■第3回:『感染地図』を読んで

2015年11月13日

カテゴリ: 特別コラム「自分で考えることのできる中学生になろう」

『感染地図』を読んで

スティーブン・ジョンソン『感染地図』(河出書房新社)を読む。

1850年代にイギリス・ロンドンで発生したコレラの話ですが、当時のロンドン(日本では幕末期)が、いかにクサい街だったかがわかります。いわゆるインフラもないところに、大量の住民が流入したのだから、やむを得ません。

それゆえ、コレラの原因が空気にあると当局が考えたこともうなずけるわけであり、また、それに疑問を持った一医師が、感染者をマッピングして感染源、すなわち井戸水を突き止めたことの画期性もうなずけるわけです。

地下室一杯に人糞を貯めてたそうですし、アパート上階の人は、窓から裏庭に汚物を捨てるっていうし(クサそうな話が続いてごめんなさい)。

これじゃイカンと排水溝を作ったはいいが、そのままテムズ川に垂れ流し。水洗便所というのも、この時代にできたそうだが、そのままテムズ川に垂れ流し。激しくクサかったそうです。

19世紀末には、「近代的な下水道」ができたそうなんですが、それでも、汚水を処理するのではなくて、テムズ川の河口にそのまま流す、その後は「外洋」に投棄していたそうだから、あまり近代的とは言えないのではないかな。さすがに今は、そのまま外洋に投棄なんてことはせず、適宜処理していると思いますけどね。

クサいものにフタをする努力が近代であり、フタをしきれなくなった、さあどうしよう? となっている(なっていく)のが現代か。放射性廃棄物とかね。

科学技術の発達によって大量破壊兵器ができた、というのは話の半分で、人間が集中して住むようになったから大量破壊兵器が大量破壊兵器たりうる、というくだりには、「ほう」と思いました。

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