先月よりスタートした過去問題の活用法ですが、今回はいよいよ「実際の取り組み方」をご案内します。これから入試まで長くつきあっていくことになる過去問題。9月以降どう取り組んでいくかを考えていきましょう。
過去問攻略で合格をつかむ!中学受験「過去問活用法」 全4回
- ① 【中学受験】過去問はいつ・どう選ぶ?合格を引き寄せる過去問活用法
- ② 【中学受験】過去問から「合格に必要な力」を見抜く!効率的な出題傾向分析
- ③ 【中学受験】過去問の「解き方」は時期で変わる!合格力アップを目指す戦略 ←本記事
- ④ 【中学受験】学校説明会を「過去問攻略」に活かす!情報収集で差をつける 9月11日(木)更新予定
時期に応じて過去問題の取り組み方を変えていきましょう!
【夏~秋まで】点数は気にせず、志望校に合わせた強化ポイントを探る
まだお子さまが志望校の過去問題に一度もふれたことがないようでしたら、9月末までをめどに、まず第一志望校の問題を時間を制限せずに解く機会を設けることをおすすめします。
第一志望校の場合、今の段階ではなかなか解けないこともあるかもしれません。ですが、この時期の過去問題は、お子さまの「苦手」や「得意」と志望校の出題傾向との相性を見ることが目的なので、あえて時間を計らず、何も見ずにひととおりやらせてみましょう。一度そのように解いたあとは、わからなかった問題を調べながら取り組み、どこまで解けるか、試してみてください。
また、この時期の取り組み方や取り組む目的については、最初にお子さまにも説明いただくとよいでしょう。解けない問題が多いことで自信をなくしてしまったり、不安から学習リズムを崩してしまったり、といったことがないよう、保護者の方のフォローをお願いします。
【こんな取り組み方もオススメ】苦手克服への意欲促進に、過去問題を活用!
苦手克服のために、過去問題を活用することも有効です。ずっと苦手だった単元が志望校の過去問題で出題されていたら、「志望校でこういった問題が出ているから、この分野が弱点にならないように、どうしても今、復習しなければならない」と意識をするようになり、やる気も高まります。今は解けなくても、読んでみるだけでもよいのです。
【秋~冬まで】2回目以降の取り組みでは「合格者平均点」を意識する
一度じっくり解いたら、次は直近3~5年分の過去問題を使い、制限時間を設けて「入試本番に近いかたちで何度も解く」やり方に移りましょう。ここで保護者の方に意識していただきたいのは、「合格者平均点」です。過去問題を解くうえで、めざすべき「合格ライン」は学校により異なるため、すべての過去問題で「何割正解していればOK」とは一概には言えません。合格者平均点が高めの、基礎的な出題が多い学校であれば、100点になるまで繰り返し取り組んでいただきたいところです。
一方、合格者平均点が低めの、発展的な出題が多い学校であれば、あらかじめ決めておいた「目標点」に達するにはどの程度の実力アップが必要なのかを、考えながら学習を進めることが大切です。保護者の方は、お子さまの実力と合格者平均点との開きを常に意識するようにしてください。

過去問題で思うように得点できないときには、どのように得点力を上げていくかを原因別に考えます。以下によくある原因とその対策をまとめましたので、参考にしてください。
●基礎力不足
計算など、特定の分野・形式の基礎力不足で思うように力が出せないということもあるものです。その場合には、『エブリスタディ アドバンスト』や『毎日練習ブック 国語/算数』などで頻出分野の問題を探して繰り返し解き、基礎力を上げましょう。
●実戦不足
時間配分をまちがえたり、テスト慣れしていないことで思うように得点できていないこともあります。その場合には、過去問題に何度も取り組んだり、「月例テスト」や「公開模試」の解き直しをしたりして時間を意識させた学習を取り入れましょう。
連載「模試活用のABC」の「第6回 模試受験後の取り組みと復習」もご参考に、過去問題に取り組んだ直後に親子で振り返るのもよいでしょう。
●問題との相性が悪い
公開模試の判定はよいのに、何度過去問題を解いても合格者平均点に達することができなかったり、その学校でよく出題される分野・出題形式にお子さまの苦手が多く、思うように得点できなかったりということがあります。行きたい学校であれば何度も取り組み、対策をしていくしかありませんが、志望順位の低い学校、とくに最初に受験することの多い「合格安全校」で上記のような兆候が見られるようであれば、本当にその学校を受験するかどうか、よく検討したいところです。
【冬~直前まで】繰り返し解いて得点を上げ、受験に向けて自信をつける
冬から入試直前にかけては、「何度も解いて問題に慣れさせ、得点を上げる」ことに焦点をあてて対策を進めましょう。
何度も繰り返して解くうちに、お子さまが解答をある程度覚えてしまうこともあるかもしれませんが、第一志望校の過去問題で満点近い得点を取った経験は「これで合格できる」という自信につながり、本番でも落ち着いて取り組め、難しい問題にも恐れず向き合うことができます。
ただし、ここで保護者の方に気をつけていただきたいのは、過去問題対策だけで入試が突破できるわけではないということです。過去問題はあくまで学習の優先順位を把握し、出題形式に慣れるためのもの。『エブリスタディ アドバンスト』に取り組み、オールラウンドな力をつけることが大切ですので、バランスのよい学習を心がけてください。

【こんな取り組み方もオススメ】毎回の得点を記録する
子どもは何度も同じ問題に取り組むことをいやがるもの。そこで、過去問題の毎
回の得点を記録するためのシートを作り、前回と比べていくことで、お子さまのやる気もアップするのではないでしょうか。合格ラインを書き込んだグラフを用意して記録していくというのも、よい方法です。
効果的な学習をすすめるために
今回は過去問題の取り組み方についてご紹介しました。これらの取り組みは、前回の過去問活用法でご紹介した「過去問題の分析」があってこそ効果的に進められます。お子さまが取り組む前にチェックリストで確認をするようにしてください。