高大接続システム改革会議最終報告より_2016.4

高大接続システム改革会議最終報告より

文部科学省の「高大接続システム改革会議」が最終報告をまとめました。
大学入試センター試験に代えて、2021年度から実施予定の新しいテスト(「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」)について、まずは最終報告に盛り込まれた主要な論点を確認しましょう。

※大学入試改革の実施年度については「2020年」という表記もありますが、Z会では、入試年度をもとにした「2021年度」と表記しています。
※以下の概要は、2016年3月末時点での公開情報に基づくものです。今後の検討で変更が生じる可能性もあることをご了承ください。

 

記述式問題の導入について

記述式問題導入の対象教科は当面は「国語」と「数学」で、特に「国語」が優先されます。短文記述問題の導入からスタートし、高校の新学習指導要領に準拠する2025年度入試からは、長文記述式問題の導入も検討されています。
ただし、採点に必要な期間をふまえて、選択式と記述式を同じ日に実施するか別の日に実施するかは、今後の検討となりました。さらに、記述式の採点での民間事業者の活用やコンピューターを効果的に活用することなども、更に実証的・専門的な検討を行うこととなりました。

 

英語4技能

英語では、「話す」「書く」「聞く」「読む」の4技能を重視する方向です。「話す」力を測定するための具体的な試験形式は引き続き検討となりました。民間の資格・検定試験等の積極的な活用という論点も盛り込まれており、こちらも今後検討を深める見通しです。

 

その他の主要なポイント

年複数回の試験実施は見送られる見通しです。複数の教科にまたがる出題については、高校次期学習指導要領で「数理探求(仮)」(数学と理科の融合)が導入されれば、2025年度以降から科目追加となる見通しです。
また、コンピューターによる出題・解答(CBT)については、2025年度からの実施に向けて試行に取り組み、「1点刻み」ではない段階別の評価については、具体的な検討は今後の課題となりました。

今後のスケジュールですが、2017年度初頭までに実施内容の策定・公表、2018年度にプレテストの実施、2019年度に「実施大綱」が策定・公表され、2021年度より新しいテストが実施される予定です。さらに、2025年度からは、高校の次期学習指導要領に対応した内容での実施となる予定です。

 

 

改革の原点を確認しておきましょう。

今回の検討は、「高大接続」という観点から、高校教育と大学教育の改革とあわせて、両者を接続するものとしての「入試」のあり方を見直すものでした。
検討の対象はセンター試験だけでなく、個々の大学の個別試験まで含んでいます。

議論の前提にあるのは、世界的な教育改革の潮流を背景に、今後の社会で求められる「学力の3要素」を、いかにして養成していくか、という問題意識です。
すでにこのサイトでもご紹介しているとおり、「学力の3要素」とは、

  1. 十分な知識・技能
  2. それらを基盤に答えが一つに定まらない問題に自ら解を見出していく思考力・判断力・表現力
  3. 主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度

を指します。

 

このうち、「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」では、主に2.を問うためのテストとして

  • 内容に関する十分な知識と本質的な理解を基に問題を主体的に発見・定義し
  • 様々な情報を統合し構造化しながら問題解決に向けて主体的に思考・判断し
  • そのプロセスや結果について主体的に表現したり実行したりする

力を問う出題を目指しています。

今回、記述式問題の導入という点のみをクローズアップした報道が目立ちましたが、改革の本来の目的は、試験内容そのものを「思考力・判断力・表現力」を適切に問う内容にすることです。
選択式問題でも、これまでとは傾向の違う問題が出題される可能性は高いです。すでにいくつかのサンプル問題が開示されていますが、今後の議論の進捗や開示される情報には、引き続き注意が必要です。皆さんもアンテナを高くしてほしいと思います。

 

それでも進む入試の多様化

個々の大学の個別試験では、2.「思考力・判断力・表現力」に加えて、3.「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」をこれまで以上に評価するための見直しが進められています。
東大の推薦入試導入をはじめ、各大学の入試改革は、新テスト導入を待たず、すでに始まっています。

主体的に問いを設定し他者とともに探求する力といった、これまでの入試では直接評価される機会が少なかった能力や資質を活用できるチャンスが広がります。
ここでもやはり、自分が志望する大学の入試の最新動向によく目配りし、自分の強みを活かすにはどのような入試を活用できるかという観点での進路の探求に、積極的に取り組んでほしいと思います。

 

広がるチャンスをどう活かすか

新テストのより具体的なあり方が見えてくるまでには、もう少し時間がかかりそうです。
ただし、高校、大学、そして大学入試が、「答えが必ずしも一つに定まらない問題を粘り強く考え、多様な人々と協働して学ぶ態度」を重視していく方向は変わらないでしょう。

 

こうした変革を踏まえて、一番避けたいのが、

  • 早い段階で入試のためだけに自らの興味・関心を狭く絞ってしまうこと や
  • 「理解」や「思考」そして「表現」を軽視した学習に終始してしまうこと

です。

 

Z会は、これからの中高生の皆さんにも、引き続き次のような観点を大事にして、日々の学習に着実に取り組んでほしいと考えています。

  • 自分の考えをまとめる、記述式の訓練を着実に積み重ねること。
  • 知識を活用し、答えが必ずしも一つではない問題に、様々な観点からアプローチして、論理的に問題の解決策を考え、それを他者に伝えること。
  • 学問や世の中の問題に広く関心を抱き、社会をよりよくしようとする意志をもって、日々の学習と社会や自分自身のありかたを結びつけて、主体的に学ぶ姿勢を培っていくこと。

今後も入試改革についてのさまざまな情報へのアンテナを高くしつつ、この変化を「チャンス」と考えて、これからも視野を高く広くもって、Z会と一緒に日々の学習に取り組んでいきましょう。

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Z会の通信教育 中高事業部 課長補佐 中村一貴

国語・小論文の教材開発に加え、大学入試改革を見据えた中1・中2生向け「総合」講座や、夏の特別講座「クリティカルシンキング入門講座」開発にも参画。
Z会主催の講演会において、大学入試改革とそれに向けた学習に関する登壇多数。

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