【高校入試】資料や身近な問題あつかう出題増_2020.3
2020年3月22日
カテゴリー : 高校受験

大学入試改革では、これまでのような知識力を評価するタイプの問題だけではなく、受験生の「思考力・判断力・表現力」をより重視する出題をめざしています。こうしたタイプの問題は、すでに高校入試でも取り上げられており、その傾向は年々強まっています。この春に実施された入試で出題された例をいくつか紹介します。
「調べ学習」や「話し合い」「リポート」の体裁をとる出題が増えている
学校での学びの変化にあわせて「調べ学習」や「話し合い」「リポート」の体裁をとる出題が増えていることがポイントの一つです。
たとえば埼玉県の公立高校入試の理科では、植物の光合成や中和反応などの実験をおこなった生徒のリポートという形で問題が構成され、それぞれの内容を読み解くことが求められました。
こうした出題では会話文をふくむことがあり、読む分量が多くなりがちです。はやく正確に読み取る力が試されるともいえます。
複数の資料を組み合わせた出題が増えている
複数の資料(表やグラフ、写真、図など)を組み合わせた出題もよくみられました。一例として挙げるのが千葉県の社会。就労などに関する若者の意識について調査した複数のグラフを読み取るという問題が出ました。世の中の動きに関連している資料は教科(科目)の枠組みに関係なく、よく取り上げられます。
神奈川県の英語では環境問題に関する発表の原稿が英文で示され、そのなかにレジ袋の使用状況のグラフが盛り込まれました。
「日常的な題材や身近な問題」をあつかう出題が増えている
「日常的な題材や身近な問題」をあつかう出題が増えている点も見逃せません。神奈川県の英語では、ルートマップ(路線図)を提示したうえで、目的地への行き方について2人の登場人物がスマートフォンを使ってやりとりするという場面が取り上げられました。
茨城県では地震を大問の一つのテーマに掲げ、建物の揺れを軽減するための工夫がどのような原理によるものか、「運動エネルギー」とゴムの「弾性エネルギー」を用いて記述させました。
こうした出題からは、日常の事象や出来事を学校で教わる内容と結びつけて考える力が問われているといえそうです。
【中学生へのアドバイス】勉強は問題解決の手段
それぞれの教科(科目)の勉強は「身のまわりにある問題(課題)」を解決するための手段であるということを、日ごろから意識しましょう。こうした姿勢は本文で取り上げた茨城県の理科の出題(地震による建物の揺れを軽減するための工夫)のように、既習の知識をもとに考察したり、論述したりする問題に対応するために欠かせません。また、実際の授業でおこなわれる調べ学習や集団発表などにも積極的に取り組むことをおすすめします。
【大学入試を見据えてのアドバイス】データを迅速、正確に読む
統計データをはじめ、さまざまな形式の資料をすばやく、そして正確に読み解けるようになることをめざしてください。これからの大学入試では現実の課題を取り上げ、その解決に向けて各種の資料から必要な情報を読み取る力が求められます。大学入学共通テストで実現をめざした国語や数学での記述式問題の導入などは当面、見送られることになりました。しかし、受験生の力をより多角的にみるという改革のスタンスに大きな変化はありません。
(Z会中高事業本部・福西宏之)
※本記事は「朝日中高生新聞」に掲載されています。
Z会の通信教育では、「思考力」「記述力」を鍛える問題を出題します。
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