2017年4月号

2017年4月号

Z会には、2021年度の新大学入試を見据えて、教科の枠組みを超えて「思考力・判断力・表現力」を育む「総合」講座があります。「人文分野」「自然分野」「社会分野」の中から、毎月1分野に取り組み、自分なりの答えを見つけ、それを他の人に説明できるようになることを目指します。
答えが1つに定まらない問いに対し、会員専用サイトで自分の意見と他の会員の意見を見比べたり、担当者が選んだ答案を確認することができます。
ここでは、「総合」講座の問題と会員の解答、担当者の講評をご紹介していきます。

 

◆中1 _社会分野 グラフを批判的に見る──道徳教育によっていじめは防げるのか

◎出題のねらい◎
道徳が「教科」化されるようです。その背景として取り上げられるのが、少年犯罪やいじめの増加です。たしかに少年犯罪やいじめに関するショッキングなニュースのいくつかは、すぐに思い出すことができます。

しかし、その認識は正しいのか。いくつかの統計グラフを通じて考察してもらいました。
そしてもしその認識が正しくないとしたら、なぜ道徳を「教科」化するのか。そもそも道徳教育によっていじめは防げるのか。防げないとしたら、いじめ対策として何が有効なのか。論述問題では、こういったことについて考えてもらいました。

◎問題◎

資料2で、先生は「考えるべきは、はたして道徳教育によっていじめは防げるのか、ということなんだ」と言っていましたが、政府は道徳を正式な「教科」にすることを「いじめ対策の一つとして」位置づけています。
では、あなたなら、いじめ問題に対してどのような対策を打ち出すのがよいと考えますか。道徳を正式な「教科」にすることがいじめ問題にもたらす結果やその理由にも触れながら、300字以内であなたの考えを述べなさい。

◎答案例1◎
僕はいじめ問題に対し、道徳を正式な「教科」にすることにあまり賛成しない。ある団体のサイトで調べたところ全国の教員の約8割が道徳の教科化に反対していることがわかった。理由は普段の授業や修学旅行等でも道徳を学べるから、というものが多かった。/僕も小学校で道徳の授業を受けた。しかし、道徳以外にも国語の物語文や社会の歴史や公民分野で人の気持ち、公正公平について考えることができた。道徳を教科化すれば、子どもがいじめに触れることが多くなり、いじめに走る子どもは少なくなるかもしれない。しかし、普段の学校生活に道徳の要素を組み込めばさらに効率の良いいじめ対策になるのではないか。

◎答案例2◎
僕は、いじめ問題の対策には先生と生徒が交換日記を毎日することが最善だと思います。道徳をやることによって、心の在り方を改めて確認することができます。しかし、僕の周りの人は「テストがないのなら勉強しなくていいや」という考え方の人が多いので、道徳はあまりやっても意味がないと思います。それに比べて交換日記をすることは、いじめなどの直接言いにくいことも書くことによって伝えることができるし、先生と生徒の間でコミュニケーションができるので、優れていると思います。以上のことから、先生と生徒が交換日記を毎日することが最善の対策だと思います。

 

◎講評◎
今回の課題では、2つの判断を求めている。1つは、政府による道徳の教科化がいじめ対策に有効なのかどうか、という判断。もう1つは、自分ならいじめ問題に対してどんな対策をとるか、という判断である。もちろん、それぞれの判断とともに、そう判断した根拠も示す必要がある。この、二段構えの課題が厄介だったようで、いずれの判断もおさえられている答案は少なかった。したがって総じて得点は低くなるのだが、片方だけの判断とその根拠であっても、中にはキラリと光るものがあったのも事実である。

 

◆中2 _社会分野 グラフの意味するところを考える―少子化問題をどのように考えるか―

◎出題のねらい◎
「少子化問題」は、長く日本において議論されている社会問題の一つで、皆さんも一度は耳にしたことがあると思います。しかし、「なぜ少子化が問題なのか」「どうして少子化になってしまっているのか」といったところまで、深く考えたことはなかったと思います。
そこで、今回の添削問題では、現在行われている少子化対策が成功するかどうかを検討してもらった上で、「あなたが政策の決定者となったら、少子化問題に対してどのような政策を打ち出すか」について考えを述べてもらいました。
実はこの問題、提示されている資料やヒントの数に差があるとはいえ、図らずも2017年度の東大法学部推薦入試とグループディスカッションのテーマと一致していました。

具体的な社会問題に対して、自分の頭で考え、意見を発信することが、入試の現場でも求められてきています。

答案ではさまざまな「外国人労働者の活用」や「地域社会の活性化」など、さまざまな「少子化対策」の案が提示され、中には非常に考えさせられる提案も見受けられました。

◎問題◎

資料1~資料3からもわかるように、「少子化」という問題については、さまざまな論点から考えることが可能です。また、その対策についても、いろいろなことを同時に行っていく必要があるでしょう。
では、もしあなたが、「少子化社会対策大綱」の「集中取り組み期間」が終わった2019年に、政策の決定者となった場合、少子化問題に対してどのような政策を打ち出しますか。2019年までの少子化対策の結果やその原因にも触れながら、400字以内であなたの考えを述べなさい。

◎答案例1◎
今までの少子化対策は、経済的や時間のためにあきらめる人をターゲットに行っていたように思えるが、結果的には所得の低い沖縄県の出生率のほうが高くなっている。私が政策の決定者となったら、近所同士の関わり合いや出産後の環境改革に取り組む。都会の東京よりも所得の低い沖縄のほうが近所のつながりが強いと考えられるし、出産後もう一人生むと考えたときに周囲の目が気になるかもしれない。急に泣き出した時に周囲の人が手を差しのべなかったら、次も産みたい、と考えることはあまりないだろう。そのために、電車などでは専用車両を設けたり悩んだりしたときに気軽に相談できる場を増やしたりし、出産後のケアや子供を連れて出かけやすいようにする政策を進めていくことが大切だと考える。

◎答案例2◎
外国人の雇用を積極的に増やす、という政策をうちだします。理由は二つあります。一つは、男女共同参画社会や介護による女性の労働時間の減少だと思います。女性の高学歴化により社会進出を望む人が増え、男性が家事に協力的になっても、昔の二世代家族だった頃に比べると子供にかけられる時間は少ないはずです。よって年々増えつつある外国人の家庭への受け入れを推進します。例えば家の片付けや保育園の送り迎えなどです。二つ目は子供(子育て)に夢を与えられるように、教育時間を充実させることです。教育を受けるためには教師が必要ですが、教師の仕事の過酷さが懸念されています。そのため、外国人を教師や教育関係者として雇うことにより、子供(子育て)に十分な希望や未来を抱かせ、子育てに意欲的になれるようにする必要があると思います。上記の二つの理由により、私が政治家の立場であったら、外国人の雇用の受け入れを打ち出します。

 

◎講評◎
今回の課題では、二つの要求がされていた。一つは、現在行われている「少子化対策」が成果をあげるかどうかを判断すること。もう一つはあなたなりの少子化対策を提案すること。後者についてはよくかけていたものの、多くの答案で前者を書き漏らしており、政策や意見として光るものがあっても、結果として点数が低くなってしまっていた。「問にしっかりと答える」ことが、よい評価を得るためのポイントとなるので、まずは答えるべき内容をふまえて意見を構築するようにしたい。

 

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