東大受験(一般選抜)のための基本情報

最終更新日:2024年7月19日

受験にあたっては、入試制度を正確に把握したうえで、受験戦略を立てる必要があります。東京大学が公表している「大学案内・募集要項等」より、押さえておきたい東大受験(一般選抜)のための基本情報を整理しました。

東大をめざす方へ

東大が期待する人材像と入学試験の基本方針

そもそも、東大はどういった学生に入学して欲しいのでしょうか?ここを確認しないまま東大を受験しても、東大と皆さんとの間でミスマッチがおきかねません。東大を受験したい方は、必ず東大の「アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)」を確認しておきましょう。

「アドミッション・ポリシー」とは、それぞれの大学が立てている「その大学がどういった使命を持っているか、どういった学生に入学してもらいたいか、どういう風に育成していくか」という大方針のことです。入試問題はもちろん、大学入学後の教育方針なども、すべて「アドミッション・ポリシー」を元に作成されています。

ですから、東大を志望する方は、東京大学アドミッション・ポリシーをしっかりと確認した上で、東大対策を進めていくことが不可欠だと言えます。

以下に簡単にまとめてみますが、いかがでしょうか。
志望動機を改めて見つめ直す際、実際に過去問などに取り組む際に、東大が何を求めているか意識ながら取り組んでみましょう。

◆東京大学の使命
国内外の様々な分野で指導的役割を果たしうる「世界的視野をもった市民的エリート」を育成すること。

◆東京大学が目指すこと
自国の歴史や文化に深い理解を示すとともに、国際的な広い視野を持ち、高度な専門知識を基盤に、問題を発見し、解決する意欲と能力を備え、市民としての公共的な責任を引き受けながら、強靭な開拓者精神を発揮して、自ら考え、行動できる人材の育成。

◆東京大学が期待する人材像
入学試験の得点だけを意識した、視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも、学校の授業の内外で、自らの興味・関心を生かして幅広く学び、その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野、あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人。

◆東京大学の入学試験の基本方針
・試験問題の内容は高校生が学校で習う範囲から逸脱しない。
・文系・理系にとらわれず幅広く学習し、国際的な広い視野と外国語によるコミュニケーション能力を備えていることを重視。そのため、文科各類の受験者にも理系の基礎知識や能力を求め、理科各類の受験者にも文系の基礎知識や能力を求めるほか、いずれの科類の受験者についても、外国語の基礎的な能力を要求。
・知識を詰めこむことよりも持っている知識を関連づけて解を導く能力の高さを重視。

入学後の学び方(科類・学部について)

東大に入学した場合、以下のような形で進級していきます。

◆前期課程:教養学部(2年間)
初めの1年半は、文科一類・文科二類・文科三類・理科一類・理科二類・理科三類の六つの類に分かれて幅広く深い教養と豊かな人間性を培うとともに、後期課程の専門教育に必要な基礎的な知識と方法を学びます。次の半年は、進学が内定した学部・学科での学修の基礎となるべき専門教育科目を学びます。

◆後期課程
法学部・経済学部・文学部・教育学部・教養学部・工学部・理学部・農学部・薬学部・医学部

後期課程で進学する学部・学科等は、学生の志望と成績等をもとにして決まります。前期課程の各科類から主として進学できる後期課程の学部・学科は以下のとおりです([6年制]は前期課程2年、後期課程4年の学科を示します。学科については東京大学Webサイトで公表されている「東京大学入学者選抜要項」等を参照ください。)

前期課程(科類) 後期課程(学部)
文科一類 法学部
教養学部
文科二類 経済学部
教養学部
文科三類 文学部
教育学部
教養学部
理科一類 工学部
理学部
薬学部
〔薬科学科,薬学科[6年制]〕
農学部
医学部〔健康総合科学科〕
教養学部
理科二類 農学部
〔応用生命科学課程、環境資源科学課程、獣医学課程[6年制]〕
薬学部
〔薬科学科,薬学科[6年制]〕
理学部
工学部
医学部
〔健康総合科学科,医学科[6年制]〕
教養学部
理科三類 医学部
〔医学科[6年制]〕

東大入試は科類単位での出願となりますので、東大受験をしたい方は、出願前に「どういったことを学びたいか」という大まかな方向性は決めておく必要があります。

東大入試について(一般選抜)

以下、東大入試(一般選抜)についての情報や特徴、対策について述べていきます。

入試の概要ー募集定員と倍率、試験の配点

東大入試(一般選抜)は大まかに「共通テスト」「個別試験」で構成されます(理科三類は「面接試験」も)。点数は、共通テストの成績(配点 110 点:1000 点満点を 110 点に換算します)と個別試験の成績(配点 440 点)とを総合(550 点満点)して算出します。

