教育&入試トレンドニュース【2023年3月号】

2023年3月1日

カテゴリー : 教育情報全般

さまざまな教育ニュースを毎月配信する「教育&入試トレンドニュース」3月号です。

主なニュース

【東京23区の大学定員規制 デジタル分野に限り緩和へ】

2018年に施行された地方大学振興法により、東京23区内では2028年3月まで大学の定員が抑制されています。定員を増やすことはできず、学部・学科の新設も認められていません。東京一極集中を危惧する地方の意向を受けた規制ですが、東京都や日本私立大学連盟は当初から猛反対し、その撤廃を強く求めてきました。
2月16日、地方大学振興法の施行状況を検討する政府の有識者会議は、2024年度以降、デジタル分野の学部・学科に限って23区内の定員増を認める案を了承。一定期間後には大学全体の定員を増加前の規模にまで戻すなど、あくまで条件付きの緩和になりそうですが、部分的にでも定員の抑制が崩されるのは初めてのこと。国としては、デジタル分野の人材不足解消を何よりも優先する方針を明らかにしたわけです。
これに対し、東京都の小池百合子知事はデジタル分野だけの規制緩和では十分ではないとし、改めて規制の全面撤廃を求めるコメントを出しました。一方で、全国知事会、全国市長会など地方の側は、定員抑制を続けるべきだという姿勢を堅持しています。

(参考)
▼地方大学振興法の施行状況の検討に係る有識者会議(第3回)の議事次第 (内閣官房)
▼有識者会議の議論のまとめに関する知事コメント (東京都)

 

その他のニュース

◆1月26日:武蔵野大学が創立100周年を記念し、メタバース空間にキャンパスを開設するなどのプロジェクトを発表。自分のアバター(分身)でメタバース空間を自由に動き、他の人と交流できるようにする構想です。2019年、武蔵野大学は私立大学としては初めてデータサイエンス学部を開設、翌年にはAI・データサイエンス科目を全学で必修化するなど、AI時代を見すえた改革を進めており、このプロジェクトもその一環です。

(参考)
▼創立100周年記念事業プロジェクト スマートインテリジェンスキャンパス(SIC)開設 (武蔵野大学)

 

◆1月31日:全国大学生活協同組合連合会が。2022年秋に実施された第58回学生生活実態調査の速報を公表しました。調査はコロナ禍が始まって3回目。2020~2021年に比べると対面授業や投稿日数が大幅に増え、学生生活充実度はコロナ禍前(2019)年の水準にほぼ回復しました。一方、サークルへの所属率はあまり回復しておらず、学生生活における部活動・サークル活動のウェイトは低下傾向にあるようです。

(参考)
▼第58回(2022年秋実施)学生生活実態調査 速報 (全国大学生活協同組合連合会)

 

◆1月31日:文部科学省が2022(令和4)年度から始まった大学への飛び入学者を対象とする高卒認定審査の結果を公表。初めての審査に出願した9人全員が合格しました。この審査は、飛び入学者が大学を中退して進路変更すると最終学歴が中卒になってしまう不利益を解消するためのもの。一定の条件を満たせば「高卒と同等以上」と認定されます。国際的に活躍する人材を育てるため、文部科学省は今後、大学への飛び入学を促す方針です。

(参考)
▼令和4年度高等学校卒業程度認定審査の実施結果 (文部科学省)

 

◆2月1日:1990年代から一部の学科(電気・機械工学科)で「女子特別推薦」入試を実施していることで知られる名古屋工業大学が、2024年度以降、新たに3つの学科(物理工学・情報工学・社会工学)でも「女子特別推薦」を導入すると発表。名古屋大学、富山大学、東京工業大学、芝浦工業大学なども、工学部で「女子枠」を創設したり拡充したりすることを決めています。国の後押しもあり、今後、こうした動きはさらに広がると見られます。

(参考)
▼2024年度(令和6年度)以降の入学者選抜における女子特別推薦の実施について (名古屋工業大学)

 

◆2月6日:大学入試センターは1月に実施された大学入学共通テストの実施結果(概要)を公表しました。受験者数は約47.4万人で、昨年に比べ1.4万人ほど減少。センター試験も含めると1995年以来、ずっとキープしてきた50万人台を割りこんだのは2021年のことで、今後も少子化を背景に志願者数・受験者数は減っていくと見られます。一方、高校卒業見込者のうち共通テストに出願した者の割合(現役志願率)は45.1%で、こちらは高い水準を維持。

(参考)
▼報道発表 (大学入試センター)

 

◆2月15日:佐賀女子短大(佐賀県佐賀市)を運営する学校法人旭学園と佐賀県武雄市が包括連携協定を締結。これに基づき、最短で2025年4月、武雄市内に共学の4年制大学を新設するという構想が発表されました。新大学は韓国などアジアのエンタメや文化、政治、経済・経営を学ぶグローバル系学部および、教育プロフェッショナル人材を育成する学部の2つが主軸になり、短大も併設する予定です。

(参考)
▼学校法人旭学園は武雄に新大学を設置します (佐賀女子短期大学)

 

◆2月16日:2024年4月に「建築デザイン学部(仮称)」を新設する準備を進めている日本女子大学が、さらに大学院「建築デザイン研究科(仮称)」を新設する構想を発表しました。日本女子大学はもともと私立女子大で唯一理学部をもつ大学として知られ、文理融合に適した環境がありました。人文、理工、芸術を融合した「建築デザイン」の分野で、学部から大学院まで一貫した教育体制の提供を目指すことに。

(参考)
▼日本女子大学大学院「建築デザイン研究科(仮称)」設置構想を発表 (日本女子大学)

 

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