2024年度「東大世界史」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2024年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会世界史担当者からのメッセージ

・2024年度の第1問は、600字論述ではなく、360字論述と150字論述の2題構成で出題されました。字数や構成はやや見慣れないものでしたが、必要とされる能力は大きく変わりません。日常の問題演習から「読解力」「論理的思考力」「文章表現力」を意識して鍛えておきましょう

・Z会の通信教育 本科「東大講座 世界史」では、入試問題と同じ字数の多い論述問題を含む演習問題を豊富に出題しています。さらに、一人一人の解答に応じたきめ細やかな添削指導で、着実に実力をアップすることができます。豊富な問題演習と適切な添削指導で、合格をつかみ取りましょう!

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今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:2科目150分)

大問3題の構成で、論述問題が中心である。

  • 例年、第1問は600字程度の大論述が1問出題されるが、2024年度は2問構成で、論述字数はそれぞれ360字と150字であった
  • 第2問は小論述集合であり、総論述字数は420字であった。また、2023年度と同様に単答問題も出題された。
  • 第3問は例年通り単答集合であった。
  • 全体の総論述字数は930字であり、2023年度と同数であった。
  • 第2問は2023年度に比べやや易化したが、全体的な難易度は例年並みであった。

2024年度入試の特記事項

2024年度の第1問では、小問が2つ出題され、合計字数は510字であった。第1問で複数小問が出題されたのは、1989年度以来であった。

  • 第1問では、2023年度に引き続き資料を用いた問題が出題された
  • 時代:第1問は1960年代の出来事について出題された。第2問は古代から近世までを中心に出題された。第3問は古代から現代にかけて幅広く出題された。総じて、各時代からバランスよく出題された。
  • 地域:第1問はアジアとアフリカから出題された。第2問は古代ローマや中国、西アジアを中心に出題された。第3問は幅広い地域からバランスよく出題された。総じて、各地域からバランスよく出題されたといえる。

合否の分かれ目はここだ!

  • 第1問では、小問が2つ出題され、論述字数はそれぞれ360字と150字であった。例年出題される600字の大論述とは字数や構成が異なっていたが、必要とされる力は例年と変わらないため、落ち着いて取り組みたい。学習が手薄になりがちな時代・地域である、戦後のアフリカ史や経済史が大きく扱われたため、教科書内容の盤石な理解が高得点をとるポイントであった
  • 第2問の小論述集合は、概ね標準的な内容であった。単答問題も平易な内容であったため、手堅く得点を重ねたい大問であった。
  • 第3問の単答集合は、問題文を読み違えやすい出題や教科書とは異なる視点からの出題も見られたが、概ね平易な出題であったため、確実に得点すべきであった。

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大問別のポイント

 第1問  
リード文では、1964年3月に国際連合の事務総長が行った演説文が扱われた。資料を用いた出題は2023年度に引き続いて2年連続であり、資料読解能力が求められるようになってきていることがわかる。但し、第3問の単答集合は、問題文を読み違えやすい出題や教科書とは異なる視点からの出題も見られたが、概ね平易な出題であったため、確実に得点すべきであった。今回の資料は比較的読み取りやすいものであったため、落ち着いて資料のポイントを見つけ出したい

600字の大論述1問ではなく、複数の小問が出題された。字数や構成は変わったが、必要とされる能力は大きく変わらない。正確かつ多角的な知識と、問題文・指定語句から設問の要求を的確に読み取り、論旨が通った解答にまとめあげる論理的思考力・文章表現力が肝要であった。

問(1)

  • 1960年代のアジアとアフリカにおける、諸民族が独立を得る過程で起きた戦乱や、独立した国どうしの対立について、360字で論じる問題であった。
  • 指定語句が4つ提示された。とくに使いづらいものはなく、指定語句に沿ってアルジェリア・コンゴ・パキスタン・ベトナムについて論じていけばよい。
  • 要求はわかりやすく、文章の組み立ては容易であった。但し、1960年代のアジアとアフリカという、学習が手薄になりがちな範囲からの出題である上に、やや細かい知識が問われたため、教科書の内容を網羅できていたかどうかで差がついただろう。
  • 「1960年代」と、年代が具体的に指定されているため、要求から外れた時代の出来事に字数を割かないように注意しよう。
  • 指定された地域の中では、ベトナムに関する事項が比較的書きやすいと思われるが、全体のバランスを見て、第3問の単答集合は、問題文を読み違えやすい出題や教科書とは異なる視点からの出題も見られたが、概ね平易な出題であったため、確実に得点すべきであった。字数の偏りが大きくなりすぎないように気を付けながら書き進めたい

