Z会高校会員の4技能試験結果から考える、これからの英語学習_2018.11

Z会高校会員の4技能試験結果から考える、これからの英語学習

過去2回、2020年からの大学入試改革で大きく注目される英語4技能化の動きについて、ライティング・スピーキングに焦点をあて、お話ししてきました。今回は、Z会の通信教育で学習している高校生の英語4技能試験の結果を見ながら、これからの学びで意識すべきことを考えます。

 

◆Z会高校会員の4技能試験結果

下のデータは、2018年6月から8月にかけて、Z会を受講している高校1・2年生が受験した『英語CAN-DOテスト』の結果です。リスニングでは80%以上、リーディングでは60%以上の人がCEFR のB1レベル以上の成績となっています。文部科学省が平成27年度に全国の高校3年生を対象に行った英語力の調査結果で、リスニングとリーディングがCEFRのB1レベル以上だった高校3年生の割合は3%程度ですので、全国の平均と比べるとリスニング力とリーディング力がしっかり身についていると言えます。スピーキングとライティングについては、CEFRのB1レベル以上の人はほとんどいないものの、CEFRのA2レベル以上の人の割合は、どちらもおよそ60%程度となっています。同じ文部科学省の調査では、高校3年生の80%以上の人がスピーキング、ライティングともに、CEFRのA1レベルという結果ですから、こちらも全国の平均と比べると高いスピーキング力とライティング力をもっていると言えます。

 

◆これからの英語学習

それでは、この結果を受けてみなさんはどのような英語学習を進めていけばよいのでしょうか。学習の「道しるべ」になるのは、テスト名称でもある”CAN-DO”です。CAN-DOとは、学習者が言葉を使ってすることができるコミュニケーション行為を「~できる」という形式で具体的に記述したものです。このCAN-DOを集めて、あるレベルの学習者が「どのようなことができるか」を表したものがCAN-DOリストであり、CEFRもこのCAN-DOリストの一つです。ですから、CEFRのレベルを向上させていく、すなわち、英語を使えるようにしていくためには、今はできないCAN-DOをできるようにしていくことが必要となります。

 

CAN-DOの考え方は、大学入試センターが作成する「大学入学共通テスト」の英語の問題にも色濃く反映されています(「大学入学共通テスト」の枠組みで使われる民間の英語資格・検定試験は、「使える英語」を測定しているわけですから、いうまでもなくCAN-DOと強い関連があります)。たとえば、大学入試センターが示したリーディングの作問のねらいとする資質・能力についてのイメージの素案では、CEFRのCAN-DOをもとに独自の「目標」(=CAN-DO)を定め、それを説明文と物語文の場合に分けて分解し、どのような力を測定するかを決めています。CEFRのB1レベルに相当する設問では、記事、レポート、資料などから、自分が必要とする情報を読み取る「部分の把握」と、概要や要点を理解したり、文章の論理展開を把握したりする「全体の把握」を出題するとしています。
ですから、CAN-DOに即した英語の試験や、CEFRレベルを判定してくれる英語の試験を受験することで、今自分は何が「できる」のか、もしくはCEFRでどれくらいのレベルなのかを把握することからスタートしてみてはどうでしょうか。試験結果を受けて、その試験の元となっているCAN-DOリストやCEFRのCAN-DOリストの「自分のレベルよりもう一つ上」のものを次の目標として学習を進めていけばよいのです。ライティングとスピーキングでは、CAN-DOもかなり具体的に書かれていることが多いので、各CAN-DOの内容をトレーニングしていけばよいでしょう。
リスニングとリーディングでは、CAN-DO を「言語的な難しさ」「テキストの種類」「どのようなことを理解するか」の3つの要素に分けて考えると、具体的に取り組むべき教材のイメージがつきやすくなります。たとえば、「大学入学共通テスト」の大学入試センターが作問するリスニングのA2レベルの目標の一つは「短い簡単なメッセージやアナウンスを聞いて、必要な情報を聞き取ることができるようにする」となっています。言語的な難しさとしては「短い」「簡単な」もので、テキストの種類は「メッセージ」「アナウンス」などです。そして、これを聞いて理解するべきものは「必要な情報」です。また、同じA2レベルの目標で「ゆっくりはっきり話されれば、身近な事柄に関する短い説明の要点を理解することができるようにする」というものもあります。この場合、言語的には「ゆっくりはっきり」放送される「短い」もので、テキストの種類は「身近な事柄に関する説明」となり、理解するべきものは「要点」です。ここで強調したいことは、それぞれの問題によって、ねらいが異なっているため、すべてを同じように「理解」する必要はないということです。もしかしたら、すべての問題を日本語訳するなどして詳細に理解しようとしている人がいるかもしれません。もちろん、そのレベルでの理解が必要な問題であれば、その勉強法は正しいものです。しかし、すべての問題がそのような問題であるとは限らないのです。CAN-DOを意識することで、より適切なレベルをより適切な力加減で学習することができるようになるでしょう。

 

◆文法や語彙はどうする?

これまで見てきた例のように、CAN-DOは「言葉を使ってできること」を記述していますが、そのコミュニケーション行為を「どのような文法や語彙を使って実現するか」にはふれていません。大学入試センターが平成30年2月に実施した「大学入学共通テスト導入に向けた試行調査」のリーディングの問題では、発音、アクセント、語句整序の問題は出題されませんでした(試行調査の問題構成や内容が必ずしもそのまま2021年1月からの「大学入学共通テスト」に受け継がれるわけではない点には注意してください)。このことは、これからの英語学習では「文法や語彙は重要ではない」ということを意味するのでしょうか。答えとしては「NO」です。一つひとつCAN-DOを実現するためには、それを下支えする文法や語彙の知識が不可欠です。たとえば、話すこと【やり取り】A2.1の道案内のCAN-DOでは、”go straight” や”turn right/left” といった道案内に特有の表現だけでなく、”and”、”first”、”then”、”next” などのつなぎ言葉、目印として街中にある建物などの語彙が必要となります。「まっすぐ行って、右に曲がって、左に行くとあります」と言っても相手は目的地にたどり着けませんよね。「この通りをまっすぐ行くと病院があります。その交差点を右に曲がってしばらく行くと書店があります。書店を通り過ぎた次の交差点を左に曲がると、目的地が右手に見えますよ」と相手に伝わるように表現するためには、当然語彙の知識は重要となってきます。また、これを英語で表現すると、”Please go straight.” などの命令文、”You will find a hospital.” などの助動詞の文、”and” などの接続詞の使い方といったように、さまざまな文法が必要なことがわかります。リーディングの問題で説明文などの固めの文章を読むときも、難しい語彙や文法が使われているかもしれません。「文法や語彙は使っているうちに身につく」と主張する人もいますが、これは英語がふだんからまわりで話されている環境での話であって、日本のような英語があまり身のまわりで話されていない環境では大変難しいことです。ですから、文法や語彙の学習はこれまでと同様にしっかりと進めることが大切です。ただし、「自分が使えるようになるもの」と「意味がわかればよいもの」を意識して、勉強の濃淡をつけることは非常に有効です。
日本の英語教育は今大きく変わろうとしています。どのように勉強していけばよいのか疑問に思っている人も多いかと思います。その中で、一つの道しるべとなるのが、CEFRレベルを判定してくれる試験、CAN-DOに即した試験、そしてその背後にあるCAN-DOリストなのです。
使える英語力を伸ばすために、小さなCAN-DOを一つひとつ積み上げて、さらなる高みを目指していきましょう。

 

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