世界に羽ばたく仕事〜整備士_2020.3

2020年3月9日

カテゴリー : 教育情報全般

安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で「夢あふれる未来」創りの一翼を担っているANAグループ。その中で、整備士として活躍するZ会OGの山内さやかさんに、どのような中高時代を経て進路を選択をしたのか、また現在の仕事に至るまでの道のりについて、お話をうかがいました。

 

 

機械が大好きな理系女子

整備士を目指したきっかけは、中学2年生のころに見たテレビドラマです。女性の航空整備士が出てきて「こういう道もあるんだ」と知りました。ちょうど高校受験やその先の進路を考える時期だったこともあり、以来、整備士という仕事はずっと意識していました。

もともと飛行機は好きでした。「なんでこんなに大きなものが空を飛ぶの?」と、興味がありました。一方、父の仕事の関係で、小さいころからパソコンが身近にあったため、コンピュータを扱うのも好きでした。中学で、コンピュータを分解して中を見せてくれるという授業があったのですが、興味津々で見入ったことを覚えています。小さいころから機械への興味は尽きませんでした。

中学校では、ソフトボール部に所属しながら生徒会長を務めていました。Z会を受講したのも中学のころです。「Z会は難しそうだけれど、その分、しっかり学習できるな」と思って始めましたが、やっぱり難しかったですね。とくに数学は学校では得意だったのですが、Z会の応用問題は難しくてなかなか解けませんでした。たまにさぼってしまうこともありましたが、基本的にはきちんと提出していました。生徒会、部活、勉強面でがんばったので、高校は推薦で入ることができました。

その後、九州大学に進みました。九州大学の工学部には、機械航空工学科という航空系の学科もありましたが、当時はコンピュータへの興味がより大きかったので、悩んだ結果、電気情報工学科に進みました。

 

 

今も日々勉強。海外の人との仕事も多数

大学では、コンピュータウイルスを研究しました。もう少し研究を続けたいと思ったので、そのまま大学院に進んだのですが、就職を考えるときになって、「やっぱり整備士になりたい」という思いが強くなりました。そこで、就職活動では航空会社の技術職を受けようと思いました。学生時代に海外の航空会社を利用した際に、改めて日本の航空会社はサービスが行き届いていると感じましたし、私の家族がそろってANAが好きだということも背中を押し、ANAを第一志望としました。

航空整備士と言われてみなさんが真っ先にイメージする、空港で手を振って見送る姿は「ライン整備」の整備士です。一般的にエアラインには4つの部門があります。運航間の整備を行う「ライン整備」のほかに、飛行機を分解してチェックする「ドック整備」、エンジン専門の「原動機整備」、計器やコンピュータなどの装備品(部品)を整備する「ショップ整備」です。

私が所属しているのは「ショップ整備」を担当する装備品整備部。就職活動で企業情報を集めていたときに、コンピュータを扱う整備の部署があると知り、私のためにあるような部署だと思い、はじめから希望していました。ちなみにANAでは、工学系の学部の出身でなくても理系学部出身であれば整備士になれます。必要な知識は入社後の訓練で習得できるので、私のような航空系の学部出身でない者でも整備士になれました。

希望通り装備品整備部に配属となり、今年で7年目になります。この部署は、飛行機のそばに行くこともなく、室内で作業するため目立たない存在ですが、重要な役割を担っています。飛行機のトラブルの多くは機体に取り付けられたコンピュータや計器、バルブなどの装備品(部品)が、飛行の安全に影響が出ない段階で発するメッセージによるものです。装備品整備部はメッセージの原因となった部品をすぐに交換できるよう常に万全な状態のスペアを用意しておいたり、飛行機から外されて持ち込まれたコンピュータを修理して次に備えたりしています。修理済みのコンピュータが用意できなくて、飛行機が飛べないということはあってはなりません。高校や大学で勉強したことが、入社前に想像していた以上に、今の仕事に役立っています。

とはいえ、今も日々勉強です。世界中を飛んでいるANAの機体から、メッセージや改修のために外された部品が装備品整備部に集まってきます。機種もさまざま、1機あたりの部品の数も膨大で、覚えなくてはいけないことがとにかく多いです。また、整備作業をするためには部品ごとに定められた社内資格を取得する必要もあります。「社会人って、こんなに勉強するものなんだ」と、最初は驚きました。それに、海外のメーカーへ修理に出すこともありますが、海外の会社とのやり取りは英語です。そのつど、現場で対応しながら勉強していますが、留学しておけばよかったなと後悔することもあります。それでも、修理しなくてはならない部品を前に勉強してきたことを生かして素早く原因を突き止めたり、必要な処置ができたりすると、やっぱりやりがいを感じる、おもしろい仕事です。

中高生のみなさんにアドバイスするなら、本やテレビ、マンガを通してでもいいので、いろいろな世界を知り、学んでおくといい、ということでしょうか。それが将来に意外なかたちでつながるかもしれませんからね。

 

 

 

▼中高生とその保護者の方向け情報誌『Z3』

この記事は、Z会の通信教育を受講する会員と保護者の皆さまを対象に年3回お届けする情報誌、『Z3』(ゼットキューブ)に掲載されたものです。
『Z3』は、さまざまなジャンルで活躍中の社会人や、同世代の声を盛り込んだ記事から、中高生が、社会をグローバルに見渡す視野の広さや次世代を担うのに必要な意志力を育むきっかけとなることを目指しています。

 

プロフィール

山内さやか(Yamauchi Sayaka)
福岡県立筑紫丘高等学校、九州大学工学部 電気情報工学科、同大学院システム情報科学府 情報学専攻を経て、全日本空輸株式会社 整備センター 部品事業室 装備品整備部 整備課に所属。

▼格納庫で行われる機体整備の様子は、予約制で見学ができます。
ANA機体工場見学

 

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