Z会が理科・地歴の大学入試を総括!~入試問題の変化とその対応策について~_2018.10

Z会指導部が2018年度、理科・地歴の大学入試を総括!~入試問題の変化とその対応策について~

Z会指導部は毎年、大学入試問題を分析しており、教材作成に生かしています。その結果、2018年度の難関大入試においても数多くの的中問題を出し、Z会員の大学合格に貢献しました。

2020年からの大学入試改革に向けた動きがいよいよ加速しています。2017年から2018年にかけては、「大学入学共通テスト」の試行調査の問題が公開されたり、2022年度から施行される新しい高校の学習指導要領が公開されたりといった、大きな動きが続きました。
2018年度の各大学の入試問題でも、こうした動きをふまえた変化が現れています。

今回は、地歴や理科の最新の入試問題の変化を取り上げながら、これからの入試で問われる「思考力」や「表現力」、その対策に必要な学習の姿勢について、Z会の通信教育 中高事業部 指導4課課長の中村一貴がお話します。

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◆地歴の出題から見る入試問題の変化

さっそく、以下の問題を見てみましょう。

2018年度 名古屋大 日本史

1543年の種子島への渡来船として、2つの図(中国式ジャンク船/ナウ型ポルトガル船)のどちらもあり得たが、あなたはどちらの可能性が高いと考えるか、史料文から根拠を示して論じさせる問題

この出題は、与えられた資料だけでは、正解がどちらか一つに定まらない(どちらもあり得たと推論できる)可能性があります。もちろん、出題ミスではありません。あえてこのような出題にすることで、「与えられた資料を読み解き、教科書の基本的な知識とも結びつけながら、論拠を明らかにして自分で推論を組み立てる力」が問われているのです。正しい答えを選ぶことではなく、根拠にそって論理的な推論を組み立てる力こそが問われているのです。
実は大学入学共通テスト試行調査の日本史Bでも、資料に沿って構築した仮説の成否を問う問題や、論理的な考察ができていれば複数の正解が成立するタイプの問題が出題されていました。これまでのセンター試験の日本史では見られなかった、新しいタイプの問題として注目を集めました。

歴史の学習というと、すでに確定した歴史的事実がただ一つだけあって、それを整理して覚えることだ、というイメージが強いのではないでしょうか。しかし、新しい指導要領を含めた、現在の教育改革の流れでは、歴史科目においても、一つの「正解」だけを求めるのではなく、学習者自身が、さまざまな歴史資料から疑問を抱き、自ら「問い」を見つけ、自分なりに仮説を立て、論理的な考察を組み立てる、という「探究」的な姿勢が、いっそう重視されます。暗記ではなく、「論拠を持って自分なりに考えを組み立てる力」こそが、重視されているのです。
さらに、自説を組み立てるだけにとどまらず、同じ資料から別の意見を組み立てた他者と議論し、それによって自説を修正したり発展させたりして、さらに深い理解に至る、そんな対話的で深い学びのあり方がめざされています。

ご紹介した入試問題からは、こうした変化を先取りし、このような学習を積み重ねてきた学生が力を発揮できる出題にしたい、そんな意図を感じます。

この他にも、以下の出題を見てみましょう。

2018年度 大阪大 世界史

アジアとヨーロッパで描かれた2つの孔子像の図版を見ながら話す生徒達と先生の会話を踏まえて、両孔子像が描かれた当時のアジア・ヨーロッパの学問・思想をめぐる文化的な背景を説明させる問題

この出題には、問いのスケールの大きさに驚かされますが、受験生が直接資料を読み解いて、教科書で学んだ知識をもとに、他者の考えも参考にしながら自分なりの考察を組み立て、表現する力を問うという点で、上記に通じるものがあります。

 

◆理科の出題から見る入試問題の変化

これからの学びの変化を見据えた出題の変化は、理科の入試でもすでに始まっています。特徴的な変化はどのようなものでしょうか。2018年度の入試から、具体的な問題を見てみましょう。

