「自分はどう生きるか」をはっきりさせること(後編)_2018.1

「自分はどう生きるか」をはっきりさせること

私たちの社会を待ち受ける「正解というものがない時代」、「自ら課題を見つけて、その都度最適解を見つけていかなければならない時代」で力強く生きていくために必要な「世の中の変化に対応する力」。この力を身につけるために必要な中高生時代の学びについて、引き続き、育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行っている教育ジャーナリストのおおたとしまささんにお聞きしました。

 

 

── 適応力に欠かせない「3つの目」と「自分軸」は、どうすれば自分のものにできますか?

中高生ならば、「3つの目」を育ててくれるのは学校での実技4教科を含めた9教科の学びです。このとき大切なのは9教科で1セットという捉え方です。英語、数学、国語、理科、社会の座学の5教科だけではだめなんです。9教科すべて学ぶことでバランスのよい学びが実現でき、3つの目が見開くきっかけになります。
実技の4教科の中には、これからの人生を生きていくために必要な社会経験などの要素がふんだんに盛り込まれています。その体験は座学の5教科の学びを実際に社会で生かそうというときに欠かせないのです。だから9教科1セットと考えて日々学ぶように心がけてほしいです。
そして、「自分軸」を作り出すのはなんと言っても「反抗期」です。人は反抗期に、大人たちの価値観一つひとつに「本当にそうなのか?」と疑いの目を向け、身をもって試し確認していくわけですが、このときいろいろなものにぶつかりながら得心のいく考え方・心地よく感じるものを見つけて、自分なりの価値観「自分軸」を確立していきます。
もちろん、未熟な自分自身の判断は失敗だらけで、痛い思いもたくさんすることでしょう。しかし、次第に精神的に自立して考えることができるようになり、徐々に独自の道(自分の人生)を歩み出し、一人の人間として自立することができるようになります。
反抗期に「思いきり」反抗しておくことはとても大切です。精神的に自立できないと、いつまでも自分の人生を生きているという実感を得ることができず、生きづらさや息苦しさにつながって、大人になってから苦しむことになります。反抗期には「自分軸」作りをしっかりやりましょう。

 

── 適応力以外に、これからの社会で必要とされる力とはどんな力だと思われますか?

まず、ベースとなるのは、心身共に健康なこと。これを基礎にして、これからの社会でとくに必要とされるのは、「誰かと協働する力」、「自分にはない能力や才能を持っている人、自分とは異なるタイプの人といっしょに活動できる力」だと思います。たしかに社会を豊かにするには、個々の人間が高い能力を持つ必要があります。でも一番重要なのは多様性であり、お互いの弱点を補い合えること。自分とは異質な人がいるからこそ、自分の存在の価値が高まるという考え方ではないかと考えます。
今の社会、とくにネット社会では、自分と似たものと結びつきがちで、その世界こそがこの世のすべてと勘違いしやすくなっています。しかしそれでは社会全体がタコツボ化して、停滞してしまいますよね。こういう時代だからこそ、自分とは異なる考え、価値、能力の人と積極的に結びついて、化学反応を起こし、新しいものを作り出していく必要がある。これからはそういうことができる人が「最強の人材」と評価される時代になると思います。一人で万能になろうとしないことです。
そのためにも、考え方のちょっとした違い、得意分野や性格の違いなどを逆手にとって、いろいろな人とタッグを組んで、物事に取り組んで、予測不能な結果を楽しんでみてください。
そして、親以外のたくさんの大人と会い、多種多様な考えや価値にふれましょう。きっと人生について深く考えるネタをもらえるはずです。思いきり今を楽しんで、自分を試してみてください!

 

プロフィール

教育ジャーナリスト。株式会社リクルートから独立後、多数の育児誌・教育誌の編集にかかわる。教育や育児の現場を精力的に取材し、『名門校とは何か?』(朝日選書)、『ルポ塾歴社会』(幻冬舎新書)、『名門校の「人生を学ぶ」授業』(SB新書)など50冊以上の本にまとめる。心理カウンセラーの資格、中高の教員免許も持ち、私立小学校での教員経験もある。2児の父。

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