京大理系国語

京大理系国語(2020年度)− 京大過去問対策合否を分けた「差がつく一問」

Z会の京大コース担当者が、2020年度入試の京大理系国語を徹底分析。受験生の再現答案や得点開示データをもとに、合否を分けた「差がつく一問」を選定し、京大理系国語の攻略法を詳しく解説します。

まずは、2020年度の「京大理系国語」を俯瞰しよう

はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、「自分が受ける入試問題」を正確に把握しましょう。

多様な文章ジャンルの読解経験が合否を分ける!

理系受験生にも読解難度の高い多様な文章ジャンルから出題される京大国語。今年度も文章の趣旨を正確に押さえ、問題文独自の表現に注意して読解していく必要のある問題が出題されました。問題演習を積み、どんな出題にも動じない対応力を身につけることができたかどうかが合否の差を分けます。

 

合否の分かれ目は?

高度な読解力・記述力が求められる出題

20年度の出題は、文学のあり方について考察を深める随筆・近代化に伴う日本文化の変質について論じる評論と、時代間の語意の隔たりについて論じる江戸時代の国学者の文章のセットでした。特に現代文は、問題文独自の表現が何を意味しているか丁寧に解釈し、自分なりに噛み砕いて解答を作成することが求められる出題で解答に時間がかかる分、解答要素がつかみやすい評論からの出題となった古文で時間をかけすぎず、確実に得点を積み上げられるかどうかで差が開きました

合否を分けた一問は…?

合格 不合格
全体 3 2.8
第一問 2.6 2.7
第二問 2.9 3
第三問 3.1 2.9

※3.0=「普通」を基準に、1.0に近づくほど「難」、5.0に近づくほど「易」という評価。Z会再現答案調査・アンケート結果より集計。


上の表は、再現答案のアンケートを集計し、入試本番で受験生が感じた難易度をまとめたものです。

第一問・第二問の現代文にかんしては合格者・不合格者であまり差はみられませんが、第三問の古文では、合格者のほうがやや易しいと感じている割合が高いことがわかります。

古文は、近世の文章からの出題でした。論理展開の大筋をとらえること自体はさほど難しくありませんが、それだけに〈設問条件を見落とさず、解答に的確にまとめる力〉〈傍線部の一字一句に至るまで注意を払い、精密に訳語を選択する力〉といった記述解答の実力の有無で明確に差がつく出題です。〈近世の評論に近い文章〉という文章ジャンルは京大頻出であり、合格者のアンケートからは、京大を意識して積んできた演習経験が実際に役立っていることが見てとれました。問題演習量の差が、合否を分けるポイントとなったといえるでしょう。


差がつく一問は
≪大問三≫

問題のPDFはこちら

受験生の再現答案&添削を見ながら、差がつくポイントを確認しよう

Z会では、受験生が作成したこの大問の再現答案を、独自の採点基準に基づいて添削しました!

結果はこちら

一見、解答欄をしっかり埋めることができていて、点数がしっかりとれそうな答案に見えます。しかし、Z会が採点した結果は、30点中16点。Z会が設定した目標点である20点には届きませんでした。

※満点・目標点はZ会の分析による。志望科類(学部)によって、過去問添削の成績表に表示される目標点と異なっていることがあります。

それでは、この答案には、「どんな要素が足りなかったのか」「どういう対策をしていれば目標点に届いたのか」を詳しく見ていきましょう。

目標点とのギャップをどう埋める?

解答欄は一通り埋めることができており、文中のどこが解答要素になるかという大筋はとらえられている答案です。しかしながら個々の解答内容を見ると、機械的に文中の記述を訳すにとどまり、設問条件に合う形でまとめることができていないための減点が目立ちました。問一の「いかでか」の訳出、問二「妹」「継ぎて見まし」の訳出など、重要単語・文法事項の訳出ミスが目立ちます。

問題文の内容自体は読解できているので、解答にまとめる際に細部まで丁寧に逐語訳することができていれば、さらに得点を伸ばすことができたはずです。知識事項をしっかり身につけ、解答作成の際に生かすという基本的な姿勢が身についているかどうかが、合否の分かれ目となるといえるでしょう。

受験生全体の解答傾向は?

Z会で作成した採点基準をもとに再現答案を採点してみると、合格者平均と不合格者平均で概ね5点程度の差がつく結果となりました。

「せめて」という語の意味の変遷から、時代を経て同じ言葉であっても意味が変わっていくことについて論じている、という大枠はとらえられても、不合格者の答案では設問で問われている箇所を的確にまとめることができておらず大きく減点されてしまっていました。特に問二では、「妹」が〈恋人・妻〉を指すこと、「継ぎて見まし」をここでの文脈を踏まえて〈見続けていたいなあ〉と解釈することといった点を正確に解答に反映できているかどうかで差が開いています。

全体として、

  • 傍線部の細部も漏らさずに丁寧に訳出・解釈する。
  • 問題文全体の趣旨を踏まえ、文中の表現を意識して言葉を補う。
  • 解答が設問要求を満たした自然な文になるように、まとめ方を工夫する。

といったポイントを意識できたかどうかが、実際の答案にも得点差として表れていました。

 

Z会が独自作成。この大問の採点基準はこちら!

大学から採点基準が公表されていない中、Z会では、実際の受験生の答案や得点開示データを毎年収集し、綿密に分析。長年の分析に基づいて作成した独自の「採点基準」で、本番に限りなく近い採点を可能にしています。

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Z会では、特別講座『過去問添削』を開講中です。長年の分析に基づく正確な採点で現在の実力を正確に把握。そのうえで、あなたの答案に寄り添った適切なアドバイスにより、次の打ち手が明確になります。実戦力を効果的に高められる講座です。

Z会京大コース担当者からのメッセージ

京大国語は、受験生が普段読み慣れないような文章ジャンルからも出題され,自分なりに言葉を補って解答を作成しなければなりません。合格点を確保するには,問題文中の表現を自分なりに噛み砕き,わかりやすくまとめなおす工夫が求められます。理系であっても文系の出題とそこまで大きなレベル差はなく、付け焼き刃の対策では太刀打ちできないため,早い時期から過去問演習に取り組む必要があります。その際には,第三者による添削指導を受けて自分の解答がポイントを押さえたものになっているかを把握し,入試本番に向けて解答の質を高めていくことが重要です。Z会の「過去問添削」なら,京大国語を熟知したプロの添削指導を受けることができ,より効果的に得点力を伸ばすことができます。

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