第28回 教えて!校長先生 都立西高校篇 ~小学6年生のあなたへ~

執筆者:鈴木亮介(Z会進学教室 調布教室長/国語科)
記事更新日:2022年01月21日

【インタビュー企画】教えて!校長先生 ~④ 都立西高校~

Z会の教室による小学6年生の学びを助けるフリーマガジン「親子で始める、中学準備」が、皆さんの憧れる人気校の校長先生にお話を聞くインタビューシリーズ「教えて!校長先生」。連載第四弾は東京・杉並区にある都立西高校。萩原聡校長先生にお話を伺いました。中学入学、そして高校受験に向けて頑張る皆さんに心がけてほしいことや、高校選びのポイント、西高校に通う生徒が心がけている「良い習慣」など、6年生の皆さんや、保護者の皆様が今知りたいことをたくさん伺いました。ぜひ最後までお読みくださいね。

東京都立西高等学校

東京都杉並区宮前4-21-32
京王井の頭線「久我山」10分/JR荻窪駅からバス
http://www.nishi-h.metro.tokyo.jp/
https://www.metro.ed.jp/nishi-h/

萩原聡校長先生は、どんな小学6年生でしたか?

普通の小学生…と言いたいですが、図体だけはデカかったから、目立つ子だったかもしれません。自宅から歩いて5分くらいのところに中学校があって、当時は周りの雰囲気が「みんな中学受験する!」という感じでもなかったので、のんびりとしていました。理科の先生が、「泳げたが方がよい」と言われて、毎日プールに入って泳ぐ練習をしていましたね。

「授業で勝負」 幅広い学習をらせん状に

――高校選びのポイント、注意点などを教えてください。

萩原校長:基本的には自宅から近いところで、幅広く色々な活動ができる学校を、実際に見て決めていただく必要があると思います。まず一つ目のポイントは学ぶ場所、距離の面です。どうしてもその学校に行かなければ学べないというものがあれば、たとえ遠くても大学と同じように「この高校に行こう」と決められると思います。そうでない限りは地元の、自宅から1時間くらいで通える中で決めていくと良いでしょう。

――「近い学校を選択する」というのは必ずしも悪いことではないのですね。

萩原校長:そうですね。選択肢を広げすぎないことも大切です。次に学べる内容ですが、仮に高校選びの基準が「進学実績が高い学校」だとして、それはどういう点で判断できるでしょうか。国公立大学に進学する人が多い学校は、色んな科目を幅広く学んでいます。5教科バランスよく幅広く、教養主義という形で指導しているかどうかを見ていただくのが良いでしょう。

――「○○に強い」など、はっきりとした特色をつい求めてしまいますが…

萩原校長:「自分は理系に進みたい」など既に専門を決めているという人も、これからの社会は新たな発想や実行力が求められ、様々な教養を身につけておいた方が良いということを考えると、中学時代はもちろん高校においても幅広く知識を身につけられる学校を選択する方が、その先を考えたときに良いのではと思います。大学入試においても、早稲田大学の政経学部が以前と違って数学を必須とするという形にシフトしていますよね。もっとも、これも「理系重視」ということでは必ずしもなく、様々な事象を理解する素養が問われているのだと思います。

――「幅広く学べる」ということの意義は理解していても、子どもたちにどう伝えれば良いか悩みます。西高に入学するとどのような学びができるのでしょうか。

萩原校長:国語では古典を本格的に読んだり、社会は歴史が日本史・世界史になったりと、中学での学びが深化していきます。数学はI、A、II、B、C、理科は物理、化学、生物を全員が履修します。基本的な力を身につけながらブラッシュアップしていき、1年生では学んだことについて意見交換するディベートも授業内に導入しています。英語では高2でオンライン英会話を導入します。全学年に分散して学期に1、2回程度実施する学校もありますが、本校は高2で月1程度、教科書で扱った素材をもとに発展させて実施しています。

――なるほど。3年間をかけて、バランスよく学んでいくのですね。

萩原校長:大きな特徴があるかというとそうでもないですが、幅広く学ぶことを教育課程に取り入れています。その中で本校は「授業で勝負」を大切にしています。3年間で積み上げていくことが大切なので、2年生は数I、A、II、Bの教科書内容を2学期に終わらせて演習に入っています。スパイラルである程度繰り返して学んでいくことが大切ですから、1回習って終わりではなくて、各教科ともカリキュラムは工夫しています。

高校入学までにしてほしい5つのこと

――西高の授業を信頼していれば大丈夫、という力強さを感じます。

萩原校長:与えられたものをそれだけやっていれば良い、ということではだめですよ。自分でさらにもう一歩踏み込んで学習に取り組めるかどうかが大切です。

――確かに受け身でお任せ、ではだめですね。さてそんな西高に入学したいという小中学生は、どんな準備をすれば良いでしょうか。

萩原校長:説明会で小中学生の皆さんに「高校入学までにしてほしいこと」という内容をお伝えしていますが、そこには次の5つを挙げています。
・様々な体験をする
得意分野をつくる
・じっくり物事を考える(自分の考えを持つ)
・様々な本を読む
・社会に関心を持つ

