教育＆入試トレンドニュース【2021年4月号】

2021年4月5日

新大学入試を含め、さまざまな教育ニュースを毎月配信する「教育＆入試トレンドニュース」4月号です。

主なニュース

【デジタル教科書　本格的な活用へ】

３月17日、小中学校のデジタル教科書に関して文部科学省が設置した検討会議が中間まとめを公表しました。

デジタル教科書とは、紙の教科書の内容をそのままデジタル化したもののことで、すでに2019年度から、一定の基準のもとで紙の教科書の代わりに使えるようになっています。全国の公立小中高校における普及率は2020年３月現在で約８%にとどまっていますが、GIGAスクール構想のもと、小中学校では今年４月から「児童生徒１人１台端末」の環境が整い、ほとんどの教科書がデジタル教科書として発行される見込み。今後、教育現場での活用が進むと見られます。

こうした状況を受け、検討会議は昨年末、「デジタル教科書の使用は授業時数の半分未満にする」という基準を撤廃すべきだと提言。今回の中間まとめでは、デジタル教科書の意義やメリット、導入のパターン、さらにこれから必要となる取組みを具体的に示しました。小学校用教科書が次に改訂される2024年度からの本格的導入を目指し、実証研究を進めるとしています。

一方、情報セキュリティや教員の指導力不足など、解決すべき課題は少なくありません。伝統的な紙の教科書のメリットを重視する立場から、デジタル教科書の性急な導入を危ぶむ声も上がっています。

（参考）

▼デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議　中間まとめ　（文部科学省）

その他ニュース

◆2月24日：文部科学省が2021年度国公立大学一般選抜の確定志願者数を発表しました。総志願者数は42万5415人。18歳人口の減少を背景に、過去最少となっています。学部系統別に見ると、多くの分野が前年よりも志願者を減らしているなか、医学部・薬学部・看護学部など医療系学部で志願者が増加。なかでも薬学部は前年に比べて大きく伸ばしています。

（参考）
▼令和3年度国公立大学入学者選抜の確定志願状況及び2段階選抜実施状況（前期日程）について

◆２月24日：神田外語大学（千葉市）は昨年夏から始まった海外大学オンラインプログラムをさらに拡充して春にも提供すると告知。海外の大学の授業をオンラインで受けられるこのプログラムは、例年実施していた夏季海外短期研修の代わりに導入されたものですが、海外渡航を前にした留学前教育としても機能し、また学生の負担も軽減できるなど、さまざまな利点があります。

（参考）
▼神田外語大学海外大学のオンライン授業を受講できる「海外大学オンラインプログラム」を導入（神田外語大学）

◆３月４日：世界大学評価機関であるイギリスのクアクアレリ・シモンズが科目別世界大学ランキングを発表しました。「学術的評判」「雇用主の評判」など４種類の指標に基づいて出されたもので、科目別の順位が最も高かったのは「歯科学」での東京医科歯科大学でした（世界５位）。100位以内に入った科目の数は東京大学が43科目で国内最多。アジアではソウル大学の45科目に次ぎ、北京大学と同数です。

（参考）
▼QS World University Rankings by Subject（Quacquarelli Symonds）

◆３月12日：近畿大学（大阪府東大阪市）が現在の理工学部情報学科を拡充し、2022年４月に情報学部を開設する予定を発表。AI活用やデータ分析、サイバーセキュリティ対策などを扱う、先端IT人材の育成を目指します。実現すれば、新学部の誕生は国際学部（2016年４月）以来、６年ぶり。学部長には家庭用ゲーム機「プレイステーション」の開発で知られる久夛良木健氏が就任する予定です。

（参考）
▼情報学部　FACULTY OF INFORMATICS　（近畿大学）

◆３月17日：東北大学（仙台市）をはじめとする東北地方と新潟県の８つの国立大学が地域のイノベーション創出と地域経済の発展を担う人材育成に貢献するため、「東北創成国立大学アライアンス」を創設したと発表しました。各大学の個性や特色を活かして教育、研究での連携を進めていくしくみ。まずは「数理・データサイエンス・AI教育」に関する連携からスタートします。

（参考）
▼「東北創成国立大学アライアンス」の創設　（東北大学）