Z会の大学受験担当者が、2021年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。
今年度の入試を概観しよう
分量と難度の変化 (時間:90分)
- 2019年度、2020年度と同様、大問5題の構成である。
- 解答数は、単答問題が27(うち空欄補充が5、2020年度は21)、論述問題が18(2020年度も18)で増加したが、2020年度に出題された作図問題は見られず、総量としての変化はない。
- 基礎的な内容が多く、難度は2020年度に比べやや易化した。
- 地形図の読図、地誌、自然環境と生活、産業、社会からの出題であった。
2021年度入試の特記事項
- 論述問題において、総字数は490字(2020年度は470字)、字数指定のない短文論述(20~40字程度)が6問(2020年度は5問)であり、論述総字数は2020年度とほぼ同じである。
- かつて大問Iで出題された地形図の読図問題は、2019年度、2020年度は大問Vで出題されていたが、2021年度は大問Iに戻った。
- 2020年度に見られた作図問題の出題はなかった。
合否の分かれ目はここだ!
- 基本的な用語を問うものが多い単答問題で、確実に解答できたか。
- 論述問題において、短い字数でまとめる対策を十分に行えたか。
- 問題全体を見渡し、時間配分を考えながら効率的に解答できたかどうか。
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大問別のポイント
大問 I
高知県安芸郡奈半利町の地形図の読図に関する問題であった。地形図から地形や土地利用を読み取る論述問題が中心であったが、読図の練習を積んでいれば解きやすい。
- (2)①対象地域が「台地」であることを読み取れたかどうかがポイントとなる。
- (4)問題文の「上流の山地」、Cの「貯木場」が大きなヒントとなる。
大問 II
オセアニア地誌に関する問題であった。基礎レベルの用語やフィヨルドの形成過程の説明など解答しやすい問題が多く見られた。ミスなく確実に得点しておきたい。
- (3)③候補となる島をいくつか想起できるが、「フランスに属する」、「日付変更線より東側」などの問題文中のヒントを漏らさずチェックし、慎重に特定したい。
大問 III
乾燥地域における自然環境と人間生活に関する問題であった。空欄補充問題と、京大地理でよく見られる衛星画像をもとにした地形に関する問題で、いずれも基本的な内容である。
- (4)土壌の塩類化のメカニズムは、「毛細管現象」がポイントとなる。
- (5)論述字数が40字以内と指定されているので、要因を複数挙げたい。
大問 IV
水産業に関する問題であった。グラフの国名判定は求められていないが、設問文から該当する国を予測しつつ、各問を解答したい。
- (1)やや詳細な知識が問われた。同様の内容はZ会の通信教育の本科「難関国公立大コース 地理」で論述問題として出題している。
- (4)エビの養殖池造成とそれに伴う環境破壊という頻出問題である。確実に解答して得点につなげたい。
大問 V
通信に関する問題であった。身近なテーマではあるものの、通信に関する正確な知識と、それをもとに端的に説明する力が求められる。
- (1)判定がやや難しい。2000年におけるインターネット利用率に着目したい。
- (4)デジタル・デバイドは様々な範囲で存在するが、ここでは「国際的な視点」に留意して説明したい。
攻略のためのアドバイス
京大地理を攻略するには,次の3つの要求を満たす必要がある。
●要求1● 幅広い分野についての知識力
京大地理は、自然(地形図の読図を含む)、産業、社会(都市・人口・民族など)、地誌といった幅広い分野から出題されるのが特徴である。細かい知識について問われることは少ないが、高校地理の全分野にわたって基本的な知識を押さえておく必要がある。
●要求2● 正確な資料読解力
京大地理では、多数の資料判読を必要とする論述問題が見られるので、正確な資料読解力が求められる。
●要求3● 簡潔に論述する表現力
論述問題の1題当たりの指定字数は100字以内で、40~60字程度のものが最も多い。また、字数指定なしの論述問題に取り組む場合にも、解答欄に合わせて適切な分量を見極める必要がある(解答欄の大きさから20~60字程度と判断する)。様々な角度から解答できるよう、基礎的な知識と簡潔にまとめる表現力が必要である。
Z会で京大対策をしよう
- 京大地理は基礎的な内容が問われることが多いため、個々の問題は易しく感じられますが、それはどの受験生も同じことです。2021年度の問題でいうと、大問II〜IVは平易な問題が中心でしたので、ここでミスをすると他の受験生の差を広げられることになってしまいます。このような出題では、しっかりとした対策と演習を行えば、高得点をねらうことができます。早めに高校地理の学習内容を押さえ、過去問を初めとする様々な演習問題に取り組むようにしましょう。
- 京大地理で定番の地形図の読図問題は、今年度は大問Iで出題されていました。内容はこれまで通りでしたので、様々な地形図に触れ、図から起伏や土地利用の特徴などを読み取る練習を積んでいれば、難なく対応できたでしょう。これらは資料問題の対策においても同様です。
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