ICTを学習にうまく活用するには_2016.1

ICTを学習にうまく活用するには_2016.1

教育現場に取り入れられてきているタブレット端末をはじめとしたICT。子どもが通う学校が導入を検討している場合、保護者はどのように受け止めればよいのでしょうか。また、家庭に取り入れる場合の注意点は? 前回に続き、一般社団法人iOSコンソーシアムの野本竜哉さんに伺いました。

野本竜哉さん野本竜哉さんプロフィール

iOS搭載端末による諸産業の活性化を目指す一般社団法人iOSコンソーシアムにて、教育分野でのiOS搭載端末の活用法を議論・検討する文教ワーキンググループのリーダーを務める。企業と教育者を集めての月例勉強会や、教育ICT関連の展示会への出展などを主導している。
※現職、Z会ICT事業部マーケティング課課長

 

 

 

◆学校が導入する場合、その目的に注目を

ICTは、導入すれば即座に成績が伸びるものではなく、学習上の課題を解決するための手段の一つとして有効であれば、成果を生み出すものです。

従って、お子さまが通う学校でICTを導入する話が挙がった場合、まず、その目的を確認することをおすすめします。考える習慣を身につけるためなのか、思考力をさらに伸ばすためなのか、あるいは、周りの学校や同じ偏差値帯の学校が導入しているからなのか…。

その学校に通う児童・生徒たちの弱点を補強したり、強みを伸ばしたりする手段の一つとして導入されるのであれば、ぜひ賛同していただきたいと思います。タブレット端末を各家庭で購入するとなれば、決して小さな負担ではありませんが、購入するだけの価値のある取り組みになると思います。

考えることを習慣づけたいけれども、学校がICTを活用していない、あるいは、活用に積極的でない場合、タブレット端末を家庭学習に取り入れていただくことも検討に値すると思います。

というのは、タブレット端末によって、学びの幅が広がるからです。「スマートフォンで事足りるのでは」と思われるかもしれません。しかし、タブレット端末は、決してスマートフォンの巨大版ではありません。スマートフォンとタブレット端末、そして、パソコン。それぞれに、できることとできないこと、やりやすいこととやりにくいことがあります。

一例を挙げるとすると、スマートフォンは画面が小さく、持ち運びが容易なことから、立ったまま、あるいは移動中でも使えるというメリットがあります。一方、子どもがどのように使っているのか、大人からは見えにくくなってしまう難点があります。また、ビューワーとして活用するには画面が小さく、見づらいです。

タブレット端末は、画面が大きいため、ビューワーとして最も手軽に活用できるでしょう。周りにいる人も覗き込めて、一緒に学習できますし、保護者が子どもの学習の様子を見ることもできます。ただ、キーボードがないため、長文入力には向いていません。長文入力は、キーボードを備える機器を準備した方がやりやすいでしょう。

ただ、このような特徴の把握や使い分け自体も、それぞれの端末が家庭内にあれば、子どもたちが自然と自分なりの基準を持つようになるものです。実際に使ってみて、その違いに気づき、目的に応じて使い分け始める。これも情報リテラシーの一つです。あるいは、タブレット端末を家庭に取り入れるために、使い方のルールを議論し、決めるのも、情報リテラシーを身につける一環になるでしょう。

このような機会が今、目の前にあるのに、家庭内にある端末を限定することで子どもたちの「自力で解決する力」を削いでしまうのは、もったいないと思います。

 

◆ICTは、決してアナログに置き換わるものではない

一方で、一つお伝えしておきたいのは、ICTは決してアナログに置き換わるものではないということです。

ICTと「紙と鉛筆」は、役割が重なる部分はあれども、基本的には異なる役割を果たすものです。例えば、プレゼンテーション資料を清書するにはタブレット端末やパソコンを使った方がわかりやすく、共有しやすいものができますが、まとめるまでの思考を整理する過程は、紙と鉛筆を用いた方がやりやすいと感じる方も多いのではないでしょうか。このように、手を動かしたり、紙に書く感触が伝わったりすることで、頭の中が整理される点は、見逃してはいけないように思います。

また、子どもの発達の面でも、紙に書くという行為は、手先の動きや細かい筋肉を鍛える上で、必要不可欠な経験です。

紙に書くことと、ICTを活用すること、両方に取り組んだ結果、その人なりの使い分け方ができるようになれば、それも一つのリテラシーです。そして、使い分け方は、一人ひとり違っていて構いません。大事なのは、自分なりの使い分けが定着すること。新しい道具の使い方を探し、考えることは、目の前の課題を解決するのと同じ営みです。それができれば、将来、道具が変わっても選び、使い分けることのできる人になれると思います。

 

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