教育&入試トレンドニュース【2023年4月号】

2023年4月3日

カテゴリー : 教育情報全般

さまざまな教育ニュースを配信する「教育&入試トレンドニュース」4月号です。
次回からは半期に一度、ニュースをまとめて配信いたします。

主なニュース

【2024(令和6)年から国家公務員試験に「情報」を出題】

3月14日、人事院は国家公務員採用試験制度の改革に関し、2024(令和6)年からの変更点を公表しました。哲学や歴史など人文系の学生が自らの専門分野の問題を選べるようにする、基礎能力試験(一般的な知能・知識を判定するテスト)の問題数を削減する……など、来年からいろいろ変わります。とくに注目したいのは、高卒程度試験も含めたすべての基礎能力試験に、「情報」分野の問題が出されるようになること。
2022年度から高校の新課程でプログラミングを含む「情報Ⅰ」の履修が必修化されたため、今後、大学入試にも「情報」を課すケースが増えるでしょう。また、全国の大学では「データサイエンス」や「文理融合」を掲げる新学部・学科の創設やカリキュラム改革が進められ、すでに仕事をしている人たちもリスキリング(学び直し)を求められるなど、国を挙げてデジタル系人材の養成を図る動きが加速。国家公務員採用試験における「情報」の出題も、そうした動きの一環ととらえることができます。「情報」が社会人にとって必須の知識・スキルと見なされる時代が、いよいよ迫ってきています。

(参考)
▼令和6年(2024年)からの試験制度改革 (人事院)

 

その他のニュース

◆3月1日:全国大学生活協同組合連合会(大学生協)が「第58回学生生活実態調査」について、1月末の速報版に続き、改めて概要報告を公表。下宿生の仕送り額は6万7650円、1982年以降で最も少なくなりました。12人に1人は「仕送りゼロ」と回答しています。また、自宅生でも収入全体のうちアルバイト代が占める割合は63.6%に達し、1970年以降では最大。大学生の懐事情はかなり厳しさを増してきています。

(参考)
▼第58回学生生活実態調査 概要報告 (全国大学生活協同組合連合会)

 

◆3月7日:早稲田大学は、2023年度新学期からAIを使った英会話能力判定システムLANGX Speakingを英語授業のテストに正式導入すると発表しました。このシステムは他者と会話するうえでとても重要でありながら、これまで測るのが難しかった「インタラクティブ性」「一貫性」を適切に評価することで会話能力をより正確に、効率的に判定します。なお、このシステムを開発したエキュメノポリス社は、早稲田大学発のスタートアップ企業。

(参考)
▼英会話能力判定システム 早大正規授業科目Tutorial Englishに2023年度から正式採用 (早稲田大学)

 

◆3月10日:東京大学が2023年度一般選抜の合格者を発表。合格者のうち女性が占める割合は21.8%と過去最高に。(学校推薦型選抜なども含めた全合格者に占める女子の割合も22.7%で、こちらも過去最高です。)一方、アメリカのハーバード大学やスタンフォード大学、イギリスのオックスフォード大学、中国の北京大学などでは学生の男女比はいずれも半々。女性の割合が2割ほどというのは、世界的には異例の低さです。

(参考)
▼未来の形:女子のちから (東京大学)

 

◆3月17日:未来を担う人材育成策を検討する教育未来創造会議(第5回)が開かれ、留学生の派遣・受け入れに関する新たな計画を策定することを盛り込んだ論点整理案が公表されました。日本が国際競争力を高め、世界の平和と安定に貢献するために、今後は留学生の人数だけでなく人材の質も重視。海外に留学した日本人学生の就職の円滑化、そして外国人留学生の国内定着促進などの環境整備を進めるとしています。

(参考)
▼第5回 教育未来創造会議 配布資料 (内閣官房)

 

◆3月20日:恵泉女学園大学(東京都多摩市)を運営する法人の理事会が、2024年度以降の学生募集を停止することを決定。恵泉女学園大学は1988年に開学し、体験学習を重視するユニークな教育を展開してきましたが、近年は18歳人口の減少と共学志向の強まりで定員割れが続き、苦渋の決断に至りました。少子化の影響で、今後も「閉学」の決断に踏み切る大学は増えそうです。

(参考)
▼恵泉女学園大学・大学院 学生募集停止のお知らせ (恵泉女学園大学)

 

◆3月24日:2001年生まれの子どもの状況を追跡する「21世紀出生児縦断調査」の特別報告が公表されました。2020年度から始まった給付型奨学金、授業料減免などの「修学支援新制度」について、年収210~370万円の世帯では、この制度を利用できた2001年7月生まれの子どもの大学進学率は、制度開始に間に合わなかった同年1月生まれの子どもよりも1割程度高くなっていました。新制度の導入が進学率上昇につながったと見られます。

(参考)
▼21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児) 特別報告 (文部科学省)

 

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