「京大世界史」2020年度京大入試分析

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:90分)

  • 例年通り大問I・IIIは300字論述(各20点)、大問II・IVは長文下線部・空欄補充(各30点)の大問4題構成。
  • 全体的な難易度は例年並みであった。

2020年度入試の特記事項

  • 例年同様、大問I・IIがアジア史中心、大問III・IVが欧米史中心の出題であった。
  • 大問IVで小論述が5問出題され、大問IIでは2018年度、2019年度に続き2020年度も小論述が出題されなかった。
  • 大問IIIや大問IVで戦後史からの出題が目立った。

合否の分かれ目はここだ!

  • 90分という制限時間に比してかなり問題量が多いのが特徴である。大問II・IVでそれぞれ30問程度の小問が課される上に、大問Ⅰ・Ⅲで300字の論述問題が課されるため、時間配分が重要となる。
  • 2020年度は基本的な知識を問う問題が大半を占めた。教科書の全範囲を丁寧に対策し、苦手な分野や学習が手薄な範囲を残さないことがポイントである。
  • 大問II・IVでは、一部の問題でやや難度の高い出題がされたが、比較的平易で取り組みやすい問題が多かったため、大問II・IVを手早く処理した上で、大問I・IIIの論述問題に十分時間をかけ、質の高い解答を仕上げることができたかどうかで差がついただろう。
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大問別のポイント

 大問 I 

  • ユーラシア大陸東部に大帝国が生まれた6〜7世紀におけるイラン系民族の活動と、それが中国の文化に与えた影響について説明する論述問題であった。
  • 必要となる知識は教科書レベルの基本的なものだが、イラン系民族の影響を受けた中国の文化について記述する必要があり、文化史までしっかり対策していたかどうかで差がついた。
  • イラン系民族の活動が中国の文化に与えた影響を、具体例を用いつつ論述していく必要があった。

 大問 II  

  • Aはムスリムと非ムスリムの関わりをテーマに、古代から現代まで幅広く出題された。(4)や(8)はやや解答を導きづらい出題であり、(5)では21世紀の内容について出題されたが、概ね基本的な出題であったため、手堅く得点したい。リード文の下線部や、設問文の条件をしっかり確認し、紛らわしい事項と混同しないように注意しよう。
  • Bは近・現代における中国の海洋への軍事的進出に関する問題であった。(17)や(18)は教科書とは違う視点から問うものであったが、問われている用語は平易なものであるため、焦らずに解答したい。

     大問 III  

    • 1962年から1987年までの国際関係について説明する論述問題であった。核兵器の製造・保有・配備,および核兵器をめぐる国際的な合意に言及するといった要求に、的確に応えていきたい。
    • 「1962年から1987年まで」という年代の指定から、論述の書き始めと終わりに当たる事項をしっかりと見極めること。指定の年代から外れた事項を書いても、得点には結びつかないので注意しよう。
    • 現代史から出題されたため、対策の及んでいない受験生は苦戦したかもしれないが、記述する内容は比較的想起しやすかった。
    • 多くの条約について言及する必要があるため、内容をしっかり整理してから論述を進めていきたい。
    • 主題とは関係のない事柄に触れてしまうと字数が足りなくなり、必須の事項に言及できなくなってしまう恐れがある。問題の要求をしっかり把握し、事項の取捨選択を慎重に行うことがポイントである。

     大問 IV  

    • Aは正戦論をテーマに、ヨーロッパの古代・中世を中心に問われた。空欄aは、高校世界史としてはやや細かい知識が必要であった。その他は概ね基本的な事項からの出題であり、小論述も平易な内容であったため、失点は最小限に抑えたい。
    • Bは文字の歴史をテーマに、古代から近・現代まで幅広く出題された。小論述の(16)は、出来事の背景・事情を考察する問題であったが、世界史において頻出な範囲であった。(18)は世界史では珍しい出題で、とまどった受験生も多かったと思われる。

     攻略のためのアドバイス

    京大世界史を攻略するには,次の3つの要素を満たす必要がある。

    ●要求1● 教科書全範囲の基礎的知識を網羅する「知識力」

    まずは、「知識力」の養成を。遅くとも受験生の夏休み終了までには、全時代の概略と、教科書の太字語句の意味を押さえることを目標にしよう。並行して論述問題にも取り組み、「知識を文章でまとめる」ことにも慣れていきたい。

    ●要求2● 問題の要求を的確に捉える「読解力」

    京大世界史攻略のためには、知識力の養成と並行して論述問題にも取り組み、本番まで定期的に問題演習を行う習慣をつけてほしい。問題の要求を的確に捉える「読解力」を身につけるためには、問題文を丁寧に読むことが重要である。何となく知っていることを羅列するのではなく、問題文中の時代・地域の指定、「意義」「背景」「経緯」「変化」「特徴」などといった問いかけに対して、最も適した解答を意識しながら解答を作成しよう。復習時に自分の解答作成の過程を確認するために、草稿メモをノートに記録しておくことも有効である。

    要求3● 短い時間の中で最大限の結果を出す「処理力」

    時間に比して分量の多い京大世界史で確実に得点するためには、時間の使い方も重要である。模試を受験する際に、問題に取り組む順番を工夫するなど、限られた時間内で最大限の成果に結びつける訓練を積むとよい。共通テスト終了後は、京大入試と同じ分量・構成の問題セットを時間を計って解き、「知識力」・「読解力」を土台とした表現力に磨きをかけつつ、本番での時間配分を想定して、「処理力」を鍛えていこう。

    Z会で京大対策をしよう

    Z会京大世界史担当者からのメッセージ
    • 京都大学の世界史入試は、教科書の流れに沿って用語の内容、因果関係、世界史上の意味・意義などを丁寧に学習していれば、ほぼ対応可能な問題です。出題傾向の変化が少ないので、大問II・IVでは取りこぼしを最小限にするように,大問I・IIIでは問題の要求に的確に応えた解答を書き上げられるように、着実に対策を行っていきましょう。
    • 2020年度の出題の中では、大問Ⅲの論述問題で、要求が多い京大らしい問題が出題されました。この問題に関しては、指定された時代に即して、盛り込むべき事項を漏らさないように、事項の時系列を意識して論述する必要がありました。時系列を把握することは、世界史学習で欠かせないポイントですので、十分に理解しておきたいところです。Z会の通信教育 本科「京大コース 世界史」の3~8月では、世界史上の重要ポイントを整理した解説テキスト「必修テーマ」を用意しています。豊富な地図や図・表、年表などを用いて、知識だけでなく入試で問われる視点も学ぶことができますので、京大世界史で必要な各時代・地域の“理解の核”を習得することができます。また、秋以降は、入試問題と同じ300字の論述問題など実戦的な問題演習に毎回取り組み、添削指導を受けることで,論述力のアップをはかります。答案作成力を磨いて、京大合格をめざしましょう!

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