「京大日本史」2021年度個別試験分析

Z会の大学受験担当者が、2021年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (時間:90分)

  • 出題構成・分量は変化なし。
    I…史料問題
    II…空欄補充型の雑題
    III…リード文形式の空欄補充・単答問題
    IV…論述問題(200字×2問)
  • 難易度は変化なし。

2021年度入試の特記事項

  • 2020年度に続き、図版資料を提示した問題は見られなかった。
  • 短文記述問題は、2020年度と同じく、3問出題された。
  • 2018年度に出題のあった選択式の問題が1問出題された。2021年度は正文選択問題であった。
  • 例年出題されている昭和戦後史が出題されなかった。

合否の分かれ目はここだ!

  • I~IIIは概ね基本事項なので、取りこぼしをしないようにしたい。
  • ほとんどが記述問題であるため、正確な漢字で歴史用語を書けるようにしたい。
  • 最も差がつくのはIVの論述問題である。2021年度は「徳川家綱の時代」「中国進出が日米関係に与えた影響」が出題された。どちらも目にする機会が少ないテーマであるが、解答に盛り込むべき要素を見極められるかがカギであった。
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大問別のポイント

 大問 I 

  • 史料
    A:壬申の乱と古事記編纂(『古事記』序文)

     B:守護と承久の乱の没収地(『御成敗式目』)
     C:福沢諭吉と新島襄(『国民之友』第17号)
  • 史料A〜Cは出典が明記されておらず、とくに史料A・Cは未見史料であったと思われる。史料中の用語や注記、設問文を参考に丁寧に史料を読み取り、内容を特定する必要があった。
  • 問(6)(15)(18)では史料中の空欄補充問題が出題され、空欄の前後の内容を参考にして解答を導くことが求められた。また、問(12)では史料から読み取った内容を簡潔に記述させる出題が見られた。

 大問 II  

  • 原始・古代から昭和戦中期まで、政治・社会・外交・文化と幅広く問われた。
  • 一部で難易度の高い出題が見られたが、基本的な問題が多いため、確実に得点したい。

     大問 III  

    • リード文のテーマ
       A:菅原道真の生涯
       B:室町幕府と京都
       C:江戸時代の畿内農村
    • 概ね標準的な問題であったため、確実に得点したい。A問(4)では選択式の問題が出題され、設問文の内容と知識を活用して考察することが求められた。

     大問 IV  

    (1):徳川家綱の時代(200字)

    • 政治面については家綱の時代の政治方針と具体的な政策、その他の分野は当時の経済や文化における顕著な事象を、バランスよく組み込んで述べていくことが重要であった。
    • 具体的な政策・事象の羅列に留まらずに、家綱の時代の特徴を考察し、解答をまとめる力が求められた。

    (2):第一次世界大戦中から太平洋戦争開戦にかけての日米関係(200字)

    • 日本の中国進出を時期別に整理した上で、それらが日米関係にどのような影響を与えたのかに着目して、展開を述べたい。
    • 第一次世界大戦中から太平洋戦争開戦までに見られた日米関係の推移について、中国に関する出来事と結びつけてまとめる必要があり、日本の動向とアメリカの対応を取捨選択してコンパクトにまとめるのが難しい問題であった。

     攻略のためのアドバイス

    京大日本史を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

    ●要求1●全時代・全分野にわたる知識

    京大日本史では多くの単答記述問題が出題される。幅広い時代・分野が出題されるため、全時代・全分野にわたる知識と、それを正確に書ける力が必須である。

    ●要求2● 史料の正確な読解

    京大日本史では様々な時代の史料が出題されている。未見史料も必出なので、史料中のキーワードや出典・設問文をヒントに史料文を読解する力を身につける必要がある。

    要求3● 設問の要求に沿った論述

    例年200字の論述問題が2問出題されている。端的な設問文から設問の意図を的確につかむ力と、知識を取捨選択して論理的に解答を組み立てる力が必要である。また、各時代・分野の重要テーマが出題されることもあるため、論述問題で頻出のテーマは、一通り解いておくようにしたい。

    基礎力の完成

    まずは要求1を満たそう。細かな知識問題に対応するためにも、教科書の基本事項は早めに身につけておきたい。また、既習分野については論述問題の対策も始めよう。Z会の通信教育で、知識の拡充と論述のトレーニングの両方が可能である。

    入試形式に合わせた対策

    要求2・3を強化するためには、史料問題・論述問題の演習を繰り返そう。ただし、単答問題の多い京大日本史では、知識量の底上げも必要なので、バランスのよい演習をしていきたい。Z会の通信教育では、答案を作成する力の養成を念頭に京大対応の問題を出題する。

    実戦演習

    京大日本史は時間に比して出題数が多いので、実際の入試での時間配分を考えながら演習を行う必要がある。時間を計って解くなどして、より本番に近い答案作成を行おう。

    Z会で京大対策をしよう

    Z会京大日本史担当者からのメッセージ

    ・2021年度も試験時間90分に対して、単答70問+200字論述2問というハードさは健在でした。I〜IIIは史料や設問文をよく読んで答える出題も見られますが、標準的なレベルの知識問題が中心です。そのため、“焦らず設問文を読み、手際よく答えること” を心掛けましょう。
    ・2021年度も、幅広い時代と分野から出題されました。京大の特徴である“全時代・全分野”に対応するため、教科書の脚注レベルも含め、知識の抜け漏れがないようにしておく必要があります。
    ・Iの史料問題を解く際には、史料本文の内容や注記はもちろん、出典や設問文にも気を配り、史料の時期や概要を特定する必要があります。演習を積んで、史料問題に慣れておきましょう。
    ・京大の論述問題は、端的な問題文の題意に即して必要な要素を取捨選択し、解答をまとめる必要があります。シンプルな問いかけであるからこそ難しい京大型の論述問題に、どれだけ取り組んできたかで差が出ます。
    ・京大で求められる幅広い知識、史料問題への対応力、題意に即した解答をまとめる論述力を伸ばすためには、十分な問題演習が必要です。Z会の「京大コース」は、バランスよく知識、史料、論述の対策を行えるようになっています。また、論述力を伸ばすためには、添削指導を受けることが効果的です。解答が設問の意図に沿ったものになっているか、要素に過不足はないか…などをZ会の丁寧な添削指導を通して確認し、論述力を伸ばしていきましょう。

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