早稲田大学副総長から高校生へのメッセージ(後編)_2019.3

2019年3月8日

カテゴリー : 未来につながるインタビュー

早稲田大学副総長から高校生へのメッセージ

新大学入試改革にいち早く呼応した早稲田大学政治経済学部。前政治経済学部長であり、現在は早稲田大学副総長である須賀晃一先生に、高校生にしておいてほしいことについてお話をうかがいました。前編と合わせてお読みください。

 

 

◆高校では広く学び、多様な経験をしてほしい

高校生の皆さんには、高校の科目をまんべんなく勉強することにぜひ取り組んでいただきたいと思います。加えて、他の人と何かを作り上げる経験をしてほしいです。文化祭でも、体育祭でも、部活動やボランティア活動でも、何でも構いません。高校生という時期に、人と協力して何かに取り組むことで、人の心の機微や、自分の周りの、あるいは、世の中の課題に気づくことができます。
また、保護者の方には、お子さんの本当にやりたいことが何なのか、しっかりと見てあげていただきたいと思います。お子さんが文学に関心を持っているのに政治経済学部を薦めて入学させても、入学後に思うように学問に打ち込めないのは目に見えています。お子さんの人生は保護者の方々よりも長く続いていくわけですから、ぜひ、お子さんの意思を尊重してあげてください。

 

 

◆日々の経験を記録に残していこう

高校生活を送る上で、皆さんに一つ取り組んでいただきたいことがあります。それは、自分が見聞きしたことや打ち込んだこと、学んだこと、乗り越えたことなどを記録することです。その記録を積み重ねていくことで、自分の周りや世の中の課題、あるいは、自分自身の興味・関心や価値観に気づくことができるようになります。

どのように記録するかというと、「どんな場面で自分は何を感じたか」を記録していくのです。例えば、「入学式で校長先生がこう言った。それに対して自分はこう思った」など、小学校で習った観察文の要領で、客観的な事実(=どんな場面で)と、それを自分がどう思ったか(その場面で起こったことを自分はどのように評価したか)を記録していきます。記録媒体は、SNSでも、「JAPAN e-Portfolio」でも、日記帳でも、自分の書きやすいもので構いませんし、慣れないうちは、事実だけを記録していってもかまいません。書き続けることで、観察することも身についていき、さらには、気づきも得られるようになりますから。

そして、記録を重ねていくと、場面によっては、「ほかの人がどう思ったか?」という視点も入ってくるようになります。例えば、「介護施設でのボランティア活動でおばあさんが立ち上がるのを補助しようとしたら、『やめて!』と手を跳ね除けられた」など。そしてそこから、「私はボランティアに向いていないのだろうか?」「人に接するときは相手の気持ちを考えないといけないんだ」など、さまざまな考えが思い巡らされることと思います。そうして考えることを通じて、ボランティアという仕組みの課題や、介護をめぐる課題にも目が向き、解決策を考えるようにもなるかもしれません。課題を発見する訓練にもなるわけです。

さらに、自分の進路を考える際に蓄積してきた記録を振り返れば、自分の問題意識のありかや、興味・関心の方向性を確認することもできます。また、困難に直面した時にどんな人に相談して、どのように乗り越えたかといったことも記録しておくと、似たような困難に直面したときに、乗り越え方を参照することもできます。ぜひ、一生涯、記録を残すことを続けていただきたいですね。就職や転職の際にも役立てることができるでしょう。

早稲田大学政治経済学部としても、将来的にはこのようなポートフォリオを受験生に提出してもらい、その内容をもとに政治経済学部で学ぶような問題意識を持っているかを判断し、選抜する入試にできればと考えています。2021年度からの一般入試改革は、まだまだ途中段階。1回限りの試験で本当にほしい人が選抜できるかというと、まだまだ課題は残っています。政治経済学部で学びたいという人をより確実に選抜するにはどうすればいいか、方法を模索していきたいと思っています。

 

 

プロフィール

須賀 晃一(Koichi Suga)
厚生経済学を専門とし、社会選択理論における権利の研究、所有権制度の経済分析等の研究を行う。2018年に早稲田大学政治経済学部長を退任し、早稲田大学副総長に就任。
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