「京大世界史」2021年度個別試験分析

Z会の大学受験担当者が、2021年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:90分)

  • 例年通り大問I・IIIは300字論述(各20点)、大問Ⅱ・Ⅳは長文下線部・空欄補充(各30点)の大問4題構成。
  • 全体的な難易度は例年より易化した。

2021年度入試の特記事項

  • 例年同様、大問I・IIがアジア史中心、大問III・IVが欧米史中心の出題であった。
  • 例年、小論述が5問程度出題されるが、2021年度は大問IVに1問出題されたのみであった。このほかに10字前後で簡潔に記す問題が大問IIに1問、大問IVに2問出題された。
  • 大問IVでは、4文正誤問題が1問出題された。
  • 古代から19世紀頃までを中心に出題され、戦後史からの出題はなかった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 90分という制限時間に比してかなり問題量が多いのが特徴である。大問II・IVでそれぞれ30問程度の小問が課される上に、大問I・IIIで300字の論述問題が課されるため、時間配分が重要となる。
  • 大問II・IVは、小論述が減少し、取り組みやすい問題が多かったため、失点は最小限に留めたい。大問II・IVを手早く処理し、大問I・IIIに十分に時間をかけることがポイントである。
  • 大問I・IIIの論述問題も、教科書の内容がしっかり身についていれば、解答の組み立ては容易である。史実の誤りがないことはもちろん、問題の条件に沿って書くべき内容をしっかりと見極めることが肝心であった。
  • 苦手な分野や学習が手薄な範囲を残さず、教科書の全範囲を丁寧に対策していれば、高得点を確保することが可能であった。
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大問別のポイント

 大問 I 

  • 16〜18世紀のヨーロッパ人宣教師による中国へのキリスト教布教に関して、その背景、活動内容、影響について説明する問題であった。
  • 問題の要求はシンプルで、解答の筋道は立てやすい。制限字数に応じて、具体的な宣教師の活動内容などをいくつか例示する必要がある。
  • 標準的な問題であり、京大論述対策をしっかりと行っていた受験生にとっては、高得点がねらえる問題であった。

 大問 II  

  • Aは関中盆地に都を置いた中国王朝をテーマに、古代中国史から出題された。やや解答を導きづらい問題もあったが、概ね標準的な出題であり、手堅く得点したい。中国の各王朝の都や、実施された諸制度(官制・税制・兵制など)は、混同することのないようにしっかり整理しておきたい。
  • Bは西アジアにおける文化形成をテーマに、古代から19世紀まで幅広く出題された。基本的な内容が中心だが、文化史から問われた(22)や(25)は、やや細かった。

     大問 III  

    • 1815〜71年のドイツ統一の過程について説明する論述問題であった。
    • 年代の指定は明確であり、教科書の知識で論述することができる。解答を作成しやすい問題なだけに、史実誤認や不正確な表現はできる限りなくしたい。
    • 「プロイセンとオーストリアに着目し」という条件に沿って、それぞれの事項に対する両者の立場を明確にしながら説明したい。
    • オーソドックスなテーマであり、様々な事項を想起することができるため、事項の取捨選択が肝心であった。

     大問 IV  

    • Aは古代ギリシア・ローマの歴史をテーマに、中世までのヨーロッパ史から出題された。いずれも基本的な事項からの出題であり、失点は最小限に抑えたい。(12)では中世ヨーロッパに関する4文正誤問題が出題されたが、内容は平易であった。
    • Bは人類史上、動物が果たした役割と動物が被った影響をテーマに、中世から19世紀までの欧米史を中心に出題された。(20)はあまり問われることのない事項であり、とまどった受験生も多かったと思われる。(24)は細かい事項であり、難しかった。

     攻略のためのアドバイス

    京大世界史を攻略するには,次の3つの要求を満たす必要がある。

    ●要求1● 教科書全範囲の基礎的知識を網羅する「知識力」

    まずは、「知識力」の養成を。遅くとも受験生の夏休み終了までには、全時代の概略と、教科書の太字語句の意味を押さえることを目標にしよう。並行して論述問題にも取り組み、「知識を文章でまとめる」ことにも慣れていきたい。

    ●要求2● 問題の要求を的確に捉える「読解力」

    京大世界史攻略のためには、知識力の養成と並行して論述問題にも取り組み、本番まで定期的に問題演習を行う習慣をつけてほしい。問題の要求を的確に捉える「読解力」を身につけるためには、問題文を丁寧に読むことが重要である。何となく知っていることを羅列するのではなく、問題文中の時代・地域の指定、「意義」「背景」「経緯」「変化」「特徴」などといった問いかけに対して、最も適した解答を意識しながら解答を作成しよう。復習時に自分の解答作成の過程を確認するために、草稿メモをノートに記録しておくことも有効である。

    要求3● 短い時間の中で最大限の結果を出す「処理力」

    時間に比して分量の多い京大世界史で確実に得点するためには、時間の使い方も重要である。模試を受験する際に、問題に取り組む順番を工夫するなど、限られた時間内で最大限の成果に結びつける訓練を積むとよい。共通テスト終了後は、京大入試と同じ分量・構成の問題セットを時間を計って解き、「知識力」・「読解力」を土台とした表現力に磨きをかけつつ、本番での時間配分を想定して、「処理力」を鍛えていこう。

    Z会で京大対策をしよう

    Z会京大世界史担当者からのメッセージ
    • 京都大学の世界史入試は、教科書の流れに沿って用語の内容、因果関係、世界史上の意味・意義などを丁寧に学習していれば、ほぼ対応可能な問題です。出題傾向の変化が少ないので、大問II・IVでは取りこぼしを最小限にするように、大問I・IIIでは問題の要求に的確に応えた解答を書き上げられるように、着実に対策を行っていきましょう。
    • Z会の通信教育 本科「京大コース 世界史」の3~8月では、世界史上の重要ポイントを整理した解説テキスト「必修テーマ」を用意しています。豊富な地図や図・表、年表などを用いて、知識だけでなく入試で問われる視点も学ぶことができますので、京大世界史で必要な各時代・地域の“理解の核”を習得することができます。また、秋以降は、入試問題と同じ300字の論述問題など実戦的な問題演習に毎回取り組み、添削指導を受けることで、論述力のアップをはかります。答案作成力を磨いて、京大合格をめざしましょう!

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