い問題であった。

 物理問題 II  磁気[やや難]
コイル、コンデンサー、ダイオードを含む回路の電気振動

  • (1)は基本的な電気振動の問題で易しい。
  • (2)や問1のグラフ問題も標準的であるので、符号の正負や電流と電圧の位相差などに気をつけて確実に得点したい。
  • (3)はダイオードが含まれる回路において周期的に電流が変化する問題で、見慣れない設定に戸惑ったかもしれない。
  • 問2、問3は、情報を整理し問題文で与えられた条件式や消費電力の式に、前問までの結果を代入し計算すればよいが、与えられた物理量の多さや状況の複雑さに混乱した人もいただろう。
  • 前半は基本的な問題であったが、(3)以降でどれだけ得点できたかがポイントとなる。また、符号の正負などのケアレスミスに注意して基本的な問題を確実に得点したい。

 物理問題 III  熱力学 [やや難] 
壁が動く箱内における気体分子運動論、断熱変化

  • 「あ」〜「き」までは壁の間隔、時間、気体の圧力,壁ではね返った後の粒子の速さなどを求める基本的な問題で、確実に得点したい。「え」のような近似計算は京大では頻出である。
  • 「く」以降は近似を用いて断熱変化におけるポアソンの法則を導出する問題であるが、計算量が多いので,時間のロスや計算ミスに気をつけたい。
  • 「さ」はそれ以前ができなくても、また、「し」は知識があれば解答できる問題なので、得点しておきたい。
  • 問1、問2は二原子分子の断熱変化を考える問題。問1は計算量が非常に多いため時間内に解答することは難しいが、立式自体は容易なので式だけは解答したい。また、二原子分子のγの値が7/5であることなどは、京大受験生であれば押さえておいてほしい。
  • 全体を通して量が多く難易度も高いが、基本問題を確実に得点したい。


 攻略のためのアドバイス

京大物理を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 問題文を読解する力

京大物理は、問題文が長く、問題の設定を理解することに時間がかかる場合が多い。設定をきちんと把握するためには、相当の読解力が必要である。問題文にはヒントが含まれていることも多く、この読み取りが合否を分ける。

●要求2●正確かつ迅速に計算する力

京大物理では、例年、設問で与えられる記号(物理量)が多く、設問数も計算量も多い。このため、煩雑な計算をミスなく、かつ、速く解く必要がある。

要求3● 解くべき問題を見極める力

京大物理は、例年、問題文が長く、計算量も多いため、時間内にすべて解くのは厳しい。このため,試験開始直後に問題全体にざっと目を通して解くべき問題を見極め、解答に必要な時間を適切に配分することが、合格点の確保に向けて重要となる。大問の途中で解けない設問があっても、最後の方に独立して解ける設問がある場合が多いので、諦めず全体に目を通し、「解ける設問を確実に解く」姿勢が、合格には必須である。

 

対策の進め方

まずは、●要求2●を意識して、ミスなく要領よく解答できる力をつけよう。次に、基礎力がある程度ついたら、京大レベルの問題に慣れていこう。Z会の通信教育では、読解力向上や重量級の計算にも対処する力の養成を念頭においた出題を行っている。
また、●要求1●や●要求3●は実戦演習の中で培われる力である。京大物理は、早めに基礎を固め、徐々に長い問題文に慣れていかないと、太刀打ちできない。自分の得意不得意、問題の難易度を意識し、試験時間をめいっぱい活用して得点を最大化できるような解き方を身につけてほしい。

Z会で京大対策をしよう

Z会京大物理担当者からのメッセージ

本年度の京大物理は昨年度に引き続き,問題の状況の理解に時間がかかる上に、分量や計算量が多く、時間内に解き切ることが難しい試験でした。物理問題Ⅰにおいては小球の運動の様子のイメージのしづらさに、物理問題Ⅱにおいては与えられた物理量の多さに、そして、物理問題Ⅲにおいては,近似計算や最後の問1の計算に骨が折れた人も多かったことでしょう。とはいえ、全体を通して、各大問の前半部分は基本的な問題も多いため、京大物理においては基本問題をいかにすばやく確実に解答できるかが重要です。また、他の受験生と差がつく「やや難」レベルの問題や、目新しい題材の問題をいかに多く解けるかが、合格の鍵と言えるでしょう。

京大物理の出題をみると、最初は面食らうかもしれませんが、目新しい題材ほど誘導が親切で、解きやすいことが多いです。大切なことは2回書いてくれたり、途中で検算になるヒントを散りばめたりしてくれていますので、ヒントを見落とさず、確信をもって解き進められるようになってほしいです。Z会の[本科]京大コースでは、問題文から状況を正しく読み解き立式する練習を通して,難度の高い京大物理にも対応できる力を養います。演習を繰り返すことで、京大で頻出の目新しい設定の問題に出会っても、最後まで解ききる力が身につきます。粘り強い演習を積み重ねて、京大合格を勝ち取りましょう!

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