執筆者:大西正晃(Z会進学教室京都教室 教室長)
記事更新日:2021年10月15日
【連載:高校入試を知る!】京都府公立高校篇
こんにちは。Z会京都教室の大西です。入試制度シリーズとして、今回は京都府公立高校の入試制度についてお話しいたします。公立高校といっても、都道府県によって違いが多々あります。京都府の入試制度の仕組みはどうなっているのでしょうか?特徴として、入学選抜試験が3回に分かれています。
選抜の種類
京都府の公立高校の入試は3種類の選抜があります。それぞれの特徴を解説していきます。
①前期選抜 2月の中旬に実施・・・募集学科は専門学科及び普通科
②中期選抜 3月の初旬に実施・・・募集学科は普通科のみ
③後期選抜 3月の下旬に実施・・・2次募集
今回は、関わりの大きい①と②についてのみ取り上げて説明いたします。ちなみに、公立高校ですので、①→②→③の流れの中で、合格=入学となります。つまり①で合格になれば、②以降は受験できません。
①前期選抜で募集する学科
専門学科及び普通科の定員の30%を募集する入試選抜になります。普通科は定員の30%ですので、狭き門になりますが、もし前期が不合格でも、中期に再挑戦できるので、皆さん受験されます。では、実際の入試(専門学科・普通科)の特徴を見ていきましょう。
専門学科入試の特徴
合否の判定は、内申点(学校の成績)と当日得点の合算で判定します。それぞれの特徴をお伝えします。
①内申点(学校の成績)
内申点(9科目×5点満点)で3学年の合計なので、135点満点になります。
そして、その数値を学校別の満点に換算しなおします。
例:堀川高校・嵯峨野高校・・・・100点満点に換算 (自身の点数 ×100/135)
西京高校・・・・・・・・・・150点満点に換算 (自身の点数 ×150/135)
②入試問題
専門学科は主に高校独自入試「各高校が独自で作成した問題」を採用しております。
各高校の特徴等はありますが、共通して言えるのは記述問題が多くの割合を占めることです。それは、科目を問わず、例えば、社会でも100字近くの記述問題を問われることも多いです。また、学校によって小論文が課されたり、面接が課されたりします。また、桃山高校のように、社会の実施がなかったり、西京高校のように各教科に傾斜配点されていたりと、学校よって様々ですので、志望校を定める前に確認しましょう。
③受験可能区域
専門学科のみ、京都府内であれば学区関係なく受験することが可能。※一部地域は省く
普通科の特徴
①内申点 (5点×9科目)の3学年合計=135点満点
②当日入試 50点×3科目 (英・数・国)=150点満点 京都府内共通入試問題
②中期選抜の特徴
①内申点 <(5点×学力5科目)+(5点×実技4科目×2)>の3学年合計 =195点満点
②当日入試 40点×5科目 =200点満点
③通学圏内 通学区域によって5つの学区に分かれている。
普通科に関しては、お住まいの通学区域内の高校にのみ出願ができる。
④合否判定法 第1志望第1順位 第1志望第2順位 第2志望 この3校に出願が可能。
ステップ1:募集人員の85%以内の第1順位の合格者が確定 ※京都市乙訓通学圏は90%
ステップ2:上記の合格範囲外の生徒と他校を第1順位にし合格範囲外になった第2順位の生徒で残り15%を判定する
ステップ3:第2志望は、欠員がある場合のみ適応される。
まとめと対策
京都府は複雑な入試制度ですが、意識しておくべき点は目指すべき高校によって対策が変わるということです。御三家といわれる公立上位高校をめざすのであれば、内申点以上に記述力が合格の必須条件となります。また、中期選抜を勝ち抜くには、内申点が最重要となります。まずは、どちらかに偏った方法より、内申と記述力両方を上げていく学習を目指しましょう。
記述力を育成するためにどうすべきか?専門学科の入試問題の記述は、知っているから書けるというレベルではありません。知っている知識を応用して(例えば、別の何かと結び付けて)設問に即した形にで文章化していく必要があります。これは、昔ながらの学習スタイル(自らでは考えず、言われた課題だけの量をこなす学習)では中々身につかない力です。だからこそ、Z会で子どもたちが実践している「自身で計画を立て、書くことを重視する学習、量より質を重視する学習法」を身につけることが、記述力育成の第1歩になります。
何か相談等ございましたら、遠慮なく教室までご連絡下さい。お待ちしております。
この記事の著者
大西正晃(おおにし まさあき)
奈良県生まれ、関西を中心に、文系科目を中心に高校受験の指導を15年。現在はZ会進学教室京都教室で教室長として勤務。受験は成長のチャンス。精神的にも、能力的にも受験を通して、とことん伸びていけるのが高校受験の特徴だと考えています。
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