新大学入試改革と連動!次期学習指導要領で提示されるこれからの学び_2016.10

2016年10月13日

カテゴリー : 大学受験

新大学入試改革と連動

10年ぶりの学習指導要領改定がどのような方針・考えのもとになされているのか、また、現在の中学生にどのようなかかわりがあるのか、ICT CONNECT 21 事務局次長の寺西隆行さんに解説していただきます。

寺西 隆行さんプロフィール

Z会グループで教材開発やマーケティングに長年携わっていたが、現在は ICT CONNECT 21 事務局次長として、各省庁・団体および法人と協力しながら、教育ICTの未来を構築中。Z会ブログにて随時、教育に関する最新情報を発信しています。

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2016年8月26日に文部科学省内の教育課程部会より、「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議まとめについて」が報告されました。次期学習指導要領に関しては、2017年3月に小中学校、2018年3月に高校について告示、というスケジュールで、施行は2020年4月から(小学校)ですので、いま、中学生のお子さんがいらっしゃる方には、一見無関係のように感じられるかもしれません。

しかし、ご注意いただきたいのは、次期学習指導要領にて育成を目指す資質・能力は、学校教育法における「学力の3要素」等を受けて議論された「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会― 論点整理―」(2014年3月31日)の報告内容を基軸としていることです。本報告内容は、2021年度から始まる新大学入試で測られる学力の基軸にもなっています。つまり、新大学入試と指導要領の改訂は連動して考えられており、次期学習指導要領の要点を読み解くことで、新大学入試への対応をより確実にできるようになるといえます。

 

◆資質・能力の3つの柱

「学力の3要素」を踏まえ、次期学習指導要領における資質・能力は、3つの柱としてまとめられています。
1)何を理解しているか、何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)
2)理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)
3)どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)

 

◆社会に開かれた教育課程

上記3)とも関係しますが、次期学習指導要領は「社会に開かれた教育課程」を理念として大きく掲げています。社会の変化に目を向け柔軟に受け止めたり、学校を取り巻く様々な方々と連携・協働したりすることで、社会とつながった公教育の在り方を強く志向することになります。
筆者は、次期学習指導要領に向けた部会の議論を毎回のように傍聴してきましたが、この理念については、中央教育審議会の委員の皆さん、およびヒアリング実施団体(日本PTA全国協議会ほか)の皆さんのほぼすべてが賛同していたと感じています。

 

◆学びの地図

次期学習指導要領では、学習指導要領としての性質も大きく変わろうとしています。その性質は「学びの地図」という言葉で表現されています。以下、「審議のまとめ」より引用してご紹介いたします。

これからの教育課程やその基準となる学習指導要領等には、「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、学校教育を通じて育む「生きる力」とは何かを具体化した資質・能力を育んでいくこと、社会とのつながりや各学校の特色づくりの軸となっていくこと、子供たちの豊かな学びを実現していくことなどの役割が期待されている。
そのためには、教育課程や学習指導要領等が、学校の創意工夫のもと、子供たちの多様で質の高い学びを引き出すため、学校教育を通じて子供たちが身に付けるべき資質・能力や学ぶべき内容などの全体像を分かりやすく見渡せる「学びの地図」として、教科等や学校段階を越えて教育関係者間が共有したり、子供自身が学びの意義を自覚する手掛かりを見いだしたり、家庭や地域、社会の関係者が幅広く活用したりできるものとしていくことが必要である。

簡潔にまとめると、学習指導要領は教師だけが見るものではなく、保護者や地域の方々も見て共有し、社会全体で子どもたちを育んでいくための指針、つまり「地図」としての役割を果たすことが目指されています。

 

◆学習内容だけではない学習指導要領に

さらに次期学習指導要領では、学習する内容だけではなく、「学び方」や「育成を目指す資質・能力」まで具体的に踏み込もうとしています。これらは大枠として、「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」の3点がセットになった方向性とされています。
「何を学ぶか」の視点では、小学校段階での英語教科化や、高校における新科目「公共」の設置などが行われます。「審議のまとめ」で「学習内容の削減は行わない」と明記されたところも注目しておきたいところです。
「どのように学ぶか」については、「アクティブ・ラーニング」という言葉で聞いたことのある方も多いことでしょう。審議を経るにつれ、「主体的・対話的で深い学び」と表現されるようになってきました。
そして、「何ができるようになるか」が、上述した「資質・能力の3つの柱」に相当します。

以上、次期学習指導要領の方向性について解説させていただきました。知識偏重ではない学びが求められていることがお分かりいただけたかと思いますし、そのような学びこそが、自分の手で未来を切り開き幸せな人生を創出することにつながると思います。
ぜひ、「社会に開かれた教育課程」という理念が、「学びの地図」としての学習指導要領とともに、社会全体に広がってほしいと願っています。

 

 


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