いろいろなことに興味を持ってもらえることが大切です。部活動でずっと頑張ることも大切ですし、様々な体験ということについては、学校だけでなくご家庭でできることも多いと思います。農業体験、キャンプから博物館・美術館やロボットの組み立てなど科学実験まで…そうした様々な体験から自分のもう少し探究したいという思いを持つことが大切だと思います。あとはじっくりと物事を考える。考えるためには本や新聞などを読むこと。「これはどういうことなのかな」と考えることが社会に関心を持つことにつながります。

――家庭環境も大切ということですね。

萩原校長:中学受験(受検)に比べると高校受験は「自分で選べる」選択肢が広がりますが、そうは言っても受験校選びも含めて保護者の意向が出るということは事実ですから、ご家庭の環境づくりは大きいと思います。

――高校受験をする人の中には中学受験(受検)経験者もいますが、中受経験をしていることは有利に働くのでしょうか。

萩原校長:公立一貫校の適性検査が「考えさせる」問題になっていて、私学もそのような傾向に変わりつつあります。こうした試験に向けた勉強を早くからしてきたことは、先に挙げた「5つの準備」に通じるものがありますね。もっとも、試験対策で終わってしまわず、もう一歩深めて考えてくれると良いのかなと思いますけどね。中学受験(受検)経験があって高校受験もする人の中には「中学受験(受検)で失敗した」と考える人もいますが、その後のモチベ―ションなどをうまく変えていけると良いですね。中学校は高校へ進学するための3年間ではありません。どういう風に3年間を過ごそうと考えるのかが大切です。

自由=多様性。一緒に挑戦できる仲間がいる

――ところで、西高は「自由な校風」が受験生、保護者の方に支持されている印象がありますが、萩原校長先生はどのように受け止めていらっしゃいますか。

萩原校長:自由と一口に言っても何が自由なのか、と考えると、校内だけ治外法権で何でもアリなわけでもありませんし(苦笑)、「中学時代と比べると…」というところが私は大きいのかなと思います。中学時代にあれはだめ、これはだめと言われていたことが、特段決まりとかではなく、皆に任されている、その分だろうと思います。特に服装とか、決められているわけではないので。

 ――なるほど、「皆に任されている自由」ということですね。

萩原校長:あるいは「多様性」ということかもしれませんね。例えば同じ都立高校で「入学時から卒業まで3年間同じクラス」という高校もありますが、本校では毎年クラス替えがあり、いろいろな人とのかかわり合いがあります。3年間同じクラスで生まれる絆もありますが、毎年クラスが替わることでそうした絆が生まれないわけでは決してないと思います。本校の文化祭は1、2年生はクラスで行い、3年生は任意参加としています。そうすると、1年生のときの仲間で集まって何かをやるという人もいるんですよ。

――多様性という言葉は様々な場所で聞かれます。いろいろな子が関わるメリットはどのようなことでしょうか?

萩原校長:価値観の違い、考え方の違いだと思います。周りに否定されることなく、自分がやりたいことを認めてもらえる。そのうえで、みんなバラバラというわけではなく、様々な部分での刺激が得られると思います。勉強面でも、中学時代に優秀だと言われてきた人も、西高にはもっと上に抜けてる子がいたり…でもオールラウンドでどの教科もできるという人はそんなにいないので、「英語はこの人にはかなわないな」「数学はこの人がすごいな」など、そういう環境になると、色々な機会が生まれます。「ディベートの大会があるから出てみる?」と誘われて出てみたり、誰かが声をかけて一緒にやるとか、自分一人ではできなかったことに挑戦できます。

――自分がやりたいと思っていることを受け入れてもらえる多様性もあるわけですね。

萩原校長:やってみたいことを気軽に先生に話せる環境もあると思います。西高は部活に昇格する前のサークルが異様に多いのですが、仲間内で人数が集まれば気軽に作れて、それが下の代まで続けば部活に昇格することもあります。

小学6年生のあなたへ メッセージ

これまで自分がやってきたことを答案の上でしっかりと表現してほしいです。入試は大きなステップアップにつながりますから、もし合格しなかったとしてもそれは大きな糧になると思います。

中学で「言われたことだけこなす」勉強の仕方が正しいと教わってきた生徒たちは高校に入って苦労しています。自分で工夫し、考えることが大切です。

 

この記事の著者

鈴木亮介(すずき・りょうすけ)
2013年よりZ会進学教室にて中学生の国語、小6公立一貫校受検コースの文系を担当。立川教室や池袋教室を中心に数多くの6年生の作文指導に携わり、南多摩中、立川国際中、大泉中などの合格者を輩出。2016年よりZ会に入社し、同年より調布教室の教室長を務めるほか、国語科の一員として校正業務、冬期講習単科ゼミ「西の作文」の講座設計・教材作成も担当。肥薩線の三段スイッチバックのごとく「地味にすごい」をモットーに教壇に立つ。

 

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