執筆者:下野安慶(Z会進学教室 上本町教室長/数学科)
記事更新日:2021年9月17日
【連載:高校入試を知る!】大阪府公立高校篇
今回から、高校受験を考える小学6年生とその保護者の方に向けて、シリーズで入試制度についてお伝えします。シリーズ第1弾は、Z会進学教室上本町教室で教室長を務める下野より、大阪府公立高校(一般選抜)の入試制度についてお話ししましょう。
公立高校といっても、都道府県によってかなり違いがあります。大阪府の入試制度はちょっとだけ複雑です。1つ1つ解きほぐしていきます!
合否を決める要素
大阪府の公立入試では、他都道府県と同じく、基本的には
①内申点
②学力検査
の2つの得点を合算して合否を決めます。
①内申点は、学期の終わりに学校からもらう「通知表」にある5段階の数値の合計です。得点として使用される成績は、各学年末にもらう通知表の成績で、中1、中2、中3の成績すべてを使用します。
②学力検査は、3月に実施される筆記試験で、5教科を当日にすべて受験します。次からの項目で、それぞれについてもう少し掘り下げていきましょう。
取り組む姿は見られています! ~内申点~
内申点は、主要5科(英数国理社)+副教科4科(音・美・技家・体)の合わせて9教科の5段階評価で、45点満点です。これが3学年分なので45×3=135点、と思いたいところですが、実はそうではありません。
大阪府では、各学年の成績に「中1:中2:中3=1:1:3」という傾斜をかけ、450点満点にする作業が入ります。具体的には、
中1:45×2=90点 中2:45×2=90点 中3:45×6=270点 となり、これらを合わせると450点となります。
こうなると、中3の成績にかなりウエイトが置かれていることがお分かりかと思いますが、かといって、中3から挽回!という姿勢では困りますね。内申点は定期テストの得点はもちろん、提出物の期限内提出、授業中での受講姿勢など様々な要素を総合して評価が付けられます。中1からしっかり成績を意識し、満点をめざすことが基本です。そのためには、人にどのように見られているかという客観的な視点も、中学生にとっては身につけるべき大切なことの一つです。
真の実力とは? ~学力検査~
学力検査は、1科目90点満点の5教科分(英数国理社)で、合わせて450点満点となります。傾斜はかからないので、得点の付け方としては非常にシンプルですね。
ただ、大阪府の学力検査には、英数国の3科については難易度別で3タイプの入試問題が作成されていて、各高校がどのレベルの問題を使って入試をするか、自由に選択することができます。易しい順にA問題、B問題、C問題となっていて、C問題が最も難しい入試問題となります。このC問題は、一般的な公立入試問題よりもレベルが高く、加えてスピードも求められます。学校の勉強だけで太刀打ちすることは非常に困難です。さらに、かなり多くの公立高校でこのC問題が採用されている、というのが実情です。
学校の定期テスト、5段階の評定が良くても、C問題がしっかり解けることとは別問題と思っておいて良いです。中1からしっかり応用問題に取り組んでいく姿勢を養いたいものですね。
学力検査重視か内申点重視か? ~倍率タイプ~
大阪府では、さらに内申点と学力検査の2種で傾斜がかかります。全部で5タイプあり、学力検査:内申点=・・・
・タイプⅠ→7:3(630点/270点)
・タイプⅡ→6:4(540点/360点)
・タイプⅢ→5:5(450点/450点)
・タイプⅣ→4:6(360点/540点)
・タイプⅤ→3:7(270点/630点)
となっています。これも、各高校がどのタイプを採用するか自由に選択できますので、生徒様が志望する高校がどのタイプを採用しているか、チェックが必要です。ただ、いわゆる上位・最上位に位置する高校は、ほとんどがタイプⅠを採用していますので、学力検査でしっかり得点できるようにすることが合格のポイントです。
終わりに
その他の要因としては、
①学区はなし(大阪府在住であれば、大阪府下公立はどこでも受験できます)
②検定試験の所持級によって、得点保障がある(例えば、2級を持っていれば72/90点が保障される)
などがあります。より詳細な内容は大阪府教育委員会HPをご参照ください。
いかがでしたか? 少し複雑な部分はありますが、大事なことは、制度や情報に流され過ぎず、お子様の学習に対する興味・関心をしっかり引き出してあげることです。我々が皆さまにとってその一助となることができればこれに勝るものはありません。いつでもZ会の教室までご相談ください。
この記事の著者
下野安慶(しもの・やすきよ)
2015年入社。兵庫生まれ、兵庫育ち。長らく神戸三宮・梅田・上本町で数学講師、そして上本町教室長として従事し、現在に至る。子ども達は日々進歩しています。我々大人もその進歩に合わせて成長しなければなりません。教室という場ではそれをひしひしと感じ、どうすれば生徒にとって最も良い形となるか、日々奮闘しています。生徒にとって頼れるアドバイザーであり、かつ大きな壁でもあり続ける、そんなZ会の教室の門を是非叩いてみてください。