小論文を通して行う、新大学入試対策_2019.10

2019年10月8日

カテゴリー : 大学受験

新大学入試においては、ますます小論文のような「自分の考えを説明していく」力が必要とされています。どのように対策していけばよいのかを、Z会の通信教育中高事業本部 高校・一貫指導課文系担当 中谷祐介が質問回答形式でお話します。

 

<質問>
2020年を待たずして、すでに国公立・私立を問わず、多くの大学で新大学入試に対応した入試が増えてきています。例として、
東京大学 推薦入試 選抜方式(志望理由書・面接・グループディスカッション)
京都大学 特色入試 選抜方式(志望理由書、小論文、面接)
が挙げられますが、Z会の「小論文講座」はこのような選抜方式にも対応可能なのでしょうか?

<回答>
面接やグループディスカッションなどで求められるコミュニケーションスキルや、状況に応じた臨機応変な対応などの「行動力」については、残念ながら「小論文講座」だけでは身につけることができません。しかしながら、そこでテーマとなる課題について自分の考えを論理的に構築すること、そしてその考えをわかりやすく他者に伝えることといった「分析力」「考察力」「表現力」については、「小論文講座」を通じてZ会が身につけてほしいと考えていることと一致しています。
例えば、平成31年度東京大学法学部の推薦入試では、次のような問題が出題されました。
◆平成 31 年度東京大学法学部推薦入試グループ・ディスカッション課題◆

このテーマについて自分なりの意見を構築するためには、問いを自分の経験・知識や社会的事例と結びつけて分析することが求められます。また、ディスカッションや面接の現場では、質問者や同じグループのメンバーの考えを適切に理解しなければ建設的な議論をすることはできません。さらに、自分とは異なる意見を持つ人に対して、どうすれば自分の意見を理解してもらえるのかを考える必要があります。
これらはいずれも、優れた小論文を書く上で必要不可欠な要素です。現在小論文入試の主流である課題文型の出題では、「課題文の筆者」という他者の意見を正しく読み取ることからスタートします。そして、課題に対して独自性のある論を展開するには、テーマを自分の経験や知見と結びつけた具体例を挙げることになります。さらに、読み手を説得するには、自分とは異なる意見を持つ人を想定した上で、その人を説得できるような提案も含める必要があります。(ちなみに、この問題で問われている「法規制と個人の権利」は、社会科学系の小論文で頻出テーマの一つで、Z会の小論文講座内でも取り上げています。)
また、ほとんどのAO・推薦入試で必要になる「志望理由書」も、小論文とは異なる点はあるものの、しっかりとした論理構成で自分の考えを説明する必要があります。他者に自分の考えを伝えるための論理の組み立て方については、Z会の小論文講座内でも取り上げていますし、毎月の添削指導でも、プロの視点からわかりにくい点、不足している点を指導しますので、継続して受講いただくことで、「志望理由書」にもとめられる記述力・表現力もしっかりと身につけることができます。

 

<質問>
大学入試の変化、そしてそこで求められる学力を身につけるために、Z会の小論文講座ではどのような工夫・仕掛けがあるのでしょうか。

<回答>
Z会の小論文講座では、時期に応じて段階的な学習目標とカリキュラムを設計しています。
高1生の段階では、まずは「問いを正しく理解すること」、そして「他者に自分の考えを正しく伝えること」を中心に身につけてもらうことを意識しています。具体的には、高1のはじめの段階では「作文と小論文の違い」や「論理的文章の構成」など、「小論文」という試験形式で求められている「文章の書き方」から学習を始めてもらいます。小論文の書き方に絶対の答えはありませんが、最初は基本となる「型」を身につけてもらうことがねらいです。その上で、徐々に「テーマの具体化」や「概念の再検討」など、小論文を構成していく上で注意すべきポイントについて学んでいってもらいます。
高2生の段階では、高1で学んだ小論文の基本的な「型」を生かしつつ、問いの分析の仕方や考察の深め方といった、自分の論述の内容面を磨き上げるためのポイントを中心に取り上げていきます。小論文の解答は、ともすると、ありがちな、教科書的な主張になってしまいますが、試験を課す大学側はそのような答えを求めているわけではありません。大学側は、受験生が社会に対してどのような問題意識を持っているのか、大学での学びをどう生かしたいのか、といったことが知りたいのです。ですから、生徒が一人ひとりじっくりと考えた、「その人なりの答え」を求めています。そのような解答を作成できるようにするために、問題をさまざまな観点から確認し、思考を深めていくための方法を身につけてほしいと考えています。
大学受験生向けの小論文講座では、「文系」と「医療系」の二講座に分けて、実際に志望する学部・学科で頻出のテーマ演習を繰り返してもらいます。大学入試小論文で問われるテーマは、大学進学後、実際に学習・研究する事柄と直結していることが多いです。そのため、頻出論点やテーマ知識を学びつつ、自分にその大学・学部に進学する力が十分に身についていることをアピールできるような論述作成ができるよう指導していきます。
このような、時期に応じた段階的な学習を通じて、最終的に志望大に合格できることはもちろん、会員それぞれが大学入学後のビジョンを描き、実際にそれに向かって取り組んでいけるような学力と人間性を育んでほしいと考えています。

 

<質問>
高1・2生に、新しい大学入試で求められている「確かな学力・豊かな人間性」を育むために必要なことを教えてください。

<回答>
大学入試まで時間のある高1・2生の間は、さまざまな物事に関心を持ち、その上で、その物事に対して一歩踏み込んで考えてみる習慣を養ってほしいと思います。良い小論文を書くためには、構成や表現といった「型」の部分はもちろんですが、それ以上に、問いのとらえ方や思考の深さ、社会の本質をとらえる考察といった「中身」が必要になります。その「中身」を磨くためには、さまざまなジャンルについて広くアンテナを張り、知識の引き出しを増やすことが必要です。情報があふれている現代では、ややもするとTVやインターネットで流れている情報を、ただ眺めるだけで素通りしてしまいがちですが、そのような態度ではなかなか引き出しは増えません。少しでも疑問に思う点や関心を持った点があれば、それについて自分なりに調べ、自分の考えを持つ習慣をつけてほしいと思います。もちろん、Z会の小論文講座でも、受講いただいている皆さまの社会に対する視野を広げることができるよう、さまざまなテーマを取り上げ、解説しているので、教材を通じても関心を深めてもらえればと思っています。

 

<質問>
今から大学受験生ができる対策はありますか?

<回答>
大学入試を間近に控えている皆さんにとってこの時期に重要となるのは、志望する大学・学部の過去問演習に数多く取り組み、出題傾向をつかむことです。複数年度の問題に取り組むことで、その大学・学部が受験生にどのような力を要求しているのか、が見えてくるはずです。
問題演習の際には、単に目先の大学入試を突破することだけを意識するのではなく、【志望する分野で活躍するためには何が必要なのか】【大学に入学/卒業した後、どのような自分になりたいのか】をつねに考えてほしいと思います。この工程を踏むことで、専門分野についてより実感をもって学ぶことができると思いますし、何より小論文入試突破に不可欠な「主体性」や「意欲」を養うことができるはずです。Z会の大学受験小論文講座では、「文系」「医療系」それぞれで押さえておきたい出題テーマについて、専門的な視点からの考察も行っています。Z会の出題テーマを足がかりとして、志望する学部・学科についてさらに自分の興味・関心を深めていってほしいと考えています。

 

Z会の通信教育は、出題傾向の変化にも揺るがない、本物の学力を育みます。

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