Z会の京大コース担当者が、2020年度入試の京大英語を徹底分析。受験生の再現答案や得点開示データをもとに、合否を分けた「差がつく一問」を選定し、京大英語の攻略法を詳しく解説します。
まずは、2020年度の「京大英語」を俯瞰しよう
はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、「自分が受ける入試問題」を正確に把握しましょう。
高度な論理的思考力と記述力・表現力が必須!
京大英語=和訳+英訳という構成は過去のものとなりました。今年度は初めて設問が内容説明のみという読解問題が登場。自由英作文の出題も、年ごとに形式を変えつつも定着してきました。論理的思考力とそれを的確に相手に伝える記述力・表現力の両方が備わった学生が求められていることがわかります。
合否の分かれ目は?
出題形式の変化への対応がカギ
近年の京大英語は毎年出題形式に変化があり、2020年度も内容説明問題のみの大問が登場したり、これまでにはないタイプの自由英作文が出題されたりしました。こういった変化を想定した上でいかに準備をしてきたか、試験当日に落ち着いて自分の得意・不得意に合わせて時間配分や優先順位の計画を立てられたかどうかが合否に大きく影響しました。
合格者・不合格者それぞれの傾向は?
合格者からの声で目についたのは、出題傾向の変化をある程度予想していたというもの。「近年京大は問題の傾向を毎年変えてきています。それを考慮していたこともあり、落ち着いて解けました。」といった声がありました。合格者は従来の和訳・英訳だけではなく幅広い出題に対応できる準備をしていたことがうかがえます。一方で英語で得点を伸ばせなかった不合格者からは「自由英作文や和訳の減少など驚くことが多く、和訳に自信を持っていた身としてはつらかった。」「英文自体はそれほど難しくなかったのかもしれないが、和訳の減少や自由英作文の傾向変化にうまく対応できなかった。」という声が寄せられました。
また、合格者の多くは全体の出題構成をすばやく把握した上で、解く順番や時間配分を決め、落ち着いて問題に取り組むことができていました。今年度は大問Ⅳの自由英作文に戸惑ったという声が多く寄せられましたが、「初めに問題を見回して手紙の問題を確認。実用英語には自信がないためかける時間を減らし、その分前半に時間を使った。」「大問Ⅳは差がつかないと思ったのではやめに切り上げた。」といった声からわかるように、大問Ⅳに時間をかけすぎることなく、ペースを乱さずに取り組んだことも、合格につながった一因だったようです。
合否を分けた一問は…?
このように対策が難しい京大入試の中でも一貫して出題が続いているのが大問Ⅲの和文英訳です。皆が対策をしっかり講じてくる定番の問題だからこそ、少しのミスで得点に差が生じてしまいます。だからこそ、和文英訳で確実に得点する必要があるのです。
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差がつく一問は
≪大問Ⅲ≫
受験生の再現答案&添削を見ながら、差がつくポイントを確認しよう
Z会では、受験生が作成したこの大問の再現答案を、独自の採点基準に基づいて添削しました!
一見、解答欄びっしりに解答が書かれていて、点数がしっかりとれそうな答案に見えます。しかし、Z会が採点した結果は、25点中11点。Z会が設定した目標点である16点には届きませんでした。

それでは、この答案には、「どんな要素が足りなかったのか」「どういう対策をしていれば目標点に届いたのか」を詳しく見ていきましょう。
目標点とのギャップをどう埋める?
英文としては大きな誤りはなくきれいにまとまった文章になっています。しかし、問題文と照らし合わせて、その意味合いを正確に伝えられているかを確認していくと不十分な点が目につきます。
第1文の「すり切れるまで」はそのまま訳すのは難しかったので思い切って省略したと思われますが、「何度も;繰り返し」と読み換えるなどして日本文のニュアンスを表現したいところでした。第4文の「また買ってしまうことさえある」も、細かい部分を丁寧に訳出したいところです。第5文の「モノがないからこそ大切にする」は、日本文が伝えようとしている文意をよく考えて訳出する必要がありました。
日本文に込められた意味を正確に理解し、それを過不足なく的確に第三者に伝えられる表現を選択することが、目標点に達するためには不可欠なのです。
受験生全体の解答傾向は?
今年度の大問Ⅲでは、日本語特有の表現は含まれるものの、内容的には日常的かつ具体的で、論理も明快な日本文が出題されました。そのため、受験生は意味を読み取るのに苦労することなく、構文や語彙の選択でも迷うところがあまりなかったようで、取り組みやすかったという声が多く寄せられました。それでも、実際に採点するとミスが散見され、減点が積み重なって、特に不合格者は目標点に遠く及ばない結果となりました。一方、高得点者は、日本語の意味するところを丁寧に訳出しており、大きなミスなく英文を仕上げることができていました。入試では、数点の差が合否を分けるため、日本文を丁寧に訳出できたかどうか,細かい文法・語法のミスを最小限にできたかどうかで,明暗が分かれる結果となりました。
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