第12回 【入試制度】埼玉県公立高校篇 ~小学6年生のあなたへ~

執筆者:石井謙一(Z会進学教室 大宮教室長/数学科)
記事更新日:2021年9月24日

【連載:高校入試を知る!】埼玉県公立高校篇

みなさん、こんにちは。Z会大宮教室の石井と申します。よろしくお願いいたします。さて、今回は埼玉県にお住まいで県公立高校の受験を検討されている皆様に、その仕組みをお伝えいたします。埼玉県は公立志向の強い県です(県公立志望の中学3年生は毎年ほぼ全体の約65%です)。今後の学習や志望校を考える際の参考になさってください。

では、まず形式的ではありますが、以下3項目についてその概要を記します。

一般入試の選抜方法、学力検査・調査書について

◆Ⅰ.一般入試 選抜方法と入試日程◆
≪選抜方法≫
・一回の入試で第一次選抜と第二次選抜の二段階選抜を行い合格者を確定する
・第一次選抜による合格者は定員の60%以上、第二次選抜による合格者は定員の40%以下
①学力検査の得点+調査書の得点(+実技検査・面接 の得点)の合計で合否を決定
②第一次選抜と第二次選抜で学力検査の得点と調査書の得点の比率を変える。以下の範囲内で、各高校が自由に決めることができる。
→ 第一次選抜…4:6~6:4  第二次選抜…3:7~7:3
③調査書の得点には「学習の記録の得点」の他「特別活動の記録の得点」や「その他の項目の得点」などがあるが、配点の詳細については各高校により異なる

 ≪入試日程≫
県公立高校入学者選抜の日程(令和4年度の場合)
願書、調査書等の出願    2月10日(木)・14日(月)・15日(火)
志願先変更期間       2月17日(木)・18日(金)
学力検査          2月24日(木)
実技検査・面接       2月25日(金) ※ 一部の高校のみ実施
合格発表          3月 4日(金)

◆Ⅱ.学力検査について◆
① 英数国理社すべて50分の100点満点
② 学力検査問題、学校選択問題(※)ともに記述量の多いことが特徴
③ 他県に比べ、記述・説明問題が多い.また難問も多い
④ 思考力・判断力・表現力を必要とする応用問題の配点が高い
※ 一部の上位校では、学校の判断で英数の2科目のみ難易度の高い「学校選択問題」を採用する

◆Ⅲ.調査書の得点について◆
次のものが点数化される.
① 学習の記録(9教科3学年分)
② 特別活動の記録(学級活動、生徒会活動、部活動など)
③ その他の項目(出欠記録、資格取得など)
⇒ ②③の中の、どの項目をいかに評価するかは各高校によって異なる。
例えば、部活動で「3年間活動したこと」自体を評価する高校もあれば、
「全国大会に出場」相当のものすごい実績でないと評価の対象にしない高校もある。

第一次選抜と第二次選抜って? 2回試験があるわけではない

それでは、詳細に説明いたします。ここからが要です…

昔、県公立の入試は一般の学力検査試験の他、推薦入試などもありました。また、前期試験・後期試験と2度のチャンスがあったのですが、現在は1回のみの入試で、「学力検査の得点(入試得点)と調査書の得点」の総合成績で合否判定されます。(高校によってはさらに実技検査や面接なども課されますが、上位校では実施されません。)さて、その選抜方法ですが、第一次選抜と第二次選抜(高校によっては第三次選抜もありますが、これは今は気にしないでください)と二段階選抜を行います。これは、二回入試があるとか、一次試験・二次試験という意味ではございません。試験は一回切り、それを、入試得点と調査書点で比率を変えて選抜するということです。

では、ここで少し噛み砕いて分かりやすくご説明いたします。少し余談めいた話となりますが、お付き合いください。

第一次選抜は「(入試得点+調査書点)の合計のうち、入試得点の占める割合は最大6割までOK、合格者数は定員の60%以上とする」というルールがあります。これは、「入試当日の得点さえ取れれば学校の成績(調査書点)なんてどうでもいい」という状況を避けたい意向があるためです。言い換えれば、「最低でも定員の60%は入試も学校も共に頑張った人たちをちゃんと合格にします」というメッセージなのです。しかし、第二次選抜は入試の得点に重きを置いて合格者を出したいという上位校の意向を尊重したものでしょう。「(入試得点と調査書点)の合計のうち、入試得点の占める割合は最大7割までOK、合格者数は定員の40%以下とする」というルールがあります。言い換えれば、「入試を頑張った人を合格としたい、でもそれは定員の40%までとする」というメッセージなのです。

例などを挙げてまとめてみたいと思います。
・学力検査(入試)の得点 500点(固定)
・調査書の得点(各高校ごとに比率などは定める)
学習記録の得点・特別活動等の記録の得点・その他の項目の得点の合計
←学習の記録は3年間の各学年の9教科の評定とし、各高校ごとに比率を設定。
←多くの高校は、中1:中2:中3=1:1:2 もしくは1:1:3などと中3時の比率を高く設定。
・第一次選抜 入試得点:調査書点=6:4~4:6 に設定。定員は60%以上。
・第二次選抜 入試得点:調査書点=7:3~3:7 に設定。定員は40%以下。

埼玉の入試は中1から始まる!

