仕事の未来予測にみる、これからの時代に必要な力とは_2016.3

仕事の未来予測にみる、これからの時代に必要な力とは

Z会特別講演会「学びが変わる×未来を変える」@日本科学未来館 実施レポート(前編)

2016年2月20日・21日、Z会は「これからの世界を生きる子どもたちに求められる力とは」をテーマに特別講演会「学びが変わる×未来を変える」を東京・日本科学未来館にて実施しました。この内容を、2月21日の講師を務められた静岡大学准教授 益川弘如先生のお話をもとに前編・後編の2回にわたって紹介します。

 

◆科学技術の進歩によって変わっていく「これからの仕事」

前編となる今回のテーマは「仕事の未来予測にみる、これからの時代に必要な力とは」。「子どもたちが社会に出たとき、どのような仕事が主流になりそうなのか、また、その仕事で力を発揮するには、どんな力を身につけておくとよいのか」を課題にグループワークが行われました。

課題を考えるにあたって提示された資料は2つ。一つ目は、「農業」「異文化交流」「運輸」「ものづくり」の4種の仕事についての未来予測です。これらの仕事の「これまで」と「いま」「これから」について例示された内容です。

もう一つは、国際団体ATC21s(Assessment and Teaching of 21st Century Skills)が提唱する「21世紀型スキル」をまとめた資料です。以下の4つの分類からなる10のスキルが、21世紀を生きていく上で必要と考えられていると、益川先生から紹介されました。

<思考の方法>
1.創造性とイノベーション
2.批判的思考、問題解決、意思決定
3.学び方の学習、メタ認知

<働く方法>
4.コミュニケーション
5.コラボレーション(チームワーク)

<働くためのツール>
6.情報リテラシー
7.ICTリテラシー

<世界の中で生きる>
8.地域とグローバルのよい市民であること(シチズンシップ)
9.人生とキャリア発達
10.個人の責任と社会的責任(異文化理解と異文化適応能力を含む)

参加者は、まず、4種の仕事のうちの1つの仕事についての未来予測の資料を担当し、保護者と子どもが一緒に読み込みます。次に、それぞれ担当した仕事についての未来予測の資料内容をグループ内で紹介しあって共有し合うとともに、わかったことや気づいたこと、感じたことを話し合います。さらに次のステップとして、2つ目の資料内容とこれまでの話し合いの内容をふまえて、子どもたち自身はこれからどんな力を身につけたいか、また、保護者は子どもにどんな力を身につけさせたいか、議論します。そして、議論の結果をグループごとに発表します。

このように、問い(課題)を設定し、その解決の助けになる複数の資料を個々人で読み込んだあとに共有し合い、問い(課題)への答えを議論し、その結果を発表してさらに議論を深める学習法を「知識構成型ジグソー法」といいます。知識構成型ジグソー法をとおして自分の言葉で説明したり、他人の説明に耳を傾けたり、わかろうとして自分の考えを変えたりといった活動を繰り返すことで考え方や学び方そのものを学ぶことができ、正解のない問題に対応する力をつけることができると、注目されている方法です。

「知識構成型ジグソー法」

※東京大学CoREFのWebサイトに詳しく載っています

 

◆多様な情報から必要な情報を見極めることが21世紀型スキルの真髄

こうしてグループごとにこれからの社会に必要な力について議論した結果、子どもたちから次の意見が発表されました。

  • とくに「コミュニケーション」のスキルが大事だと思う。なぜなら、技術の発展によって仕事の機械化が進むと、人とのつながりが希薄になるから。これまで以上に互いに話をして、信頼関係を築くことを大事にしなければ、対立が起こる。
  • 東京オリンピックを控えている今、「グローバルのよい市民であること」が重要なのではないかと思った。
  • コンピュータは、ものを作る面では人間よりすごいけれど、考えたり人と会話したりする面では、まだ人間の方が勝っている。なので、「創造性とイノベーション」のスキルを磨いて、人間が価値をつくり出すことが大事なのではないか。
  • 一番大事だと思ったのは、創造性です。理由は、自動運転などの技術も、機械に操縦させるという発想そのものも、創造性がなければ生まれてこないからです。
  • 自分の考えを持ちつつ、他の人と互いの知識や能力を組み合わせて課題解決のために発揮するという、「コラボレーション」や「個人の責任」が大事だという意見が出ました。

 

これらの意見を受けて、益川先生は「世の中にない道具を作ることは人間でないとできないことだから、創造性は重要」「課題を解決するには、自分自身が責任をもって行動することと、社会の中で自分はどういう貢献ができるのかを考えることの両方が大事」とコメントした上で、以下のようにまとめてグループワークを終えました。

「発表してくださった方は、グループワークで出てきた異なる意見から、自分にとって大事な情報を取捨選択してまとめ、発表内容にしたと思います。このように、多様な情報から大事な情報を選び取って考え、自分なりの言葉で伝える、これが21世紀型スキルの真髄だと思います。この力を強化していきたいという考えが、今起こっている大学入試改革の根底にあります。」

今起こっている大学入試改革の背景とは——次回、後編で詳しく紹介します。また、これからの時代に対応するための学び方なども、益川先生のお話をもとに紹介します。

後編は、2016年3月下旬掲載予定です。

 

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