ただし、入学志願者が各科類の募集人員に対して次の倍率に達した場合は、共通テストの成績により第 1段階選抜を行い、その合格者が個別試験を受験できます

▼令和 7(2025)年度 募集人員

科類 募集定員 倍率
文科一類 401 約2.5倍
文科二類 353 約2.5倍
文科三類 469 約2.5倍
理科一類 1,108 約2.3倍
理科二類 532 約3.0倍
理科三類 95 約3.0倍

※ 現在、理科三類の2人の募集人員増(95人から97人)について、文部科学省に認可申請中。最新情報は、東大ウェブサイト等で周知されるので要確認。

共通テストの受験教科・科目・選択方法

▼文科各類・・・6教科8科目、または7教科8科目〔配点合計1000点〕

国語
(配点200)
『国語』(必須)
地理歴史・公民
(配点200)
以下の5科目のうちから2科目を選択。

『地理総合,地理探究』、『歴史総合,日本史探究』、『歴史総合,世界史探究』、
『公共,倫理』、『公共,政治・経済』

ただし、『公共,倫理』および『公共,政治・経済』の2科目の選択は不可。公民から1科目選択する際は、地理歴史から1科目の選択が必要。
旧教育課程履修者は、『旧世界史B』、『旧日本史B』、『旧地理B』および『旧倫理,旧政治・経済』4科目のうちから2科目を選択可。

数学
(配点200)
『数学I・数学A』(必須)

旧教育課程履修者は『旧数学Ⅰ・旧数学A』を選択可。

『数学Ⅱ,数学B,数学C』(必須)

旧教育課程履修者は、『旧数学Ⅱ・旧数学B』、『旧簿記・会計』、『旧情報関係基礎』3科目のうちから1科目を選択可。
ただし、『旧簿記・会計』,『旧情報関係基礎』を選択できる者は、高等学校又は中等教育学校、および専修学校の高等課程の修了者においてこれらの科目を履修した者のみ。

理科
(配点100)
以下の基礎を付した科目を選択(4つの出題範囲から2つを選択解答)。

『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』

ただし、「基礎を付していない科目(『物理』、『化学』、『生物』、『地学』)」を2科目選択した場合には、「基礎を付した科目」を選択したものとみなす。(注1)
なお、理科の時間において「基礎を付した科目」を含め2科目選択した場合は、第1解答科目の成績を合否判定に利用します。(注2)

外国語
(配点200)
以下の5科目のうちから1科目を選択。

『英語』(注3)、『ドイツ語』、『フランス語』、『中国語』、『韓国語』

情報
(配点100)
『情報Ⅰ』(必須)

旧教育課程履修者は『旧情報』を選択可。

(注1)
(1)「基礎を付した科目」とは、『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』を指す。
(2)「基礎を付していない科目」とは、『物理』、『化学』、『生物』、『地学』を指す。
(3) 第1解答科目として、『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』と、第2解答科目として、『物理』、『化学』、『生物』、『地学』の4科目の中から1科目を選択した場合には、「基礎を付した科目」を利用する。(注2も参照)
(4)『物理』、『化学』、『生物』、『地学』の4科目の中から2科目選択した場合には、合計得点(200点満点)を100点満点に換算して利用する。なお、「基礎を付していない科目」を選択した場合の教科・科目の合計数は、6教科9科目または7教科9科目となる。
(注2)
「理科」の試験時間に2科目を受験した場合において、前半の60分間で解答した科目を第1解答科目、後半の60分間で解答した科目を第2解答科目という。(詳細は、大学入試センターWebサイト https://www.dnc.ac.jp/ 等を参照。)なお、「理科」の試験時間において「基礎を付した科目」と、「基礎を付していない科目」のいずれかを選択する場合には、「基礎を付した科目」を第1解答科目にて選択すること。たとえ、第2解答科目で「基礎を付した科目」を受験しても第2次学力試験(個別試験)を受験することは不可。
(注 3)
外国語の『英語』は「リーディング」100点と「リスニング」10 点、計200点満点を「リーディング」140点満点、「リスニング」60点満点に換算して利用する。なお、聴覚障害等により「リスニング」を免除された者は、「リーディング」を200点満点に換算し、『英語』以外の外国語を選択した者は、筆記(200 点満点)の成績を利用する。


