2020年からの大学入試に向けて、スピーキング力を伸ばしていくために_2018.7

2018年7月25日

カテゴリー : 大学受験

2020年からの大学入試に向けて、スピーキング力を伸ばしていくために

2020年より大学入試が大きく変わろうとしていることはご存じの方も多いかと思います。英語では従来のセンター試験(「大学入学共通テスト」という名称に変更)に加え、民間の資格・検定試験を活用して「書く」「話す」を含めた4技能の力が測られることになりました。日本人の英語学習者は、「話す」「書く」の力が弱いと言われていますが、「話す」は、これまで入試ではほとんど扱われてこなかった技能であり、どのような問題が出題されるのか、どのようにして力をつけていけばよいのか、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。今回は、スピーキングに焦点をあてて、2020年以降の大学入試改革や次期学習指導要領での「英語4技能強化」の動きについてお話したいと思います。

 

◆民間の英語資格・検定試験で 問われる「話す」力とは?

「話す」力について、具体的なイメージをもっていただくために、まずは民間の英語資格・検定試験で出題される問題を紹介します。次のテストはすべて2020年からの「大学入学共通テスト」の枠組みにおいて活用されることが発表されています。

▼ 両親の仕事の都合で外国の学校に転校する男子のクラスメイトにどんなプレゼントをあげるのがよいか、もう一人の受験者とカードを見ながら話し合う。(ケンブリッジ英語検定Preliminary for Schools)
▼ 自分にとって大切なものについて、「どこで手に入れたか」「どのくらいの期間持っているか」「何に使っているか」「なぜ大切なのか」を説明する。(IELTS)
▼ 「高校の先生にインタビューする」という設定で、受験者が試験官に質問する。(TEAP)
▼ 心理学の教科書の文章を読み、続けてそれについての先生のレクチャーを聞いて、その内容を説明する。(TOEFL iBT®)

各資格・検定試験のウェブページに公開されているサンプル問題より抜粋

スピーキング試験というと、試験官の質問に受験者が答える形式を思い浮かべた人もいるかもしれませんが、それだけではなく、実にさまざまなタイプの問題が出題されます。どれもCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で強調されている「使える英語」が問われていることがわかります。これらの試験の評価は、文法や語彙、発音、流暢さなどの言語面だけではなく、「必要な情報を伝えたり、自分の意見を述べたりできているか」という内容面、さらには「コミュニケーションの中で積極的な役割を果たせているか」「相手と協力して話せているか」といったコミュニケーション能力などについても行われていることも注目すべきポイントです。

 

◆日本人英語学習者の現状

以前の記事でもふれましたが、「書く」「話す」は、高校卒業段階においても、大半の生徒が「A1レベル(CEFR で「初級レベル」)」という結果となっています(【図1】【図2】)。「大学入学共通テスト」で求められる英語力は「B1〜B2レベル」と言われていますから、まだまだギャップがあることがわかります。

次に【図3】を見てください。このデータは、Z会が2018年にリリースした(「英語CAN-DO テスト」のスピーキング試験のモニターテストの結果です。受験者の各問題の解答は、専門のトレーニングを受けた評価者によって「文法・語彙」「発音・流暢さ」「話題構成」「内容」の4観点で評価され、タスクの難易度に応じた調整が加えられたうえで、得点が算出されます。

各観点の得点を比較してみると、「内容」の得点に比べて、「文法・語彙」や「発音・流暢さ」といった言語面の得点が低いことがわかります。つまり、このモニターテストの受験者は、文法や語彙を正確に使うことには課題があるものの、伝えるべき内容を伝えることはできていたということになります。「この内容を相手に伝えたい」という意識をもつことは、「話す」において最も大切なことの一つということです。試験では、どうしても「間違えないようにしよう」と思ってしまいがちですが、大学入試改革をはじめとした一連の英語教育改革が、「使える英語力を伸ばす」ことを目的に行われていることを忘れてはいけません。また、大学入試で活用される民間の英語資格・検定試験は、言語面だけでなく内容面にも重きを置いて評価していることも、再度強調しておきます。

 

◆「話す」力を伸ばしていくために

「文法・語彙」の得点が低いという結果を見ると、「これまでのように、文法や語彙の学習をしっかりやることで、『話す』力が伸びる」と思うかもしれませんが、これは「半分正解で半分間違い」です。実は、今回のモニター試験の受験者の、「文法・語彙」パートの得点は、総じて高いものでした。しかし、その文法や語彙を「知識」としてはもっているものの、いざ「使う」となると、十分に活用することができていなかったということです。次期学習指導要領における英語教育の検討に携わってこられた、東京外国語大学の投野由紀夫先生は、この点について「インプット」と「アウトプット」の関係性をふまえ、語彙や文法などのドリル的な学習と、スピーキングテストなどで英語を使う力を測ることの両方が大切であると指摘しています。実際の「話す」場面で、言いたいことがパッと英語で出てくるようにするためには、ドリルなどで何度も繰り返し練習(=インプット)することはとても重要なことです。ただし、それだけではなく、実際の場面で英語を使ってみる(=アウトプットする)ことも同様に大切なのです。よいテストの条件の一つとして、そのテストを受けることがその人の学習にどのような影響を与えているかという観点があります。大学入試で民間の英語資格・検定試験が活用されることで、中学・高校での英語の授業でも、アウトプットする機会は増えていくと考えられます。そのような機会を大切にするとともに、家庭ではインプットを補うプラスアルファの学習をしたり、CEFR レベルを判定してくれる英語の試験を受験したりしてはいかがでしょうか。大学入試への道しるべになるだけでなく、「使える英語」を伸ばしていくことができるはずです。

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