「世界史」2018年度京都大学個別試験分析

2018年度京都大学個別試験 分析速報

■分量と難度の変化(地歴…時間:90分) 
・例年通り大問I・IIIは300字論述(各20点),大問II・IVは長文下線部・空欄補充(各30点)の大問4題構成。
・全体的な難易度は例年に比べてやや易化した。

■今年度入試の特記事項
・例年同様,大問I・IIがアジア史中心,大問III・IVが欧米史中心の出題であった。
・小論述は大問IVで出題された5問のみであり,2017年度より記述量は減少した。2017年度は大問IIでも小論述が出題されたが,2018年度は出題されなかった。
・戦後史からの出題はほとんど見られなかった。

■合否の分かれ目
・90分という制限時間に比してかなり問題量が多いのが特徴である。大問II・IVでそれぞれ30問程度の小問が課される上に,大問I・IIIで300字の論述問題が課されるため,時間配分が重要となる。2018年度は,大問II・IVが比較的平易で取り組みやすかったため,大問I・IIIの論述問題に十分時間をかけ,質の高い解答を仕上げることができたかどうかで差がついただろう。

■大問別ポイント
 大問 I  
・近代のオスマン帝国と成立初期のトルコ共和国における国家統合をテーマとした論述問題であった。
・世界史上の重要地域であるので知識面では難しくはないが,問題の要求に沿った切り口から事項を説明することができたかどうかがポイントであった。単にオスマン帝国・トルコ共和国の政治状況を説明していくのではなく,問題文に挙げられている人物・団体が,どのような「理念」に基づき,どのような「人々」を結集したのかを明らかにしなくては,問題の要求に応えたことにならない。それぞれが行った具体的な政策が,どのような「理念」に基づいたものだったのか,その関連を意識することが必要であった。

 大問II  
・Aは秦~宋代の皇帝,Bは中華人民共和国の4つの直轄市をテーマにしたリード文からの出題であった。
・いずれも基本的な出題であり手堅く得点したい。問題文中のヒントをしっかり確認し,紛らわしい事項と混同しないように注意しよう。

 大問III  
・十字軍運動の性格の変化と政治・宗教・経済への影響について説明する,オーソドックスなテーマの論述問題であった。
・多くの受験生にとって書きやすい内容であるため,史実に誤りなく,問題の要求に的確に応じた質の高い解答が求められるだろう。

 大問IV 
・Aは古代~近代のヨーロッパの地図,Bは「長い19世紀」をテーマにしたリード文からの出題であった。
・問(2)・問(5)・問(15)・問(23)の小論述はいずれも基本的な事項説明の問題であったため,手早く処理したい。
・問(19)のフランスの工業化の進展が緩慢だった理由については,やや深い理解が必要とされた。
・問(21)・問(25)はやや細かい用語について問われたが,その他は概ね基本的な事項からの出題であり,失点は最小限に抑えたい。

 

京大世界史攻略のためのアドバイス

京大世界史を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 教科書全範囲の基礎的知識を網羅する「知識力」

まずは,「知識力」の養成を。遅くとも受験生の夏休み終了までには,全時代の概略と,教科書の太字語句の意味を押さえることを目標にしよう。語句はただ覚えただけでは力にならない。既習範囲は問題演習を行い,自分が理解したはずの知識が,本当に得点につながる力になり得ているかを,確認しながら学習を進めよう。並行して論述問題にも取り組み,「知識を文章でまとめる」ことにも慣れていきたい。

●要求2● 問題の要求を的確に捉える「読解力」

京大世界史攻略のためには,上述のように,知識力の養成と並行して既習範囲については論述問題にも取り組み,本番まで定期的に問題演習を行う習慣をつけてほしい。問題の要求を的確に捉える「読解力」を身につけるためには,問題文を丁寧に読むことが重要である。何となく知っていることを羅列するのではなく,問題文中の時代・地域の指定,「意義」「背景」「経緯」「変化」「特徴」などといった問いかけに対して,最も適した解答が提示できているか,常に意識しながら解答を作成しよう。復習時に自分の解答作成の過程を確認するために,草稿メモをノートに記録しておくことも有効である。

●要求3● 短い時間の中で最大限の結果を出す「処理力」

時間に比して分量の多い京大世界史で確実に得点するためには,時間の使い方も重要である。模試を受験する際に,問題に取り組む順番を工夫したり,既習範囲の出題ではより高得点を獲得するべくとくに注力して解いたりするなど,限られた時間内で最大限の成果に結びつける訓練を積むとよい。センター試験終了後は,京大入試と同じ分量・構成の問題セットを時間を計って解き,「知識力」・「読解力」を土台とした表現力に磨きをかけつつ,本番での時間配分を想定して,「処理力」を鍛えていこう。

▼「京大コース」世界史担当者からのメッセージ
・2018年度の出題は,全体的に取り組みやすい印象でした。大問I・IIIの論述問題は,教科書レベルの知識を確実に身につけていれば,対応可能です。但し,単に歴史的事項の羅列ではなく,問題の要求に沿った解答にまとめなくてはならないという点で,要求を的確に捉える読解力や,制限字数内で論旨が通った解答をまとめあげる論理的思考力・文章表現力が問われる問題であったといえるでしょう。こうした力は一朝一夕には身につきませんから,早くから論述問題の演習を十分に積んで,論述問題への対応力を向上させていきたいですね。
・大問Iで扱われた近代のオスマン帝国については,2017年度の特講「直前予想演習 京大世界史」第2回で,イスラーム世界の人々の民族主義と諸国の改革運動がテーマの論述問題を出題しており,こちらに取り組んでいたZ会員は論点を整理しやすかったでしょう。
・大問II・IVは解答を導きやすい問題が多く,小論述の出題も少なかったことから,例年にも増して,ここを手早く処理して論述問題に多くの時間を確保することが有効な戦略となったでしょう。得点を積上げやすい大問ですから,磐石な知識力を身につけ,短時間で解答を想起できるようにしましょう。2017年度のように細かい知識が問われたり,小論述が多く出題されたりした場合には,焦ることなく,時にはわからない問題を飛ばして次の問題に進む勇気も必要です。過去問や予想問題で演習を積み重ね,京大世界史を攻略するための戦略を身につけていきましょう。
・京大世界史頻出の中国史では,日常ではあまり使用しない漢字を書かなくてはなりません。用語は正確な漢字で書けるように,日頃から書いて覚える習慣をつけておくとよいでしょう。