▼理科各類・・・6教科8科目〔配点合計1000点〕

国語
(配点200)
『国語』(必須)
地理歴史・公民
(配点100)
以下の5科目のうちから1科目を選択。

『地理総合,地理探究』、『歴史総合,日本史探究』、『歴史総合,世界史探究』、
『公共,倫理』、『公共,政治・経済』

旧教育課程履修者は、『旧世界史B』、『旧日本史B』、『旧地理B』および『旧倫理,旧政治・経済』4科目のうちから1科目を選択可。
なお、地理歴史及び公民の試験時間において2科目を受験した場合には、第1解答科目の成績を合否判定に利用する。(注1)

数学
(配点200)
『数学I・数学A』(必須)

旧教育課程履修者は『旧数学Ⅰ・旧数学 A』を選択可。

『数学Ⅱ,数学B,数学C』(必須)

旧教育課程履修者は、『旧数学Ⅱ・旧数学B』,『旧簿記・会計』、『旧情報関係基礎』3科目のうちから1科目を選択可。
ただし、『旧簿記・会計』,『旧情報関係基礎』を選択できる者は、高等学校又は中等教育学校、および専修学校の高等課程の修了者においてこれらの科目を履修した者のみ。

理科
(配点200)
以下の4科目のうちから 2 科目を選択。

『物理』、『化学』、『生物』、『地学』

外国語
(配点200)
以下の5科目のうちから1科目を選択。

『英語』(注2)、『ドイツ語』、『フランス語』、『中国語』、『韓国語』

情報
(配点100)
『情報Ⅰ』(必須)

旧教育課程履修者は『旧情報』を選択可。

(注 1)
「地理歴史,公民」の試験時間に2科目を受験した場合において、前半の60分間で解答した科目を第1解答科目、後半の60分間で解答した科目を第2解答科目という。(詳細は、大学入試センターウェブサイト https://www.dnc.ac.jp/ 等を参照。)
なお、第1解答科目で本学が指定していない科目を受験した場合には、たとえ第2解答科目で本学が指定する科目を受験した場合でも、第2次学力試験(個別試験)の受験は不可。
(注 2)
外国語の『英語』は「リーディング」100点と「リスニング」10 点、計200点満点を「リーディング」140点満点、「リスニング」60点満点に換算して利用する。なお、聴覚障害等により「リスニング」を免除された者は、「リーディング」を200点満点に換算し、『英語』以外の外国語を選択した者は、筆記(200 点満点)の成績を利用する。


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個別試験の受験教科・科目・配点

▼文科一類・二類・三類

国語
(配点120)
現代の国語、言語文化、論理国語、文学国語、国語表現、古典探究
数学
(配点80)
数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学A、数学B、数学C

数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Aは全範囲から、数学Bは「数列」、「統計的な推測」から、数学Cは「ベクトル」から出題。

地理歴史
(配点120)
「日本史探究」、「世界史探究」、「地理探究」の3科目のうち、あらかじめ出願の際に届け出た2科目
外国語
(配点120)
(1)英語(英語コミュニケーションⅠ、英語コミュニケーションⅡ、英語コミュニケーションⅢ、論理・表現Ⅰ、論理・表現Ⅱ、論理・表現Ⅲ)

※ 一部マークシートに解答する問題があり。また、英語試験の一部分に聞き取り試験(30分程度)を行う。


(2)ドイツ語

(3)フランス語
(4)中国語

のうち、あらかじめ出願の際に届け出た1外国語


ただし、英語の選択者に限り、英語の問題の一部分に代えて、他の外国語(ドイツ語、フランス語、中国語、韓国朝鮮語)のうちから一つの外国語を試験場において選択可。
なお、ここで選択できる外国語のうち、ドイツ語、フランス語、中国語の問題は、出願時に当該外国語を選択した者が解答する問題の一部分と同じもの。

▼理科一類・二類・三類

国語
(配点80)
現代の国語、言語文化、論理国語、文学国語、国語表現、古典探究
数学
(配点120)
数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学A、数学B、数学C

数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学Aは全範囲から、数学Bは「数列」、「統計的な推測」から、数学Cは「ベクトル」、「平面上の曲線と複素数平面」から出題。

理科
(配点120)
「物理基礎・物理」、「化学基礎・化学」、「生物基礎・生物」、「地学基礎・地学」の4科目のうち、あらかじめ出願の際に届け出た2科目
外国語
(配点120)
(1)英語(英語コミュニケーションⅠ、英語コミュニケーションⅡ、英語コミュニケーションⅢ、論理・表現Ⅰ、論理・表現Ⅱ、論理・表現Ⅲ)

