執筆者:Z会進学教室 祖師谷教室スタッフ
記事更新日:2021年12月23日
親子で乗り切る!冬に負けない生活リズム
クリスマスやお正月など楽しみなイベントが沢山ある冬休み。親子でゆっくり楽しく過ごせることはとても素敵ですが、冬休みは生活リズムが乱れる要注意期間でもあります。思春期を迎えるお子様にとって、生活リズムの乱れはホルモンバランスや肥満等の健康にも影響が出てきます。
この時期、「寒くて起きられない」「うちの子は寝坊助で…」というお話を生徒や保護者さまから時々聞きます。
実は冬という季節は「冬季うつ」という病があるほど心身の健康が乱れやすい季節です。また、小学校6年生の冬休みで乱れた生活リズムがズルズルと卒業まで尾を引き、その後の中学校生活のスタートに影響することもあります。中学校生活3年間を気持ちよく始められるよう、冬の生活リズムが乱れる原因と対策を見ていきましょう。
冬に見られる「体調不良ほどではない不調」
冬場に、眠気が取れない、倦怠感が抜けない、意欲低下や思考が進まないetc.など「風邪などの体調不良ではないけど、何となく調子が悪いな」と感じることはありませんか。それは冬という季節自体が原因の不調なのです。
この不調の原因は主に日照時間の減少と言われています。日照時間が短くなると光の刺激が減り、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが減少。このセロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、ストレス耐性に効果があると言われています。セロトニンの減少が原因となり、脳の活動が低下することで倦怠感や意欲意識の低下が起こります。また、目に入る光の量が減ることで、睡眠に深く関わるホルモンであるメラトニンの分泌のタイミングがずれたり、分泌量が乱れ体内時計が狂ってしまうなどの影響があります。これにより睡眠のリズムが乱れ、常に眠くなってしまうのです。また、人間の体は夜が長くなる冬場に昼の長い季節に比べて、睡眠時間が長く必要になります。しかし現代人の生活リズムは年間を通じて一定であるため、冬場はストレスを感じやすくなることも原因のひとつです。他にも運動不足や食生活の乱れも不調の原因となります。(大人も耳が痛くなる話ですね…。)
このような不調が日常生活に支障をきたすようになると『季節性感情障害(冬季うつ)』となります。
「体調不良ほどではない不調」にならないために
まずは起床時間と就寝時間を決めましょう。特に大切なのは起床時間です。なるべく学校に行く時と同じ時間に起きて、午前中に日光を浴びるようにしましょう。前日の就寝時間が遅く、どうしても眠い時は昼食後に15~30分程度のお昼寝をしましょう。睡眠に深く関わるメラトニンは成長ホルモンの分泌を促し、食欲中枢を整え、体の代謝も良くなります。さらにアンチエイジングの効果もあるので、お子様だけでなく大人にも必要なホルモンです。このメラトニンは目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計から分泌され始めます。ですので、遅くとも22時までには親子で一緒に就寝準備を整えるのが望ましいですね。
Z会の受験生はこのリズムを崩さないために自習室を利用する生徒がいます。また、受験アンケートでもトップ校に合格した生徒の多くが、学習の秘訣や勉強のコツとして「長期休暇中の生活リズムを崩さないこと」をあげています。
次に運動不足と食生活についてです。寒い冬場は外には出たくないものですが、保護者の方の買い出しについていく、ペットの散歩をするなど短い時間でも構いませんので、外に出て歩くようにしましょう。(外を歩いて日光を浴びることにより、前述したセロトニンの分泌を促す事ができます。)これを機に家族で運動をする習慣を身につけるのも素敵ですね。食生活については、暴飲暴食(特に冷たいものや甘いもの)に気を付けましょう。とは言うものの、クリスマスやお正月、旅行や帰省など冬の食事はご馳走がつきものですよね。そのような時には、翌日は胃腸に負担の少ない食事を心がけたり、野菜を多めに摂るなどしましょう。家庭科の教科書を見ながら親子で献立を考えても良いかもしれません。
ダイエットには要注意
しかしダイエットは禁物です。まだ成長期の最中であるのお子様にとってダイエットはデメリットが多くあります。そのほとんどが成長期ではなく大人になってから影響が出てくるものです。病院や学校の保健室からの指示がない限りはダイエットの事は気にしなくて良いでしょう。どうしても気になる人は学校の養護教諭に相談してください。忘れないでいただきたいのは、成長期には「成長期に適したバランスの良い食事」と「適切な運動」が必要であることです。
生活リズムが乱れたら
現時点で生活リズムが乱れている人にとって、冬休みはリズムを正す大きなチャンスになります。就寝時間起床時間が遅くなっている人は毎日15分ずつ早く就寝し、15分早く目覚ましをかけてみましょう。15分ずつであれば身体への負担を最小限にとどめて生活リズムを整えることができます。また、テレビやスマートフォンのブルーライトは脳を覚醒させてしまうので、就寝前1時間は控えるようにしましょう。色々な方法を試しても生活リズムが戻せない、日中の眠気を改善できない場合は、前述した『季節性感情障害(冬季うつ)』や『起立性調節障害』、『ナルコレプシー』の可能性があるので、学校の養護教諭への相談や病院での受診を検討してください。
中学校に進学後は環境の変化だけでなく、生活リズムにも大きな変化が訪れます。特に起床時間は部活動の朝練や試合、遠征、委員会活動などで今までより早くなります。(私は中学校3年間、朝練の為にほぼ毎日6時起きでした。部活動指導者になってから一番早い起床時間は3時です。)そのような変化に適応しやすくするためにも、小学校生活最後の冬は親子で今の生活リズムを省みて、未来の生活リズムについて考えてみるのはいかがでしょう。各家庭や環境、ご時世もありますのでお子様に必要なものや、環境に合ったものをぜひ取り入れてみてください。
まとめ 「小学6年生が親子で冬うつを乗り切るための方法10選」
1.起床時間は学校と同じ時間にする
2.就寝は遅くとも22時まで
3.どうしても眠い時のお昼寝は昼食後、30分以内
4.家庭科の教科書を活用!親子で献立を考えよう
5.親子で買い物に行こう(外へ出て、歩くことが大切)
6.ご馳走の翌日は野菜を多めに
7.ダイエットは要注意
8.生活リズムが崩れたら15分早く目覚ましをかける
9.スマホは就寝1時間前まで
10.それでも改善できない場合は養護教諭、医師に相談を
この記事の著者
Z会祖師谷教室 教室スタッフ
2016年から2年間地元中学校の生徒指導補助員として学校教育に携わる。2018年よりZ会祖師谷教室の教務スタッフとして勤務。受付対応・電話対応や教材の準備、面談の日程組みなど教室運営全般に携わり、生徒一人ひとりが安心して授業を受けられるよう、先生方が授業・生徒指導でベストパフォーマンスを尽くせるよう、快適な教室環境づくりに貢献。縁の下で教室を支える傍ら、プライベートでは中学の部活指導に携わるなど365日教育現場に身を置く。