「とりあえず文系・理系」は要注意! ~新大学入試における進路選択のポイントを解説!~

2019年1月31日

カテゴリー : 大学受験

特に高校生の皆さん、志望大学はもう決まりましたか。文理選択の時期はもちろん学校によって様々ですが、多くの学校では、高1の秋までに文理選択を行い、それをもとに高2から文系コース・理系コースに分かれていきます。そして、コースによって学ぶ科目や授業時間数がだいぶ変わります。

文理選択を行う意図は、大学受験により対応しやすい体制を組むことですので、文理選択の際には、第一志望の大学・学部が決まっていることが望ましいです。そこで、今回は、新大学入試も意識した上で、志望校を選ぶにあたっての基本的な方針についてお伝えします。

 

1.文系・理系で受験科目が異なる

 

「大学入学共通テスト」や国公立大学の個別試験、私立大学の個別試験などで受験すべき教科が変わります。

【個別試験】

文系:英語・国語・地歴から1科目
理系:英語・数学IA・IIB・III・理科から2科目

【大学入学共通テスト】

文系:英語・数学IA・IIB・国語・地歴公民から2科目・理科基礎から2科目
理系:英語・数学IA・IIB・国語・地歴公民から1科目・理科から2科目

上記のパターン での受験が標準的です。ただし、各大学で特殊なケースもあるのでご注意ください。

2019年時点での各大学の個別試験は、たとえば、

【東京大学 文系】英語・国語・地歴から2科目・数学IA・IIB
【東京外国語大学】英語と世界史の2科目
【東京工業大学】 英語・数学IA・IIB・IIIと物理・化学(生物は不可)

のようになっています。

このように試験科目に特色を出している大学が今までも少なからずありました。

 

2.各大学が試験科目に特色を出し始めた

2020年度以降の入試、いわゆる新大学入試では、試験科目・試験方法に特色を出す大学がより増えます。

【早稲田大学 政治経済学部】 ※2020年5月21日段階

1) 大学入学共通テスト(100点)以下4科目を25点ずつに換算する。
:外国語(以下いずれか1つを選択)・英語(リスニングを含む)・独語・仏語
:国語
:数学I・数学A
:選択科目(以下いずれか1つを選択)
・地理歴史「世界史B」「日本史B」「地理B」から1科目
・公民「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」から1科目
・数学「数学II・数学B」
・理科「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から2科目あるいは「物理」「化学」「生物」「地学」から1科目

2)学部独自試験(100点)
日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する形式とし、記述解答を含むものとする(英語4技能のうち、「書く」能力を問う問題も設ける予定)。また、従来の一般入試における「英語」や「国語」の試験とは異なるため、科目名称は「総合問題」とし、試験時間は120分間とする。

【慶應義塾大学 経済学部】 ※2020年5月21日段階

(全学部共通)

  1. 大学入学共通テストは利用しない。従来のとおり,各学部のアドミッションポリシーに則った入学者選抜を実施。
  2. 英語外部検定試験は利用しない。従来のとおり,英語外部検定試験の受検およびスコア等の提出は課さない。将来的な英語外部検定試験の利用については,引き続き検討する。
  3. 学部一般入学試験のインターネットによる出願の際に「主体性」「多様性」「協働性」についてどのように考え、心掛けてきたかについて、100文字以上、500文字以内で入力を求める。

(経済学部) ※2019年度入試

A方式:英語・数学・小論文
B方式:英語・世界史または日本史・小論文

早稲田大学・慶應義塾大学の同じ「経済」という名が付く学部でも試験科目や形式がだいぶ異なります。早稲田大学 政治経済学部では経済に必要な「数学」を含めた基礎学力を大学入学共通テストで測り、個別試験で記述・論述式の問題を課すという形式を取るようになりました。

 

3.とりあえず文系、とりあえず理系だと大変?

「とりあえず文系・理系」は要注意! ~新大学入試における進路選択のポイントを解説!~

上記のように、各大学・学部が入学してほしい人材にあった試験科目や試験方法をとるようになるため、とりあえず文系を志望し、英語・国語・地歴を勉強するという勉強方法もリスクが高くなりました

つまり、得意科目・苦手科目という視点ではなく「大学に入って何を学びたいか」「どの大学なら自分がやりたい学びを行うことができるのか」といったことを考えることがより大切になりました。

 

 

 

 

4.アドミッションポリシーを確認しよう!

具体的に入りたい研究室などが決まっている方は問題ないのですが、簡単には見つからないという方も多いのではないでしょうか。そこで、志望校がなかなか決まらないという方は各大学・学部の「アドミッションポリシー」を見てみましょうアドミッションポリシーとは入学者選抜方針のことで、その大学・学部がどんな人材に入学してもらいたいのかがわかるものになっています。

たとえば、東京大学のアドミッションポリシーには以下の内容が書かれています。

「文科各類の受験者にも理系の基礎知識や能力を求め、理科各類の受験者にも文系の基礎知識や能力を求めるほか、いずれの科類の受験者についても、外国語の基礎的な能力を要求します。」

このアドミッションポリシーを見た上でもう一度、東京大学文科の試験科目を見てみましょう。

【英語・国語・地歴から2科目・数学IA・IIB】

文系各類の受験者にも数学が課されているのは上記のアドミッションポリシーに則っているからなのです。

このようにアドミッションポリシーを見ると「この大学は理系に強い人材を求めているんだ」「この大学は国際的な視野を求めているんだ」ということがわかります。

みなさんが、どういった大学生・大人になりたいかを考え、アドミッションポリシーを見ながら大学選び・学部選びを行えば、きっと後悔しない志望校選びを行えるはずです。

 

まとめ

今回の記事のポイントをまとめると、ずばり以下の2点になります。

  • 科目の得意不得意だけで文理や志望校を選ばない!
  • アドミッションポリシーを見て自分にあう大学・学部を探そう!

 

今現在の自分の「得意・不得意」だけにとらわれずに、自分が本当に「学びたいこと」「将来やりたいこと」を大切に長期的な視点を持ち、悔いのない進路選択をするようにしましょう。

 

※2020年5月21日更新

 

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