6年後の大学入試どう変わる?-2021年入試の2つのポイント_2016.1

2016年1月29日

カテゴリー : 大学受験

文部科学省内に設置された中央教育審議会が検討している高大接続に向けた改革の一環として、大学入試改革の方向性が示されました。2015年の中学1年生が大学受験に臨む2021年、大学入試が大きく変わります。これまでの入試から何が変わるのか、大きな変更点を2つ、ご紹介します。

 

◆Point1:センター試験は廃止に。新たに「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」が導入される

最大の変更点は、大学入試センター試験が廃止され、「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」が導入されること。背景には、現行の大学入試が知識の暗記・再生に偏りがちで、思考力・判断力・表現力や、主体性を持って多様な人々と協働する態度など、真の「学力」を十分に育成・評価していないという危機感があります。

「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」導入のねらいは、単なる「センター試験のリニューアル」ではなく、大学入試制度全体を、真の「学力」を評価するシステムへと変革することです。

各大学は、従来の画一的なペーパーテストから、「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」とアドミッションポリシーに基づく様々な評価方法(面接、集団討論、小論文、高校での学習・活動成果など)を組み合わせ、受検者の学力を多面的・総合的に評価する入試へと、選抜方法を転換することが求められています。

これにより、高校生が大学に入るための教育も、知識の暗記・再生が中心となるペーパーテスト対策から、真の「学力」を育成するための主体的な学びへと変わっていくでしょう。

 

Point2:「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」では、「思考力・判断力・表現力」が問われる問題が出題される

Point1で挙げたねらいから、「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」では、「思考力・判断力・表現力」を中心に評価がなされます。

「思考力・判断力・表現力」とは、「知識・技能を活用して、自ら課題を発見し、その解決に向けて探求し成果等を表現するために必要な能力」。現在の中学1年生が受けている教育課程の基準である学習指導要領でも「知識・技能」ともに伸ばすべき力として重視されています。

特に、「自ら課題を発見し、答えが一つに定まらない問題に解を見出していくために必要な諸能力」が重視され、それらの諸能力を評価する作問が、各教科・科目について検討されています。また、他の教科・科目や社会との関わりを意識した内容など、教科を越えて知識・技能を活用することが求められる出題も想定されています。

出題形式についても、「思考力・判断力・表現力」をより適切に評価するために、センター試験のように複数の選択肢の中から1つの正解を選ぶ形の問題だけでなく、記述式の問題や、多数の正解があり得る問題など、多様なパターンの出題が導入されます。

英語については、「話す」「書く」「聞く」「読む」の4技能を重視する観点からの出題が検討されており、これまでのセンター試験では出題されなかったWriting・Speakingの技能も評価対象とすることが方針として示され、実現に向けた検討が進められています。

このほか、筆記ではなくコンピュータを利用して受験する「CBT方式」(Computer Based Testing)で行われること、年1回ではなく年複数回実施されることなど、従来のセンター試験にはない実施方法が検討されていますが、導入には慎重な準備が必要とされています。

 

◆個別試験も今後見直されていく

Point1でも述べたように、「『思考力・表現力・判断力』を中心に評価する」という方針は、「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」に留まりません。

各大学の個別の入学試験においては、これらの力に加えて、「学力の三要素」の一つである「主体性・多様性・協働性」も評価できるよう、制度・内容の改革が促されています。2016年度入試(現高3生が対象)でも、東京大学が推薦入試、京都大学が特色入試を導入するのを筆頭に、知識量を問うこれまでの入試から知識を活用し自ら課題を解決できる能力を見る入試へ改めることになっています。

こうした大学入試の制度・内容の改革は、大学教育そのものの改革にもつながります。これからの大学は、以下の3つのポリシーを明確化することが求められています。入試制度・内容の変革においても、やみくもに面接や小論文を導入すればよいというものではなく、これら3つのポリシーとの整合性が必要です。

ディプロマ・ポリシー どのような人材を育成して社会に送り出すか
カリキュラム・ポリシー 人材を育成するための教育課程・科目の編成方針
アドミッション・ポリシー どのような能力・意識を持った学生に入学してほしいか

 
大学は、学生の学力を育てるための方針=ポリシーを確立し、それぞれのポリシーに沿った選抜方法を考えていくことになります。これまでの大学入試は「国公立大学は論述式が多く、私立大学は記号選択式が多い」のような分類が可能でしたが、今後は、入試の形態はより多様化していくことが見込まれます。

※新入試のスケジュール・内容はすべて予定です。今後変更される可能性があります。

 

  • 2015年の中学1年生から大学入試が変わる。
  • 『思考力・表現力・判断力』が問われる新テストを導入予定。
  • 「大学入試なんてまだまだ先」と思わずに、アンテナを高くしておく必要があるでしょう。

 

この記事に関連するおすすめ受験・学習情報

大学受験

【2024年度版】難関大入試の基本情報トップ

受験勉強は、まず「入試を正しく知る」ことからはじまります。受...

続きを読む

大学受験

【2024年度版】慶應義塾大学入試基本情報

合格のカギ 学部別の特徴を踏まえ、バランス良く対策学部ごとに...

続きを読む

大学受験

【2024年度版】早稲田大学入試基本情報

合格のカギ 『早稲田』と一括りにせず、学部別の対策を学部によ...

続きを読む

大学受験

【2024年度版】一橋大学入試基本情報

画像提供:一橋大学 合格のカギ 独特な出題に立ち向かう、専用...

続きを読む

大学受験

【2024年度版】東京工業大学入試基本情報

合格のカギ 質の高い演習で、とにかく理数を極めること理数に特...

続きを読む

大学受験

【2024年度版】九州大学入試基本情報

画像提供:九州大学 合格のカギ 英・数を軸に、特徴的な科目の...

続きを読む

大学受験

【2024年度版】大阪大学入試基本情報

合格のカギ 難度・処理量に耐えられる盤石な学力が必要どの科目...

続きを読む

大学受験

【2024年度版】名古屋大学入試基本情報

合格のカギ 見慣れない形式の問題への対応力を強化どの科目でも...

続きを読む

Z会でできる受験対策

Z会の各種サービスのお申し込み・資料請求はこちらから