分析速報

■分量と難度の変化
・難易度は昨年並み
・分量は昨年並み

■今年度入試の特記事項
・昨年度に引き続き，すべての大問で小問がついていた。丁寧な誘導をつけ，受験生にとって解きやすくする意図が見られる。

■合否の分かれ目
・昨年度に引き続き，頻出の確率からの出題がなかった。
・頻出の体積を求める問題が出題されなかった。

 

■大問別ポイント
　第１問　
・定積分を計算する問題。計算問題が単独で出題されるのは珍しい。
・積分に関する多様な知識と，速く正確に計算する力が求められる。

　第２問　
・微分法の問題。
・辺の長さを変数にして関係式を求めるとよい。座標やベクトルを利用するのもよいだろう。

　第３問　　
・空間図形の問題。断面図を把握する空間認識能力が試される。

　第４問　
・整数に関する問題。
・(1)はユークリッドの互除法を利用するとよいだろう。具体的に実験してみると見通しが立てやすい。
・(2)は(1)の誘導を用いれば，それぞれの因数が平方数または2×(平方数)になる必要があることがわかるので，それについて矛盾を示そう。

　第5問　
・極限の問題。
・(3)のcでは微分係数の定義や平均値の定理を利用することになる。数学IIIの演習量で差がついただろう。

　第6問　　
・高次方程式の解に関する問題。
・条件３から虚数解の形が制限されることに着目するとよい。

 

 

 

攻略のためのアドバイス

東大理系数学を攻略するには、次の３つの要求を満たす必要がある。

●要求１● 高度な思考力
特別な知識は要求されないものの，高いレベルの思考力，発想力を試す問題が多く出題されている。他の大学では，一見しただけで典型問題だとわかる出題が多いが，東大では出題の仕方がかなり工夫されており，すぐには問題の解法が浮かびにくいものが多い。初見の問題に色々な面からアプローチして，解法を決める力が求められる。確率，整数の問題で主にこの力が問われる。

●要求２● 早く正確な処理力
例年，処理量の多い問題が出題され，比較的処理量の少ないものでも，1問あたり20～30分くらいかかるものもある。特に積分の求積問題で，ハードな計算を要求するものが多い。また，やや高度な出題も見られるが，処理力重視の問題は，方針が立てやすい。数式処理力の差は直接得点差につながりやすいので，速く正確に処理できる力を充実させておきたい。

●要求３● 解ける問題を見極める力
東大の数学では，例年，5割程度取れれば合格ラインといえる量とレベルの出題である。つまり，全問を解く必要はなく，解く問題の選択が合否を分ける。過去問演習などを通して，完答できる問題を見極める力を養っておこう。小問ごとに解ける問題は，もちろん解くべきである。

まずは，苦手分野があれば，遅くとも受験生の夏休みまでには克服したい。ただし，基本的なことばかりやっていては，高度な思考力を要求される東大入試には太刀打ちできなくなる。

受験生の秋以降は実戦的な演習を行い，得点力アップを図ろう。また，答案を作成する力の養成も意識したい。

センター試験が終わったあとは，東大入試に即応したＺ会の問題で，最後の総仕上げをしよう。解答を作成する時間や，採点者にきちんと内容の伝わる答案作りを意識し，実戦力を完成させよう。

Ｚ会の講座では，上記の各段階に応じて，東大対策を無理なくこなせる設計になっている。Ｚ会の講座を活用して，ライバルに差をつけよう！