Make School Winter Academyから考える_2017.1

Make School Winter Academyから考える
2016年12月に行われた「Make School Winter Academy」は、英語で行われた

Z会×Make School プログラミングスクールでは、2016年12月25日から29日までの5日間、Z会御茶ノ水ビルで「Make School Winter Academy」を開催しました。その様子をご報告します。

 

◆「全て英語で行う」ことの徹底

昨夏に行われたSummer Academyは初の日本での開催であり、中高生の英語力を考慮して、日本語もできる講師が講座を担当しました。しかし夏の参加者の様子などから、今回は「全て英語で行う」ことをコンセプトとし、講師の選定の際には「日本語ができる」ことを考慮しませんでした。そのために参加者にも一定以上の英語力を求め、たとえ意欲があろうとも英語力が一定以上にない場合には「不合格」とする厳しい選考試験を行いました。それでも多数の応募をいただき、最終的に中学1年生から社会人まで28人の方に参加をしていただきました。

結果として、参加者同士やZ会スタッフとは日本語で会話する場面が見られたものの、講師は日本語ができないため、講師への質問や講義は全て英語で行われました。必要な場面では英語での意思疎通ができており、今回の参加者の皆さんは特に不都合なく講座に参加できたものと思います。もし日本語ができない参加者がいれば、教室内の会話も全て英語となったことでしょう。

「Make School Winter Academy」の講師
「Make School Winter Academy」の講師:左からLuke、Jordan、Jason

 

◆「チーム」として学ぶ

初日となった25日。朝9時からオープニングセレモニーが始まりました。今回の参加者のミッションは「プログラミングの力を探る」。今回の参加者には、全くのプログラミング未経験者もいます。多少の経験者もいます。どのようなバックグラウンドがあろうとも、「プログラミングの力を探る」ことは参加者にとって重要な意味を持ちます。それぞれの段階で見えてくる「世界」があり、その世界でプログラミングがどのような力を発揮するのかを探ることは、プログラミングスキルを伸ばすことに直結するはずです。
このことは数学で考えてみればわかりやすいでしょう。例えば中学校1年生で、『負の数』を学習することにより見える『世界』が広がり、新たにどのようなことができるのかを探求した結果、『借金』の概念を式にすることができるようになりました。新たな知識から探求を行うことで、新たなスキルや概念を身につけられるという一例です。
続いてMake Schoolの「哲学」も共有します。

  • 成果物を作ること
  • 講師は「プッシュ」はするが「引っ張って」はいかない
  • 強力な「フィードバック→改善→フィードバック→改善→……」というサイクル
  • スピード感を持って取り組み続ける

 

つまり、「受け身ではいけない」。選考過程で重視をした「情熱」も欠かせません。

実際に講義を行っていくに当たり、「チーム」として学んでいくことが欠かせないことも改めて強調されました。互いを尊重し、教え合うこと。嫌みや皮肉を言わないこと。「Make Schoolコミュニティ」の一員となるからには欠かせないことです。そして、Make Schoolで学んだ全ての人がSlack(世界的に有名なチャットツール)でつながり、Make Schoolを卒業しても「お互いに教え合う」ことができる。これもMake Schoolの良さのひとつでしょう。

Winter Academyで教え合った人たちとは、今後も切磋琢磨していく仲間となる

 

◆プログラミングの基礎を学ぶ

今回のWinter Academyは5日間しかありません。そんな中でも基礎をないがしろにすることはなく、1日目から3日目は「プログラムの基礎とオブジェクト指向プログラミングについて」と題した講座が行われました。といっても一斉の講義が行われる場面は少なく、各自のPCに配信した課題に取り組みながら、必要に応じて講師がマンツーマンの指導をしたり、少人数に対しての講義をしたり、全員が承知しておくべきことは全体に対して指示をしたりといった形での講座となりました。

一人ひとりの状況を確認できる少人数制講座のため、必要に応じて個別指導も行われた

 

◆ゲーム開発に臨む

今回は日程の都合上、オリジナルのゲームをイチから作成することは不可能なため、「型」となるゲームのコードを提示し、実際にそのコードを理解しながら改造するという形がとられました。他人が書いたコードを理解して修正を加えることはコーディングの現場でもよく行われることですし、独習のスタイルとしても効果的なものです。Summer Academyの参加者や進度の速い受講者は4日目から作成に取りかかり、5日目には皆「自分だけの」コードを書くことができました。

そして最終日の午後には発表会です。家族や友人を招き、自身の作品の披露と、それに対する質疑応答を行います。その後、一人ひとりが「この5日間で学んだこと」を(もちろん英語で!)口頭発表し、インストラクターから修了証を受け取りました。

参加者は、それぞれの作品を興味深く見ていた

 

◆Keep on programming

最後に講師から「今後のミッション」が提示されました。

  • 「自分の」ゲームに触れ続けること
  • Make Schoolの「ファミリー」で居続けること
  • 作り続ける」こと

プログラミングを続け、Slackで質問をし、助け合い、これからも「自分の」ゲームを作り続けること。これが、これからのミッションです。思えばSummer Academyの「同窓会」の際、Make School CEOのJeremyは「プログラミングを続けているか」という質問をしていました。日本語でも「継続は力」という言葉があるように、これからも参加者にはプログラミングを続けていってほしい。そう願わずにはいられません。

 

◆「英語で学ぶこと」

今回のWinter Academyの大きな特徴のひとつに、「英語で学ぶ」ことがありました。この稿の最後に、「英語で学ぶ」ことについて述べておきます。

グローバル化が叫ばれる昨今、必ずしも「日本で生まれ育ったから日本語が母語」ということはありませんが、それでも日本で生まれ育った多くの人が日本語を母語としていることでしょう。そして義務教育のみならず、大学や大学院の教育まで、大多数の人が日本語で受けています。このことは決して当たり前のことではなく、日本でも「開国前」は漢文やオランダ語で、明治維新後もしばらくの間は英語やフランス語、ドイツ語で先端技術の教育を受けていました。
言うまでもなく、「母語で先端技術の教育を受けられる」ことは大きなメリットです。いかに慣れようとも少なからぬストレスがかかる外国語の理解に気を遣うことなく、新しい概念の理解だけに労力を傾ければよいのです。しかし技術が進化するスピードが上がっている今、新しい概念を母語に翻訳するタイムラグが致命傷となり得ます。新しく生まれた概念や技術を、外国語のまま理解する必要が出てきているのです。Make Schoolのカリキュラムで使われているプログラミング言語「Swift」も、アメリカのApple社が開発しているため、ドキュメントの中には日本語に翻訳されていないものもあります。より深く、より効率的に、より確実に理解をしようとすれば、こうした英語のドキュメントを読まざるを得ないのです。そうしたドキュメントの中には、まだ日本語になっていない概念が含まれる可能性は排除できないでしょう。

こうしたことを考えると、「全ての教育を英語で行う」ことがすべての人に必要とはいえないでしょうが、最先端の技術や考え方の多くが英語で発表される現状では、「ある種の教育が英語で行われる」場面も今後、出てくることでしょう。Make School Winter Academyの風景を見ながら、そんなことを感じました。

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