第61回 夏休みの自由研究は「お金」のことを考えてみよう ~小学6年生のあなたへ~

執筆者:鈴木亮介(Z会進学教室 調布教室長/国語科)
記事更新日:2022年07月01日

夏休みの自由研究は「お金」のことを考えてみよう ~小学6年生のあなたへ~

こんにちは。Z会調布教室教室長の鈴木です。2022年4月から高校の家庭科で「金融教育」が始まりました。成年年齢(成人)が18歳に引き下げられ、クレジットカードの契約などが父母の同意なく行えるようになったことなどが背景にあります。

小学校でも家庭科の授業でお金に関する勉強を行いますし、お金のことを考える/考えざるをえない機会が増えるなか、小学生のみなさんにとっても「お金の教育」は必要不可欠と言えそうです。

そこで今回の記事では夏休みの自由研究・課題学習にも使える「お金」にまつわる考え方や、保護者の方にも知っていただきたいポイントをまとめます。

 

 


人が一生のうちに使う金額はいくら?

小学生の知りたい「お金のこと」。それは、『お金と社会のミライ』という本に書かれていました。その冒頭に、著者のあんびるえつこさんからこのような問いかけがありました。

「みなさんは一生のうちに、いくらぐらいお金を使うと思いますか?」

想像してみましょう。と言っても、漠然と「100万円かな?」「いや1千万円だ!」「やっぱり1億円!」…では、現実的な課題解決ではないですね(「課題解決」については前々回のこちらの記事https://www.zkai.co.jp/juku/junbi_58/)を参考にしてみてください)。

私たちはいったい何にお金を使っているでしょうか。おこづかいを使って買い物をするときはもちろんのこと、電車やバスに乗るときなどにもお金を使いますね。家庭では、食材などを含む飲食費や電気・水道などの光熱費、通信費(電話、インターネット)、習い事やなどの教育にもお金がかかっています。さらには「税金」というものもあります。仮に80年?いや100年?生きるとして、一生のうちにどのくらいお金を払うでしょうか…(正解はこの記事の最後に発表します)

「お金について学ぶ」ことが近年重視されている背景には、キャッシュレス化が進み、お金の大切さや計画的に使うことなどの金銭感覚を学ぶことがいっそう大切になっていることが挙げられます。

お金は無限にあるわけではありませんから、いつ、何に、どのくらい使うのか、必要度と優先度をしっかり考えることが大切ですね。

お金を借りるのは悪いこと?

皆さんは、ほしいものが高額で、自分のおこづかいでは買うことができない、といった経験をしたことがありますか?そんなとき、どうしますか?

1.買うことをあきらめる
2.お金を貯めてから買う
3.誰かにお金を借りて買う

多くの場合、1か2の選択肢になると思いますが、「どうしても今すぐ買いたい」というときに、3の「お金を借りる」という選択肢が選ばれることもありそうです。

一方で、「お金を借りるのはよくないことだ」と教わったという人も多いでしょう。実際に、「お金を貯めてから買う」場合と「お金を借りて買う」場合とでは、どのようなメリット(利点・良いところ)とデメリット(問題点・悪いところ)があるでしょうか。

Z会の本『お金と社会のミライ』には、次のように書かれていました。

「お金を貯めてから買う」場合
よいこと:
・貯めているうちに、欲しいものが変わったら、そちらにお金を使うことができる。
・利息や手数料など、よけいなお金をはらわずに済む。
よくないこと:
・今欲しいものが手に入れられず、すぐに楽しむことができない。
・家など値段が高いものだと、お金が貯まるまで待っていると年をとってしまう。

「お金を借りて買う」場合
よいこと:
・お金を持っていなくても、すぐに欲しいものが手に入って楽しむことができる。
よくないこと:
・買ったものが気に入らなかったり、あきてしまったりした後も、最後までお金を返さなくてはならない。
・利息や手数料などがかかるため、借りたお金より多くのお金を返す必要がある。

そもそも借りたお金は返さないといけないですよね。おうちの方から借りるという場合は別として、一般的に銀行などからお金を借りる場合には「きちんと返済できるか」という審査があります。皆さんのような小学生の場合はまだ働いてお金を稼ぐことができず、返済能力がないためお金を貸してもらうことができません。

そして、「いつまでに返すか」などを事前に約束した上で、お金を借りることができます。さらに、借りたお金を返す場合には「利息」といって、借りたお金の使用料を上乗せして返済します。つまり、お金を借りて商品を購入する場合は、自分で貯めて購入する代金よりも多くの金額を失うことになります。

これだけ聞くと「お金を貯めてから買う方が良い」とも考えられますが、逆に「貯めてから買う」場合のデメリットも考えてみましょう。「今欲しいものがすぐ手に入るかどうか」。よく考えたら必要ないものもあるかもしれません。一方、家や車といった高額なものを「お金が貯まるまで買わない」というのはあまり現実的ではありません。何十年も我慢するなら、先に手に入れて少しずつ返済する方が現実的な選択と言えるかもしれません。

夏休みは自分でお金を使う機会も増えることと思います。皆さんの家の電気代や、お小遣いのゆくえなど、夏休み中のお金の動きについて調べたり、まとめたりしてみるのも良いでしょう。

99%の小学生は気付いていない?

さて、記事の最初に紹介したあんびるえつこさんの問いかけの答えを発表しましょう。人は一生のうちに、なんと約2億円を使うと言われています!もちろん人によって金額は違いますが、どうでしょうか。みなさんの想像した金額と近かったでしょうか?

今回紹介した本『お金と社会のミライ』には、教科書では学べない、これから生きていくために大切なことがたくさん書かれています。さらに付録として、コピーして使えるおこづかい帳もついています!気になった人はぜひ、『お金と社会のミライ』を本屋さんで買って読んでみてください。この夏、「お金」について学び、「社会」についても考えを深めてもらえればと願っています。

❖書籍紹介リンク
https://www.zkai.co.jp/books/guide/id-5405/

「99%シリーズ」特設サイトURL
https://www.zkai.co.jp/books/99series/


この記事の著者

鈴木亮介(すずき・りょうすけ)
2013年よりZ会進学教室にて中学生の国語、小6公立一貫校受検コースの文系を担当。立川教室や池袋教室を中心に数多くの6年生の作文指導に携わり、南多摩中、立川国際中、大泉中などの合格者を輩出。2016年よりZ会に入社し、同年より調布教室の教室長を務めるほか、国語科の一員として校正業務、冬期講習単科ゼミ「西の作文」の講座設計・教材作成も担当。肥薩線の三段スイッチバックのごとく「地味にすごい」をモットーに教壇に立つ。

調布市の学習塾・個別指導塾「Z会調布教室」

 

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