やりたいことをどんどんやらせる。 “自己実現力”の身につけ方。(前編)_2017.10

自己実現力”の身につけ方

公立小学校で23年間教師を勤めた親野智可等さん。教育現場でたくさんの子どもたちを育ててきた経験から、子どもも親も幸せになる子育てについて、未来ある子どもたちに必要な親力について、メールマガジンやブログ、著書を通じて伝え続けてきました。国の教育方針や社会の仕組みなど、子どもたちを取り巻く環境がどんどん変化する中で、子どもたちに必要な力は何か、親としてすべきことは何なのか。お話を伺いました。

 

── 親野さんは本当にたくさんの子どもたちと関わってこられました。今も昔も、子育てとは悩みが多いものですね。

23年間の教師生活で、担任として受け持った教え子は650人です。すっかり顔がかわって道で会ってもわからない子も多いですが、「○○小学校の□□です」と言ってくれれば思い出します。

子育てには悩みも多いものですが、大切なことを忘れなければだんだんよい方向に進みます。まず忘れてならないのは、すべての子どもたちが、何よりも親の愛情を求めているということです。反抗期の子どもであってもです。

もちろん親も人間ですから、反抗期の子どものひどい態度にはイラっとします。そんなときは、取り敢えず深呼吸してみましょう。思い切り深く息を吸って、ゆっくり吐き出すのです。これだけで、気持ちにゆとりが出てくるので、感情的な対応をしなくてすみます。

また、日頃の悩みの中にはちょっとした工夫で改善できるものもあります。例えば、「うがい・手洗い 靴下を洗濯機に お便りを渡す 宿題」など、帰宅後にやるべき一連の行動をホワイトボードに書き出して見える化しておくだけで、取り組みやすくなります。

 

── 子どもが未来を切り拓く力を身につけるには、親として子どもにどう関わるかがとても大切になりますね。

未来を切り拓く力、あげるとキリがありませんが、やはり一番大切なのは自己実現力でしょう。自己実現力とは、「自分がやりたいことを、自分で見つけて、自分でどんどんやっていく力」です。子どものころから、自分がやりたいことをたっぷりやらせてもらえた子は、この力が身につきます。主体的な熱中体験が自己実現力を育てるのです。

今の子どもたちは親に“やらされる”ことが圧倒的に多いです。習いごとはこれにしなさい、大学はここがいい、あれはいいけどこれはだめ…。このように「やりたいこと」を抑えて「やらされること」ばかりやってきた子は、「やれと言われたことはやるけど、自分でやりたいことを見つけることはできない」状態になってしまいます。

こういう人が大人になって企業に入るとどうなるか。先進各国の一流企業が求めるのは主体的な人間です。頭がいい人、偏差値が高い人、英語が話せる人ではないんです。言われたことはなんでもやります!こういう歯車人間は求められません。これがやりたい!といってプロジェクトを立ち上げられる人、どんどんプレゼンできる人、イノベーションを起こせる人が必要なのです。企業が生き残るためには大胆な変化が必要だからです。「生き残るのは最も強いものでも知能の高いものでもない。環境に合わせて変化できるものだ」と、ダーウィンが言っているとおりです。でも、子どものころからやらされることばかりでは、イノベーションを起こせるような人材にはなれません。

主体的に人生を生きられる人、自己実現力が高い人は、自己肯定感も強いんです。自分でどんどんやる、ガッツがある、だめでも誰かのせいにしたりしない、自分で受け止める。仕事でもプライベートでもそう。楽しい人生ですよね。親は子どもをそんな人に育てて欲しいです。子どもがやりたいことを存分にできるように、サポートしてあげてほしいです。

 

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── 子どもがなかなか熱中できることを見つけられないときは、どうしたらいいでしょうか?

そうですね。子どもは情報弱者ですから、親が「紹介」と「推薦」をしてあげることも大切です。親がやらせたいことより、子どもに向いていそうなこと、あるいはもともと好きなことを優先的に。歴史に興味がありそうだったら歴史博物館に連れていく、魚が好きなら釣り、ゲームが好きならプログラミング…というように。でも、子どもって飽きっぽいでしょう?飽きたら無理にやらせないでください。潔く諦めて、買ってしまったものは売って(笑)。たとえ飽きても、引き出しが増えるからいいんです。そして、好きなことはとことんやらせ、応援してあげてください。親の応援は子どもにとって大きな力になります。

いろいろやらせるけど続かない、辞めたら辞めグセがついてしまう…。そんな風に考えないでください。辞めグセなんて、そんなものは幻想です、昭和の価値観です。10回辞めても、11回目で本当に打ち込めるものを見つけるかもしれない。今の親世代のみなさんは、我慢して辛いことを乗り越えるからこそ力になる、そう言われて育ってきたかもしれません。でも今はそんな時代ではありません。昔と違って、今はインターネットでなんでも気軽に手軽に学べます。学ぶ機会で溢れています。興味があることをやってみて、核心をつかんだら次に行く。それでいいんです。辛いことをがんばるのではなく、楽しいことに打ち込みましょう。苦手なこと人並みレベルに引き上げるより強みを伸ばすべきだと、ドラッガーも言っている通りです。

 

── 一方で、忍耐力、継続する力が必要です。

本当にやりたいことではないから継続しないのかもしれません。好きなことなら必ずどんなに大変でも耐えて努力するでしょう。

忍耐力や継続する力は、イヤなことや自分に向いていないことでもがまんしてやり続けることで身につく、という考えも大いに疑問です。自分に向いていることややっていて楽しいことだからこそやり続けることができるのであり、その経験が忍耐力や継続する力を育ててくれるのです。

文・ふるたゆうこ

プロフィール

親野智可等(おやのちから)
教育評論家。長年の教師経験に基づく勉強法や子育て法をブログ「親力講座」やメルマガで発信。新聞、雑誌、テレビなど各メディアに絶賛される。『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。小・中・高校、幼稚園・保育園での教育講演会も大人気。
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