中学受験の全国最難関「筑駒」の入試問題の傾向と対策をわかりやすく解説します!

すべての中学受験生にとって、「各学習項目の完全理解」は大前提であり、しっかりとした土台を築いたのちの受験対策の柱は、志望校に応じて「問題演習の内容を段階的に、徹底的に深めていく」ということに他なりません。
入試の難度が上がれば上がるほど、この準備を本番までにどれだけ十分に、そして余裕をもって行うことができたかが、合否を左右すると言えるでしょう。
筑波大学附属駒場中学校 入試出題傾向と対策
問題文を正確に読み取る「読解力」と得点できる「記述力」
【傾向】
筑駒の読解問題は、説明文、物語か随筆、詩という3題で構成されるのが一般的である。まれに物語と詩の融合問題が出題されることがある。漢字の書き取り問題は、独立した大問として一つのことわざを漢字に直す場合と、読解問題の中の小問として出題される場合がある。
設問の形式は、年によっては選択肢問題が見られるものの、全体としては記述問題が中心だ。設問は、「どういうことですか」「なぜですか」など、最小限の問いかけしかされないシンプルなものが多く、自分で出題の意図を見極めることが求められる。解答欄は罫線のない枠だけの場合のほか、罫線で1~2行程度に区切られている場合がある。1行に30字を目安として、30~90字程度でコンパクトにまとめる。いずれも本文全体の文脈をふまえた読解が求められ、傍線部付近の部分的な理解だけでは合格レベルの答案は書けない。筋道を立てて端的に説明しなければならない難問である。
【対策】
問題文を正確に読み取り、ときには本文中にはっきりとは書かれていない事柄まで、本文に書かれている内容から合理的に推論できるような読解力を養成することが大切だ。対比の構造に関する出題もよく見られるので、それを意識して読むこともポイントとなる。さらに、設問の出題意図を把握し、解答欄に応じて30~90字程度で端的にまとめる記述力を養いたい。筑駒の記述は、たくさん書けばよいというものではない。明確な論理で、コンパクトにまとめること。まずは自分で解答を書きあげ、模範解答と比べながら、解き直し、加筆したり削ったりしながら答えを書き直して合格レベルの答案に仕上げていく練習をしておくとよい。
また、筑駒の受験においては、詩の対策を十分にしておく必要がある。短い言葉・限られた情報の中から、作者が何を伝えようとしているのかを深く正確に読み取れるよう、6年生の8月ごろからは、筑駒の詩の出題形式にあわせた演習を積んでいきたい。
時間勝負。手際よく解答・検証できるかがポイント
試験時間40分に対し出題されるのは大問4題と、時間に対して分量が多いため、短時間でいかに正確に処理できるかがカギとなる。各大問について、小問2~4題が出題され、多くの問題で、問題文のルール説明や前の小問が後の問題のヒントとなっており、各大問とも最終問題以外は難易度がそれほど高くない。そのため高得点の争いになりやすく、計算ミスなど軽微な失点が許されない試験になっている。
試験内容としては「周期性・規則性」に着目した出題が多い。1周期内の内容や、周期のいちばん最後の部分などを詳細に把握する必要があるため、短時間で丁寧かつ効率的に作業する力が問われる試験といえる。毎年バラエティに富んだ出題がされるのもこの「周期性・規則性」のため、夏以降、入試問題に取り組める基礎体力がついてきたら、筑駒の過去の入試問題は是非とも数年分解いておきたい。
物事のしくみや変化について科学的な理解を深めておきたい
例年、大問6~7題構成で、物理・化学・生物・地学のすべての分野についてまんべんなく出題される。身のまわりの現象に絡めた出題が多いため、暗記だけではなく、物事のしくみや変化について科学的な理解を深めておくとよいだろう。また、問題文が長く、読解力が必要になる問題が多く出題される傾向がある。
・物理
力学(てこや滑車)と力学以外の問題の2問が出されることが多い。力学以外では、回路と電流の問題がよく出題される傾向にある。力学の問題は特に難度が高いため、本番で慌てないように過去問など、さまざまな問題に取り組み、解き方や考え方を身につけておくとよい。また、つまずいてしまったときは早めに見切りをつけて先に進み、他の問題で確実に点をとる気持ちも大切である。
・化学
水溶液や燃焼についての実験を絡めた出題が多いため、過去問を解いて実験問題に慣れておくとよい。難しい計算問題の出題は少なめだが、実験の内容や結果などの情報を正確に読み取る力が必要になる。
・生物
教科書の内容を踏まえたうえでの出題が多いが、教科書の範囲を超えた内容の問題も出題されることがある。教科書レベルの知識は6年生の夏までに身につけ、それ以上の深い知識は過去問など、多くの問題にふれることで身につけていくとよい。
・地学
会話形式の出題が多い。基本的な内容が多いため、教科書レベルの知識はしっかりと身につけておくとよい。また、時事問題を絡めて出題されることが多いため、災害や自然現象の原理を確認しておくことが大切である。
歴史の流れや物事の因果関係の確実な理解とスピードが必要
例年、地理・歴史・公民の各分野から1題ずつ出題されている。地理は基本レベルの出題が中心であるが、地図や統計資料を用いた出題が多い。歴史はどの時代からもほぼ満遍なく出題されており、時代順に並べかえる、同じ時代の出来事を選ぶといった出題も見られる。公民は時事問題を含めて、日本の政治や世界の政治に関連する出題が多く見られる。出題形式としては、正文や誤文を選択させる問題が中心であるが、中でも「正しい文をすべて選びなさい」というように、正解の数が指定されていない出題が特徴である。近年は20~30字程度の文章記述問題も出題されている。
筑駒攻略に向けて、6年生の夏休みまでに全分野の学習を一通り済ませ、夏休みには問題演習を行いながら知識の正確な理解と定着を図り、秋以降に過去問を使いながら、時間配分を含めて、実戦的な演習をするとよい。分野ごとの対策としては、地理は統計資料を用いた出題がされるので、数値の大小や変化の様子に着目するといった資料の読み取りの練習を積むとよい。歴史は人物やできごとの名前を覚えることも必要であるが、歴史の流れをきちんと理解しておくことが重要である。公民はふだんから国際情勢を含めた時事問題に関心をもち、現代社会で起きていることの原因や問題点を考えるようにしておくとよい。また、リード文が長いため、文章を早く、正確に読み取る力が求められる。模擬試験や過去問に取り組む際には、リード文で年代や統計数値に線を引きながら読む、問題の選択肢に先に目を通しておくといったことも意識しておくことが望ましい。
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