2018年度 学習院大 物理

「地表付近での重力加速度の大きさを測定する」ために、実際の実験を自分で設計させる問題

このように、公式を運用するだけでなく、自分で実験をデザインして考察する力は、大学入学共通テストの第1回試行調査の物理の出題でも、求められていました。

2018年度 大阪大 生物

設問の要求にしたがって、実験結果の組み合わせから判断できることと、判断できないことを、根拠を示して説明させる問題

大学公表の「解答例・出題意図」では、「実験結果から結論を導く際、どのような条件で行われた実験を比較するべきかを抽出する能力、それらの実験結果および判断の根拠を論理的に記述する能力を問う」ことが明記されていました。単なる判断や根拠(実験)の選択ではなく、判断の根拠が適切であることまで的確に示せる「論理的整合性」を重視した出題です。

2017年度・2018年度 大学入試センター試験 生物

資料などから考察して得られる関係性を数式として表現できるかを問われる問題

公開された大学入学共通テスト資料の「各教科・科目の問題の構成や内容で留意すべき点」(理科)にある「仮説を検証する過程で、数的処理を伴う思考力等が求められる問題」を先取りしたと思われる出題が続けて見られました。

理科についても、地歴と同様に、これから求められる学力観をふまえた出題の変化が生じています。観察や実験を通して、自ら「探究」するという意思をもって学ぶ姿勢や、実験結果から論拠を明らかにして論理的な考察を行いそれを表現する力、さらに実験結果を数式のかたちで表現する力、こういった力がますます問われるようになっています。

 

◆より深い思考力と表現力が問われる

地歴と理科と、科目こそ異なりますが、今回取り上げた入試の変化には、以下のような共通する特徴があります。

  • 教科書の知識を正確に再現できる力だけでなく、一次資料や実験結果という素材から、自ら「問い」を立てて考察する力が求められる
  • 論拠をもとに、論理的な考察を組み立てる力が求められる
  • 考察結果を他者に正確に伝える表現力が求められる

こうした変化こそが、これからの大学入試がめざす「思考力・表現力」の中核となる力であり、地歴や理科に限らず、あらゆる科目で、こうした力が共通して問われてくるでしょう。

 

◆思考力や表現力を高めるために必要なこと

こうした出題の変化をふまえて、これからの学習で大事にしたいのは、どのようなことでしょうか。STEP1~STEP3の流れで確認してみましょう。

●STEP1
教科書に記載されている体系化された知識をしっかりと理解して運用できるようにしておくことは、これまでと同じく、大事です。

●STEP2
起きている現象にあてはめるべき法則や、社会的なニュースの裏側にある仕組みや背景などを、言葉を用いて説明できるか確かめながら学校での授業や日々の問題演習に取り組むことをお勧めします。

●STEP3
教科書はもちろん、参考書や図説も参照する習慣を身につけ、図やグラフなどは、それが表す意味まで確認しながら学習することを心がけてください。

地歴や理科だけに限らず、これからの大学入試では、

  • 「さまざまな資料から情報を読み取り、それらを相互に関連付けて思考する力」
  • 「論拠を明らかにして他者に論理的に説明する力」

が、ますます重視されます。記述力の鍛錬は、すべての科目の土台として欠かせません。

基礎知識の習得を確実にするためにも、「記述型の学習は教科書が終わってから」と考えるのではなく、学習の初期の段階から、「理解したことを他者に説明する」「知識を使ってみて考察を文章でまとめる」という学習を、同時並行で行ってください。

学習ツールの多様化で、手軽に知識をインプットする手段はますます増えています。でもだからこそ、「インプット」だけで学習を完結させず、「書くこと」を学習のプロセスに必ず組み込んでほしいと思います。自分の手を動かして解答を書く練習を積み、自分の表現を他者から客観的に評価してもらう機会を組み込むことで、「一人よがりな答案になっていないか」「客観的に見て必要十分な解答が書けているか」という自己点検を繰り返しましょう。
そのためにZ会をぜひ活用してください。

 

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