問(2)

  • 演説で述べられている「経済的な問題」が、どのような歴史的背景を持ち、その解決のため1960年代に国際連合がいかなる取り組みを行ったのかについて、150字で論じる問題であった。
  • 演説文をしっかりと読み込み、述べられている「経済的な問題」の内容を正確に判断する必要があった。
  • 第3問の単答集合は、問題文を読み違えやすい出題や教科書とは異なる視点からの出題も見られたが、概ね平易な出題であったため、確実に得点すべきであった。経済史的な視点から考える必要があり、やや書きづらく感じた受験生もいたかもしれない

 第2問  
書物の継承と忘却をテーマに出題された。2021年度以降、小論述問題のほかに単答問題も出題される形式が続いている。

2023年度は出題されなかった制限字数120字の問題が復活し、2023年度と比べて第2問全体の総論述字数は増加した。

  • 2024年度の第2問は、手の付けられないような難度の高い問題はなく、比較的書きやすいものが多かったため、各小問に時間をかけすぎずに手早く処理したかった
  • 問(1)-(a)は2024年度唯一の制限字数120字問題であった。ローマ帝国におけるキリスト教の拡大は、論述問題では頻出の範囲なので迷わず書き進めたい。想起できる事項が多いので、要求に沿って盛り込む事項を的確に取捨選択したい。問(1)-(b)も基本的な論述問題であった。取り上げるべき会議を間違えないように注意したい。問(1)-(c)は文化史からの出題であったが、基本的な内容なので確実に得点しておきたい。
  • 問(2)-(a)は、当時の西アジアの情勢を想起しつつ判断する必要があった。問(2)-(b)は基本的な論述問題であった。制限字数に余裕はないので、必要な事項をコンパクトにまとめよう。問(2)-(c)は、セリム1世の事績について論じる問題であった。他のスルタンの事績との混同に注意したい。対外戦争の成果について述べる必要があるため、周辺地域の地図を思い出しつつ、言及すべき事項に抜けがないか確認しよう
  • 問(3)-(a)は、清が行った政策について論じる問題であった。清の政策というと様々な事項が想起できるが、「書物に関して」という要求に沿って盛り込むものを的確に取捨選択する必要があった。問(3)-(b)は、中国の文化史からの出題であった。盲点であった受験生もいたかもしれないが、基本的な内容であるため、押さえておきたかった。

 第3問  
征服と支配、それに対する抵抗をテーマに、オーソドックスな単答問題が10問出題された。

読み違えやすい問い方をした問題も見られたが、概ね平易な内容であった。

  • 問(2)は、古代の朝鮮から出題された。教科書とは異なる視点から問われたが、当時の東アジアの情勢を想起しつつ判断したい。
  • 問(6)は、近代のインドから出題された。社会史であり、盲点であった受験生もいたかもしれない
  • 問(10)は、戦後の文化史から出題された。学習が手薄になりやすい範囲であり、やや細かい知識が問われたため難しかった

 攻略のためのアドバイス

東大世界史を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 第3問は磐石な知識力が必須!

ほとんどが基本的な知識に関する出題であるため、合格のためには9割以上の得点をめざしたい。但し、文化史や現代史など学習が手薄になりやすい範囲からの出題も見られるので、注意が必要である。

●要求2● 第2問は「正確な知識」「設問の要求に応じた記述」がポイント!

概ね基本的な内容から問われる一方で、知識が不正確だったり設問の要求を意識できていないと、大きく減点されてしまう。日頃から、知識の正確さや、年代や“意義”・“影響”などの設問の要求に正しく応えているかを意識して、端的に解答を作成する練習を積みたい

●要求3● 第1問は「読解力」「論理的思考力」「文章表現力」を鍛えよ!

東大世界史第1問の攻略には、盤石な知識はもちろん、問題文から要求を読み取る「読解力」、解答を組み立てるための「論理的思考力」、字数の多い論述問題でも筋の通った解答を作成する「文章表現力」が必要となる。

こうした力は一朝一夕で身につくものではないので、早期から論述対策を始めよう。第三者に添削してもらうことにより、表現力を磨き、文法的にも正しい文章を書けるようにしておきたい。また、近年は史資料を用いた出題も散見される。日々の学習から資料読解の練習を積み重ねておこう。

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