≪大宮高校の普通科を例にとって見てみましょう…≫
〇学力検査 500点
〇調査書 学習の記録(中1:中2:中3=1:1:2)45点+45点+90点=180点
特別活動の記録 90点
その他の項目  90点
合計360点←換算される

わかりやすく、下のように図式化してみましょう…300人合格 / 500人受験としてみます。

①第一次選抜 (入試得点):(調査書点)=6:4で選抜
→学力検査500点,調査書点334点 合計834点満点

<ここで、第一次選抜による合格者(定員の60%)を決定 180人先抜け>

<次に、第一次選抜で合格できなかった者(320人)を第二次選抜の対象にする>

②第二次選抜 (入試得点):(調査書点)=7:3で選抜
→学力検査500点,調査書点215点 合計715点満点

第二次選抜による合格者(定員の40%=120人)を決定し、合格者(300人)を確定

上位校の場合ほとんどが、上に示した例のように、第一次選抜、第二次選抜ともに入試の得点を、最大で許されている6割と7割の比率でそれぞれ設定しているのです。上位校の本音は、入試得点 : 調査書点 ≒ 7 : 3 で全員合格を出したいのだと思われます。

ちなみに、合格者が第一次選抜で合格したのか、あるいは第二次選抜で合格したのかは永遠の謎です…教えてもらえないようですよ。

埼玉の入試は、中学1年から始まっています。東京都立高校のように「調査書点は中3の12月時点のものを使用する」というのとは異なります。中3になってから頑張ればいいというものではないのです。また、英数で実施されている学校選択問題(上位校で実施、令和4年度は22校で採択)というのは、公立高校としてはかなり難しく、早いうちからの対策が有利に働きます。全県共通の国理社学力検査問題についてもここでは詳しく触れませんが、埼玉県独自の入試スタイルがありますので、中1のうちから苦手分野を作らずに様々な問題に対応できるよう、やはり早いうちからしっかり取り組んでください。

中学に上がるみなさんへのメッセージ_県公立高校対策のヒント

いきなりですが、国語の学習をしっかりと行ってください。国語という教科は、教科の枠を越え全ての教科に影響を及ぼします。最近の入試では、読解力はもちろん、思考力や表現力などがどの科目でも必要とされています。はっきり申し上げて、国語の苦手な中学生は受験には不利です。中1のうちから(文法や古文の学習も含め)記述と読解のトレーニングをしっかりと行いましょう。そして、次は理社科です。この2教科は決して苦しむ科目、我慢比べの科目ではない、楽しむ科目です。また、単なる暗記科目でもありません、考える科目です。世の中の実生活に役立つ科目(実学といいます)です。スタート時から興味を持って取り組める中学生になってください、その可能性はみなさん全員にあります。理社科を軽視する中学生が多く、それでは大切なことを見失ってしまうのです。

Z会の教室では、英数はもちろんですが、国理社の指導にも中1のうちから相当力を入れております。すべて平等に重要な科目であると位置づけております。それぞれが100点満点ですからね。5教科すべてがそれぞれの教科の枠を超え、互いに響きあっているのです。その音が聞こえるようになってほしいと願っております。

最後になりますが、中学にこれから入学される皆さん、あまり入試制度などにはとらわれず、学びの幅を広げていってください。自分のやりたい部活動と勉強を上手に両立し、楽しくのびのびと健やかに、日々の生活を送ってください。みなさんの頑張りを応援します。スタートが大事ですよ!

この記事の著者

石井謙一(いしい・けんいち)

Z会大宮教室長として長年埼玉県の中学生に数学を指導する。自身は中学の時は数学が大好きだった。高校へ入ると数学の授業は大嫌いになる、授業がつまらなかったから。指導する先生の存在は大きい。でも、数学は愛していた。数学が苦手な生徒の気持ちがよくわかるという。Z会の生徒はほんとによく勉強するし、生徒から教わることもたくさんあるとか…。これからも生徒と一緒に数楽していきたい。

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