2人の子どもを東大に送り出した母と、母を育てた祖母に聞いた、子どもへの接し方_2016.8

2016年8月10日

カテゴリー : 教育情報全般

2人の子どもを東大に送り出した母と、母を育てた祖母に聞いた、子どもへの接し方

2016年春、一人の男子生徒が兄に続いて東大に入学しました。母として2人の息子を東大に送り出したのは、関東地方に住む板東恵子さん。板東さんの子育てには、板東さんの母・田口鈴代さんのサポートがありました。2人の母娘は、どのようにして東大生を育てたのでしょうか?

 

<東大に合格した兄弟の母と祖母のプロフィール>

板東恵子さん(母)
関東地方に在住し、フルタイム勤務をしながら男児2人を育てる。子どもたちは2人とも東大に進学した。
田口鈴代さん(祖母)
板東さんの母。東海地方に在住。板東さんを含めた姉弟2人を育て上げ、現在は地元の大学の社会人向け講座で学ぶとともに、シルバー人材センターや観光協会の活動に注力するなど、精力的に活動されている。

 

子どもたちの意思を尊重する──母・板東さん

 

2人のお子さんを東大に合格させた板東恵子さん
2人のお子さんを東大に合格させた板東恵子さん

長男、次男はそれぞれ別の中高一貫校に進学しましたが、どちらの学校も大学受験を重視した授業はさほど多くなく、学校以外の学習ツールを使って受験に向けて準備する必要がありました。
そこで、子どもたちに薦めたのがZ会です。長男は野球部の活動に忙しくて塾に行く時間がありませんでしたし、次男はマイペースで、自宅で過ごすことが好きでしたから、Z会が合っているんじゃないかと思ったんです。
ただ、受講するかどうかや、普段の生活や勉強の仕方、進路などは、本人の意思を尊重してきました。もちろん、「こうしてほしい」という希望がないわけではないのですが、本人が考えた上で出す結論ですから、私がとやかく言うものではないと考えています。
勉強法もそうです。2人とも中学受験のときに塾で夜遅くまで勉強する生活が嫌だったようで、中高では「早寝早起き、勉強は朝にまとめて」というスタイル。「夕食後も勉強すればいいのに」と内心思ってはいましたが、本人たちが「朝だけで大丈夫」と話すので言うのは控えていました。
子どもたちの勉強場所は幼いころからリビングで、受験期も変わらなかったので、私たち親がテレビを見たいときは無音で見ていました。見るのを我慢すると逆にストレスになるので、ほどよい着地点だったと思います。また、仕事や趣味に力を入れて、子どもたちに変なプレッシャーをかけないようにも心がけました。受験を前にすると、子ども以上に親がピリピリしがちなので、子どもたちを信じて、親は親で熱中できることを見つけるのがいいと思います。
「本人の意思を尊重する」という板東さんの子育てのスタンスは、板東さんご自身の育ち方からも影響があったようです。板東さんの母である田口さんに、お話を伺いました。

 

干渉しなかったから、子どもたちが自立してくれた──祖母・田口さん

祖母・田口さん
娘さんの子育てを積極的にサポートし、お孫さんとのコミュニケーションが緊密な田口鈴代さん

──田口さんはお孫さんにどのように関わっていらしたのですか?
孫たちが保育園に通っていたときは、孫が病気をして娘や娘婿が休めないときに新幹線に乗って駆けつけて世話をすることがよくありました。そうでなくても遊びに行ったり、電話をしたりすることも頻繁でしたね。今も娘とはほぼ毎日SNSでやりとりしています。孫たちとも、よくSNSでメッセージを送り合っていますよ。今年、東大を卒業した孫(板東恵子さんの長男・孝訓さん)から、卒業式を見に来てほしいと言われた時はうれしくて。もちろん、出席しましたよ。
──田口さんの娘さんは、どんなふうに子育てをされていたのでしょうか?
何事も子どものやりたいようにさせる、ということを貫いていたように思います。あとは、子どもたちが「親に認められている」ということを感じられるようにもふるまっていましたね。例えば、毎朝子どもたちが学校に行くときには、マンションの1階まで一緒に降りて姿が見えなくなるまで見送ったり、帰宅したら抱きしめて1日を元気に過ごせたことを喜び合ったり…。ここまでのことを私はできないなと思ったことを覚えています。
──田口さんご自身は、2人のお子さまをどのように育てられたのですか?
私自身は、あまり子どもたちにかまってあげられなかったですね。仕事をしていたものですから、帰宅後は食事の準備やそのほかの家事で忙しくて。私が家事をしている傍らで、子どもたちは本を読んだり、テレビを見たりしていることが多かったです。勉強しろと言ったことはありません。
そんなふうだから、子どもたちは進路にしても何にしても、自分で考えて、結論を出した上で私に相談してくるんです。だから私がしていたのは、それを否定しないこと。子どもから「こうするね」と言われれば「あら、そう。わかった」と自信をもって頑張れるように認めるだけでした。
ただ、一度だけ娘の意思とは異なる希望を出したことがあるんです。受験する大学のことでした。地元の国立大に入ってほしくてそう言ったんですが、娘は「東京で頑張ってみたい」と学費の安い東京の私立大を見つけてきて。それなら、ということで娘を後押しすることにしました。
──子育てをする上で、何か大事にされていたことはありますか?
子育てをする上で、というわけではないですが、私自身、愚痴を言わないこと、人に迷惑をかけない自立した生活をすること、時間を無駄に過ごさないこと、人の喜ぶことをすることなどを大事に生きてきました。そうやって忙しくしてあまりうるさく言わなかったものですから、子どもたちが勝手に自立してくれたんだと思います。娘から「お母さんが干渉してこないから自立できた。感謝してるよ」と言われたことがあります。手前味噌ですが、よく育ってくれたなと思います。

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