※ 一部マークシートに解答する問題があり。また、英語試験の一部分に聞き取り試験(30分程度)を行う。


(2)ドイツ語

(3)フランス語
(4)中国語

のうち、あらかじめ出願の際に届け出た1外国語


ただし、英語の選択者に限り、英語の問題の一部分に代えて、他の外国語(ドイツ語、フランス語、中国語、韓国朝鮮語)のうちから一つの外国語を試験場において選択可。
なお、ここで選択できる外国語のうち、ドイツ語、フランス語、中国語の問題は、出願時に当該外国語を選択した者が解答する問題の一部分と同じもの。
面接
※理科三類のみ
個人面接。複数の面接担当教員による面接を行い、その評価を参考にして、場合によっては2次面接を行うことがある。
総合判定の判断資料として取り扱う。

目標点(合格者の最高点・最低点・平均点)

東大に合格するためには、どれくらいの点数をとらないといけないのでしょうか。東大が発表している「合格者最高点・最低点・平均点」を見てみましょう。
※令和6(2024)年度 東京大学入学者募集要項(前期日程)(2023年11月更新)を参照。

▼第1段階選抜合格者(令和5年度入試)

満点 最高点 最低点 平均点
文科一類 900 878 479 734.89
文科二類 900 876 454 724.95
文科三類 900 884 189 736.77
理科一類 900 885 543 773.15
理科二類 900 869 711 769.81
理科三類 900 885 640 782.72

▼第2次学力試験合格者(令和5年度入試)

満点 最高点 最低点 平均点
文科一類 550 445.0667 343.8889 371.4137
文科二類 550 428.0778 342.4444 368.8971
文科三類 550 468.6222 340.3333 363.8835
理科一類 550 442.1667 314.9778 345.1978
理科二類 550 424.5444 312.9778 334.7559
理科三類 550 458.8222 357.6667 389.2253

入試の特徴

東大入試では、単に知識量を問うような問題や難問・奇問ではなく、知識の運用力の高さをはかる問題が出題されます。しかし、全科目ともに試験時間に比べて問題の分量が多いため、偏りのない学習と、処理能力の強化が必要となります。問題文に書かれている意図をすばやく正確にとらえ、思考力を駆使して正しい解答を短時間で作成する力を伸ばすことが重要です。

また、東大入試は課される科目も他大学に比べて多く、文系の個別試験では、国公立大で唯一、地歴が2科目課され、その配点は英語、国語と同じです。理系では、英語、数学、理科2科目に加え、国語も課されます。そのため、他大学志望者よりも対策すべき絶対量が多いことに留意して、すべての科目について早めの対策を行う必要があります。

 

東大の入試傾向と科目対策についてさらに詳しく知りたい方は…

▼Z会の各科目担当者が、東大入試の傾向と対策を詳しく解説!

2025年度(令和7年度)入試のスケジュール

感染症等の対策に関する対応により変更が出る可能性もありますので、東大受験を考えている方は、必ず、大学入試センター東京大学ホームページで随時確認するようにしましょう。


【共通テストの出願】
2024年9月25日(水)~ 10月7日(月)


【共通テスト実施】
2025年1月18日(土)・19日(日)
※追・再試験:1月25日(土)・26日(日)に実施


【東大(一般選抜)出願期間】
2025年1月27日(月)~2025年2月5日(水)
「書留速達郵便」で、上記期間に到着するように出願。


【東大(一般選抜)第1段階選抜合格者発表】
2025年2月12日(水)
東京大学ウェブサイトで、第1段階選抜合格者の大学入学共通テスト「試験場コード」及び「受験番号」を発表。


【東大(一般選抜)個別試験 実施日・試験会場】
2025年2月25日(火)・26日(水)・27日(木)
※27日(木)は理科三類のみ
文科各類:東京大学駒場Ⅰキャンパス(東京都目黒区駒場)
理科各類:東京大学本郷キャンパス(東京都文京区本郷)


【東大(一般選抜)個別試験時間割】

<文科一類・文科二類・文科三類>

2月25日(火) 9:30~12:00(150 分):国語

14:00~15:40(100 分):数学

2月26日(水) 9:30~12:00(150 分):地理歴史

14:00~16:00(120 分):外国語

<理科一類・理科二類・理科三類>

2月25日(火) 9:30~11:10(100 分):国語

14:00~16:30(150 分):数学

2月26日(水) 9:30~12:00(150 分):理科

14:00~16:00(120 分):外国語

2月27日(木)
※理科三類のみ
9:00~17:00 頃:面接

【東大(一般選抜)合格者発表】
2025年3月10日(月)

※2025年3月10日(月)12:00ごろ、合格者の個別試験受験番号を東京大学ウェブサイトに掲載。


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